子孫に会った
拠点に引き籠ってから、新しく飛空艇を作った。
何故か?
うん、沖に出て漁がしたいのだよ。
ハマチやカツオは、漁村で養殖してるから領都で買えるが、
鮪は買えないのだよ。
なので飛空艇で、網を引っ張るのだよ。
うん、親方としか今は食べないけれどな・・・
大きな海の魔物が網にかかっても大丈夫な様に、大型化してみた。
うん、大きい・・・
コントロールルームも二つ作った。
通常の前方と、網を巻き上げる時用に後部ハッチの所に作った。
俺一人だからな・・・
寂しいので、アンヌが最初に作ったゴーレムのコントロールを奪って、
一緒に居るけれど、余計に寂しい・・・
動き悪いしな・・・
上書きをすると、アンヌの魔力が抜けるし・・・
でも、動きの悪さが武術をしている時のアンヌを思い出して憎めないのだけどね。
内装は無いけれど、漁が目的だからなくて良い。
そのうち、空に城を作るつもりだから、連絡用でも良い。
たまに人恋しさに、ダンジョンの町の俺の家で暮らしたりしているが、
積極的に人に絡みには行かない。
うん、変に思い出を作りたく無いからだ。
同じように引き籠っているエルフの気持ちが良く分かる・・・
ドワーフは、酒の味や技術が向上出来れば、
人との付き合いはどうでもいい感じなので人と暮らしてはいるけどな・・・
リアの国にも行きたいが、
アニー、アンヌの思い出が詰まるこの国を離れる気にはなれないでいる。
飛空艇が完成したが、広い格納庫が何か寂しい・・・
ワイバーンでも連れて来れば良かったよ・・・
うん、戦闘機を作って空間を埋めた。
震電Ⅱを量産した。
自重を取り払い、作ったから音速は楽に超える。
ドワーフの作る物には負けないだろう・・・
試作機は、複座だけれど、量産機は単座にした。
コントロールはゴーレムのユニットを乗せている。
オートパイロットだな。
アンヌのゴーレムのサイズが丁度乗れる大きさなので、乗せてみた。
うん、見事に落ちた・・・
元気が無いように見える。
うん、元気出せ、アンヌみたいだったぞ、
お前はそれでいい。
また飛行機は作れば良いからな。
飛空艇で漁に出て見た。
俺は操舵しながら、魚探になる・・・
モニターらしき物は作れるが、動かすプログラムが組めない・・・
うん、諦めた。
高度を落とし網を入れる。
魚群がいるのだよ。
大夫網に入った様で、巻き上げるとメガロドンまで居たよ・・・
獲物を食い荒らされた・・・
ちくしょ・・・
下部格納庫が生臭くなった。
早く綺麗にしないと、怒られる・・・
怒られる? 誰に・・・
怒りに来て欲しい物だ・・・
船体が海に引っ張られる。
うん、不味いな・・・
外にフライで出るとクラーケンが触手を伸ばして飛空艇を海に引き込もうとしていた。
掃除で海に流した血や汚れで引きつけてしまった様で、
メガロドン等も寄って来ていた。
魔法でサクっと倒して収納。
メガロドンで蒲鉾、クラーケンでイカクンでも作るか・・・
親方が好きだしな・・・
落ち着いてから戻ろうとした時に、飛空艇が見えた。
あれは四番艦だろう。
艦橋が見える。
大公家で運用しているのだったよな・・・
コノハナの子が一度乗って訪ねて来たからな。
冷害で作物の被害が凄く泣きついて来た時だ、
来年も続く可能性もあるから、今年取れる、
育ちの良い物を来年植える様に言い。
俺の手持ちの穀物を出してあげたんだった。
「ご先祖さまですか?」
うん、拡声魔法だな・・・
「何用だ」
うん、拡声魔法で答えた。
マリアが国民にも教えるべきと、学園に魔法科を作り、
今では広く広がっている様だ。
「ジャイロコンパスが壊れて帰れません・・・」
情けない声で言う・・・
「そっちに行くから待っていろ」
うん、もうガタが来ているだろうな・・・
良く持たせているよ・・・
フライで飛んでいき甲板に下り立つ。
久々の四番艦だ・・・
「ご先祖様ですよね?
私は、ご先祖様のソフィアの名前を頂いた者です」
うん、この領ではソフィアの名前が増えたのだよ、
困った物だけれど、俺も動きやすい。
プラチナブロンドで俺に似た子がそこに居た、
まだ十代前半だろう・・・
「うん、俺がソフィアだ、ジャイロコンパスが壊れた?」
「そうです、動かなくなり・・・王都に行くはずがこんな所に、
ここは何処でしょうか?」
「う~ん、まあ海の上なのは分かるよな?
何故王都に行くのに、海に出た時に何故止めなかった?」
「すみません・・・言われる通りですが、
この船には私しか乗っておらず・・・」
「何故?」
「はい、学園の下見に行くのに私だけで良いかと思いまして・・・
それで、ご飯有りませんか?」
「何日彷徨っているんだよ・・・
コノハナめ・・・」
「大おばあ様は悪く有りません、もう亡くなっていますし・・・」
「そうか・・・
俺の子はもう生きている年では無いな・・・
よし、調理場に行くぞ」
「はい」
うん、勝手知ってる四番艦だ、懐かしい。
着いた調理場の倉庫を見る。
うん、何もない・・・
一日有れば王都まで行けるから積んでなかったのだろう・・・
米を炊き、
捕れたてのハマチを捌いて行く。
うん、ハマチの握りを作った。
お吸い物とね。
「手際良いですね、ご先祖様」
「うん、苦労したからな・・・」
「でも、永遠に生きると言われる、
大公家の極秘事項のご先祖様にお会いできるとは思いませんでした。
これも、コノハナ大おばあ様の、お導きですね・・・」
「まあ食え、落ち着いてな、さびは抜いているからな」
「はい、美味しいです・・・
大公家の伝承では、とても料理がお上手でいらっしゃると」
「伝承言うな、ハマチだけで悪いな・・・」
「いえ、とても美味しいです・・・
ご先祖様、お願いがあります。」
「うん?
幾つか持って帰るか?」
「いえ、修行をさせて下さい」
「駄目だ」
「・・・」
「ごめんな、もう身内を思い出に残す気にはなれないんだよ・・・」
「そうですか・・・」
「うん、お前は俺に似ているし、マリアやコノハナ、サクヤを思い出すし、
見ているだけで辛くなるんだよ、看取ってやらずに俺は・・・」
「すみません・・・ご先祖様・・・」
「稀に遊びに来るだけなら良いけれど、深くかかわる気は無いぞ?」
「良いのですか?」
うん、俺の子が泣いている気がした・・・
でも、俺の遺伝子強いよな・・・
クローンみたいだよ・・・
ジャイロコンパスを新しい物に変えてやり、
陸の方向を教え、食料も積んでやり、そこで別れた。
子孫のソフィアは、たまに遊びに来る様になった、
楽しそうにあった事を俺に話て聞かせる。
俺の子が帰って来た様だ・・・
涙が出る・・・
「ご先祖様?」
「ごめん、マリア、コノハナ、サクヤ、スコット・・・
ごめん・・・」
うん、後悔もしてたんだよ・・・
もうね、涙腺が弱いんだよ・・・