転入したクラスに全員転校生だった
高校二年の秋。
俺は家の都合で、秋の時期に天光学校に転入してきた。
正直、変な時期に転校してきたから、少し不安だったけれど……
でも、友たちとの約束で、俺は覚悟を決めたんだ!このクラスの人たちと仲良くなりたいと!
俺は目の前の扉を見つめて、一回深呼吸した。
この扉を開けば、新しい学校生活が始まる。
でも、今まだ開けちゃダメだ。先生が呼んでない。
俺がそう思うと、「はいはい!静かに!」と教室の中からパンパンと机に叩いた音が聞こえた。
先生が騒いた生徒たちに鎮めているようだ。
「えー、今日はこのクラスに転校生が入ったので、皆さんに紹介しようと思います。」
きた!俺は先生の前置きを聞いて、さっきまでまだ大丈夫だった心臓が少しドキドキしてきた。
ああーどうしよう。ちょっと緊張するなー
緊張のせいで、この間に先生が何を言っていたのか全然聞こえなかった。
次にちゃんと聞こえてきたのは、「……それでは、田中さん。入ってきて!」という言葉だった。
きた!
俺は自分の苗字が呼ばれたことにわかった後、一度ふーと深呼吸して、心の準備をし、教室の扉を開けた。
がらがらー
扉を開けた最初目に入ったのは、先生が教壇に立っていて、視線がこちらに向けてくる様子だった。
しかし、俺はすぐ教室に一つ変なことに気付いた。
え?どういうこと?
「田中さん。なんでそこに突っ立ってるんだ。緊張してるのかい?」
教室の座席に誰も座っていない。
いや、強いて言えば、一人いるが……
「いや緊張というか、この状況変だろう?」
「変?あーそっかそっか。お前は転校してきたばっかりだもんな。クラスの雰囲気に馴染めないのも当然だ。気にする必要はないよ!」
「いや雰囲気に馴染めるかどうかの問題じゃないだろう!もっと大事な問題があるだろう!」
「え、何が?」
「人だよ、人!このクラスに誰もいないじゃん!」
「失礼だな!あそこにもう一人の転校生がいるだろう!」先生はあのたった唯一の生徒に指してこう言った。
「いや、だから――え?待って、今先生何を言った?」
「何って、……“え、何が?”」
「違う!何で一つ飛ばすねん!わざとなのか?!」
「ああ!“もう一人の転校生”ってこと?」
「もう一人の……転校生……?!」
ああダメだ。情報が多すぎて、理解が追いつけない――
「ちょうどいいや、ウナギさん。みんなに自己紹介してください。」
「みんななんていないだろう!しかも名前が特殊過ぎる!」
「どうも。僕はウナギでーす。」
「しかも本当に紹介した……あとギャル口調はやめろ!」
「好きなものは鰻でーす。理由は食べやすいからでーす。」
「もうどうツッコめばいいか全然わかんないわぁ……」
「ちなみに、僕も鰻でーす。ウナギの妖精から人の姿に化けてまーす。」
「えなにそれこわっ。それに……共食い?」
「あ、冗談でーす。」
「笑えないわ!」
「ははははは!ウナギさんユーモアな人だね!」なぜ先生が笑ったんだよ……
「というか、一つ気付いたんだけど、先生はさっき俺が入る前に誰に向かって喋ってんだよ……一人しかいないこのクラスに、まるで全員が座っているような喋り方が怖いって。」
「誰に向かってってそりゃあ、一人しかいないだろう!」「それはそうだけどそういう意味じゃねぇわ!」
「あ、どうも、ウナギでーす。」「知ってるわぁ!改めて自己紹介する必要ない!」
「ああーもーう!本当にわけがわからない!先生はこういう感じだし、クラスに一人の生徒しかいないし――」
「おっと、田中さん。それは違うぜ!」
「違うって何が違うんだよ!」
「私はちゃんと、このクラスに全員分の座席を埋めてきたんだぜ!」
「いや全員分の座席を埋めてきたってどういう――いや待て、まさか――っ?!」
「はい外に残りのみんな!もう入っていいわよ!」
先生の指令とともに、扉の外から色んな人たちがわらわらと入ってきた!三姉妹みたいな女の子たちや、変な格好をしている5人の覆面のやつなど、またはスーツ姿のおっさんやフライパンを持っているおばさんまで……とにかく、異種すぎる人たちが教室に集まってきた。
「いやいやいやいやぁ!これはさすがにおかしすぎるだろう!」
「おかしくないよ!全員先生がスカウトしてきた生徒なんだよ!」
「いやスカウトする時点でおかしいだろう!お前はスカウターか何かがよ!」
「大丈夫!ちゃんとお金払っているから。」
「生徒はお金で雇う職業じゃないだろう!そもそも全員生徒なのか?!というか、全員転校生なのか?!」
「正解!ちなみに、この中に一番年上の人がいらっしゃっている。この人はどなたでしょーか!」
「うーん……見た目だと、やはりあのスーツ姿のおっさんだろう。いやでも、これを逆手にとって、実はあのフライパンのおばさんが――」
「ブブー!どれも不正解!」
「あちゃーはずれちゃったか――って、なにクイズ番組にしようとしてんだよ!」
「さて、本当の答えは――本人たち自分で言ってください!」
すると、三姉妹みたいな女の子たちが出てきた。
