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女勇者が苦手なもの





季節は巡りイツキと旅して半年が経った。



「お祭り?」

「そう、いろんなお店や出し物が出るらしいよ」

「…人が多そうだな、私は宿屋で待機しておくよ」


人混みは苦手だ。

近くにある気配に敏感であることそれだけではないくこういったイベントでの少し浮立つ人々の空気感に、馴染めないのもある。


だけどハナはお祭りや人と関わることが好きだったので連れ立っていくことが多かった。

そしてハナが横にいるだけでどんな苦手なもの楽しく感じていたものだった。


今同じように楽しめる自信なんてなくて、お祭りと聞いて嫌悪感しか感じなかった。


「でもヒヨリ、お祭りの間宿の従業員も外に出払うからってお祭りの時間は締め出されるらしいよ」

「なっ!なんだと…!」

ヒヨリは唖然とした。

「そう言うわけだし、強制的にお祭り参加です!」

イツキはいつものようにヘラヘラと笑った。



「…うまいな」

「そうだね」


まずは腹ごしらえでもしようと

唖然とするヒヨリの手を取って歩き出すイツキ。


メイン通りを2階から見渡せるテラス席があるお店で肉汁がしたたり落ちるお肉料理を食べていた。


「このタレはなんだ?食べたことがないなぁ…」

「このお店特製の秘伝のタレらしいよ」


流されるままやってきたお店は雰囲気もオシャレでご飯も美味しいかった。

お祭りの間宿にいれないことにショックを受けていたがそんなことを忘れるぐらいご飯を楽しんでいた。


「数日この街に滞在していたがこんな店あるの知らなかった…」

「俺もギルドの人に勧められて知ったよ、美味しくて最高!」


そういう話をしていると


♪〜

音楽とともにメイン通りでたくさんの花が散りばめた大きな馬車がやってきた。

その馬車を囲うように華やかな衣装を纏った人々が踊ったり音楽を奏でている。

お祭りの目玉であるパレードのようだ。


ヒヨリたちが座るテラス席はパレードを上から見える場所ということあり、近くに座るテラス席の客がパレードに向かって手を振って楽しんでいる。

手を振ると踊っている人や楽器を奏でる人も楽しげにふりかえし笑っていた。


「平和だな…」

ヒヨリはそんな、人々を見ながら小さく呟いた。

いつもはハナについて戸惑いながら手を振ったりあのパレードの輪に入ることが多かった。

だけどこうして遠くから楽しそうに過ごす人々をみているのは悪くない。


「そうだね、それもこれも魔王討伐に大貢献した偉大なる魔法使いのイツキ様のおかげだね」

イツキはパレードを見ながらおどけるようにいった。


「大貢献か…?魔王の威圧に吹き飛ばされて前半ほとんど気絶してたのに?」

パレードから目を離しヒヨリはイツキの方を向く


魔王との決戦

やっと辿り着いた魔王城で多くの魔物と戦い抜いた先で今までの魔物とは別次元の魔王。


それを死に物狂いで戦い抜いた。

とくに厳しかったのが前半

最初の方で魔王が威圧を放ちイツキとハナが気絶をしてしまったのだ。

ユウマとヒヨリで気絶する2人を庇いつつ戦闘を行った。

闘ってる最中はこのまま死んでしまうと何度も思った。

魔王討伐後もあの闘いを思い出すたびに震える程だった。


だけどあれから数ヶ月が経ったのもあり、今ではちょっとした思い出話にできるほどになっていた。


「そっ、それは仕方がない!だって魔法使いは繊細なものだから!後半は特大魔法と支援魔法でみんなを助けたじゃないか!」


確かに気絶から目覚めたイツキの貢献度は高い。

傷だらけで疲れ果てるヒヨリとユウマに範囲魔法で休む時間を作ったり、魔王の能力を低下させる支援魔法、特大魔法で大ダメージを与えたりと活躍をしていた。


「じゃあじゃあ!中貢献ってことで!」

イツキは必死な様子でそう言った。


「ふっ…中貢献って聞いたことない言葉だなぁ」

そんな様子が、面白くて自然と笑みが浮かんだ。


「っ!!

すると何故かイツキはヒヨリを見て目が泳ぐ、そして手で顔の半分を覆った。

手で隠しきれない部分が赤くなっているように思った。


いつも見ない表情のイツキ

そのことを指摘しようとした時


わぁぁぁ…

パレードの音楽が大きく鳴り響いたためヒヨリはパレードの方を向いた。

パレードでは道ゆく人々も踊りに参加して盛り上がってる


「……あの音楽が終わったら、パレード終わりらしいよ。その頃になったら宿の人も戻ってくるかもね」

盛り上がる人たちを見ながらイツキは言った。


ヒヨリがイツキの方を向いた時はいつものヘラヘラした顔に戻っていた。









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