「どもどもども!梅田アキコでーす!」「こんにちは、私は上田アキコでーす!」「そしてー、私は裏田亜希子でーす!」
「「「三姉妹揃って――あきあきシスターズでーす!!」」」
「一人だけじゃないかよ!というか年齢も答えてないじゃん!」
「おっおん♪ダメよ、自分の年齢を伏せちゃー。生徒ならちゃんと年齢を答えて!」
「先生―!」「アタシたち」「永遠の18才でーす!」「だから~」「聞かないでほしいな。」「なぜなら――」
「「「アタシたちは、あきあきシスターズでーす!!!」」」
「さっきから何なんだ!お前らはアイドルグループか何かが?!」
「永遠の18才なら仕方ないか。でも君たちは一番年上なのが間違っていないね!」
「やだー」「先生嫌―い!」「アタシたち絶対年上じゃないもんー」
「あ、きつい。これキツいやつだ。かわい子ぶってると更にキツイヤツだ。」
「ちなみに、僕も永遠の18才になりたいでーす。」誰もお前の感想聞いてねえ。
「あーもういい!この子たちのことはもういい!まだ他の転校生がいるだろう!早く紹介して!」
「それじゃ次の方どーぞ。」
「面接か?」
すると、スーツ姿の男が出てきた。
「サラリーマンみたいなやつが出てきたぞ……」
「こんにちは。私は○○営業会社の高功竜音と申します。名刺はこちら。」
「本当にサラリーマンじゃん!もう学生じゃないじゃん!」
「いいえ、ちゃんと留年しています。」
「留年するな!サラリーマンだったら留年するな!というか職業が矛盾しているだろう!」
「一応、兼業で学生をやっているんで……」
「学生でバイトするな!」
「先生!田中さんのそういう考えところが古いと思います!」
「そうだな。サラリーマンも掛け持ちの自由があると思いますよ!田中さん。」
「なんで俺が悪いみたいになっている?!」
“俺が悪い”と言うと、突然大きな声が教室に響いた。それは少し野太い、歯切れのない男性の声だった。
「ほう!!この教室に悪者がいるのか!!!!」
「今度は何だ?!」
「トーゥ!」そして大声を出しながら、五人の覆面の人たちが前に飛び出した。
「電光戦士・レッド!」「電光戦士・グリーン!」「電光戦士・イエロー!」「電光戦士・ブルー!」「電光戦士・ゼロ!」
「「「「「五人揃えば――電光レンジャー戦隊!」」」」」
「悪がいるところは、われらあり!」
「出たあぁー!さっきずっと気になってたけどあえて言わなかったが、やはり戦隊ものか!というかグループ系のやつ前のとかぶったぞ!」
「お前が悪だな!田中怪人!」
「俺は怪人になってる?!」
「よっ!田中怪人!」「お前は黙れ!名前でいえばウナギのほうこそ怪人っぽいだぞ!」
「この責任転嫁……擦り付けの姿勢、さすが一番の邪悪だな。」
「年齢詐称と留年するやつより全然罪がないと思うけど?」
「黙れ!御託は無用だ!」
「――おい!嘘だろう?!」まさか俺は殴られるのかと思うや否や、覆面の一人が俺を庇った。
「……やめろ!もうやめるんだ!」「なっ……!」「なぜだ!ゼロ!」
「え?何々?何が起こった……?」
「お前らは、ずっとこんなことをするから、悪が消えないんだ!」
「何を言ってるんだ?!ゼロ!」「俺たちはずっと一緒に戦ってきた仲間じゃないのか?!」
「……もう、俺らは仲間じゃない!」ダ、ダ、ダ
「「「「ゼロー!!!」」」」
「そういえば……あいつの名前だけ、他のやつと違ったな!」
「つまり、戦隊ものでも、闇落ちあり。」
「いやなに当たり前のことを言うんだよ。」
「はっはっはっ、これはなかなか愉快なクラスになるんじゃない?」
「先生のせいだけどな!」
「……というか、もう自己紹介していないやつはいないだろう!」
すると、一人のおばさんがとんでもない勢いで出てきた。フライパンを持って……
「ちょーっと!何であーしの番を飛ばすわけ?」
「……うあぁ、噂好きのおばさんだ。」
「やーだね♡あーしはそれほどの噂好きじゃないけど……でも、聞きたい?聞きたいよね???」
「うわぁ!それに結構押しが強いタイプだ!!」
「#$%^&*((((((*&^%$--*+$%#$%(――」
「うるさーぁ!誰か助けてー!」
そして、本当に助けてくれる人がいた。それに、俺が思わぬ人だった。
「わぁー!遅刻、遅刻――わぁ!いったたた……」パンを咥えている少女が教室の中に衝突してきた。少女が地面に転がる。
「やぁんー♡ やぁーだ!ちょっと――って、あれ?」フライパンのおばさんはあのパン食い少女を見つめている。パン食い少女もフライパンのおばさんを見つめていた。
二人は相互見つめ合って、そして、次に同時「「ああ!」」と叫び出す。
「お前は今朝の――」「貴様はさっきの――」
「――どんぐり焼きおばさん!」「――食べ物泥棒!」
「こんな内容を少女マンガみたいな雰囲気を出すな!」
もうええわ!
こんなクラス絶対普通の授業を受けられない!
それでは、さよーうなら!
「これはつまり、少女マンガは現実より奇なり……か。」
終わり。