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女勇者と花屋




今は大人しくしてどこかの町で振り払えばいいとヒヨリは考えていた。


だけどどんなに朝早くに出たり、夜寝静まったあとなどにイツキから逃げてみたが、どういうわけか少し経つとまた合流する。

きっと魔法探知でもかけられているのだろう。



だから今度は言葉で攻めた

ストーカー、鬱陶しい、人の気持ちがらわからないやつ

さまざまな言葉を投げかけてはみたが効果はない。


3ヶ月ほど振り払おうと色々してみたが結局諦めた


別にヒヨリはイツキのことは嫌いではない

いつもはヘラヘラしてからかってきたりはするがユウマやヒヨリの意見を尊重してくれてたし、間違っていることまた、どうしようもない時はパーティをひっぱってくれ頼りなるところもあるのだ。


それにイツキがいるとやはり旅はしやすいのもある

魔王討伐で賞金をもらったとはいえ使えばいつかは無くなる、

どうしょうもなくなった時に使う用として取っておいているので、旅で必要なお金はギルドで稼がなければいけない。

その時魔物討伐などの依頼でイツキのサポートはとても助かるのだ。


最初は意地になってイツキを振り払ってる時に何度か勇者であることを伏せて、パーティを組み依頼を行っていたが、とてもやりにくかった。


しかもとある依頼で組んだパーティリーダーの武道家がヒヨリを気に入って何度も声をかけてきた時は正直困った。


だが、すぐにイツキがヒヨリに追いついたことでそれから武道家に声かけられることがなくなった。


やはり長い間一緒に旅していたこともあり、ヒヨリがサポートにほしいというタイミングで魔法攻撃や、補助魔法を入れてくれ、とても戦闘が楽だったのだ


「また花屋によるの?」

「悪いか?」

諦めて一緒に行動するようになり、街での買い出しなどにもイツキはついてくるようになった。


旅先ではヒヨリは必ず花屋に寄って売ってる種を買っている


魔王討伐での旅ではそんな買い物していなかったのにだ。

そのことをイツキは不思議そうにしてはいるがどうしてかとは聞いてこない。


「悪くないよ、そうだヒヨリに似合う花を俺がプレゼントしようか?」


「いらない」


「じゃあなんかほしいものとかない?」


「携帯食」


「そうじゃなくて…」


イツキは少しムッとするがそれを無視し歩き続ける。


「いらっしゃいませ」

花屋に到着すると人の良さそうなおじさんが花屋のロゴ入りエプロンをつけて2人をで迎えた


「すいません、花の種を購入したいのですが」

「種ね、種ならあのカゴに色々あるから選んでね一袋200ウォンだからね」

「ありがとう、選んできます」


ヒヨリははおじさんが指す方にあったカゴの中を覗き込み選び始める。


「お兄ちゃんは?」

おじさんはヒヨリの後ろにいたイツキに声をかけた。

「あぁ俺はこの子の付き添い、少しお店内見て回っても大丈夫ですか?」

「いいよ好きに見ていってね」


ヒヨリはカゴの中の種の袋を見比べて

その中の一種類を手にとった。

「ヒヨリ」

その時イツキから声がかかった。

「なに?」

選んだ種をもったまま振り返ると少し険しい顔をしたイツキがいた。

「ちょっとこの花見てほしい」

イツキは店の奥まったところで手招きをしていたのでヒヨリはそっちへ向かった。


奥には南国で育てられる様々な植物の苗が置いてあるコーナーでイツキが言う花は少し隠れるように置いてあった。


赤紫色の小さな花がたくさん咲いている花

それは旅の中で出会った毒素を出し人を襲う魔花によく似ていた。


「これ…魔花では?」

「だよな?」

「なんで花屋に…」

「おじさーん!」

ヒヨリはまじまじと花を観察していると

イツキがおじさんに声をかけた。


「なんでしょうか?」

店先で花に水をあげていたおじさんはいそいそとやってくる。

「この花どこで手に入れましたか?」

「花?…あぁこれね、珍しいでしょう?旅先で見つけてね店に並べているのですよ」

「そうですか…ですがこの花は魔花ですよ」

「魔花?」

おじさんは首を傾げる。

確かにこの花は最南端の地域でしか生息していない、ここらへんでは知らない人も多いだろう。


「魔物の一種です。処分した方がいい、まだ小さいがこの花は大きくなると人を襲います」

ヒヨリは冷静にいった。


「魔物!?なっ!何をおしゃるのですか!いいがかりです」

おじさんはムッと眉を釣り上げる。

ただの旅人に商品を批判され花屋のプライドを傷つけたように感じたのかもしれない。

「ですが…」

「こっこれ以上言いますと営業妨害で訴えます!」

顔を赤くして怒り出すおじさん


「…そう、ならこの花とこの種私たちに売ってください」

言い返そうと思い口を開いたがすぐにやめ、違うことを口にする。

「…へっ?」

ヒヨリは置かれていた花を手に取った。


「…ま、まぁいいですよ…2000ウォンです。」

少し戸惑いながらおじいさんはそう告げた。






花と種を購入し店をでるヒヨリとイツキ

「…イツキ、後で魔法でこの花を焼却処分してくれ」

「わかったよ、まさかこんなところでまたこの花に会うなんてね…」


旅の途中でヒヨリたちパーティは大型の魔花に襲われたことがある。

その時ハナが猛毒を受け動けなり本当に大変だった。

何せユウマもヒヨリもハナの死を間近に感じて混乱してしまいまともな判断がらできなかったからだ。

そんな2人を落ち着かせイツキがパーティをひっぱり、山奥にある薬草を取りに行きなんとかなったのだった。


「でもいいの?2000ウォンも払うことなかったんじゃない?」


「……最初は言い返そうと思った、それなら知らないと素通りも考えた…でも後々あの花屋に何かあったら寝覚めが悪いだろう」


柄にもないことはわかっている。

勇者と言われてはいるが性格は良くないと自覚している、自業自得なことはほっておくに限ると思ってる。


お金になるならまだしも、お金を払う人助けなんてただの無駄。

だからこれはただ寝覚めが悪くならないようにするため自分のためである。


「…ふっふふそうだね、…ヒヨリこれ」

面白そうに笑うとイツキはどこからか3輪の白いバラを出してみせた。

それをヒヨリの左耳に二つそして自分にもかける


「…これいつ…というかお金は?」

先程の花屋でイツキが何かを購入しているところをみていない。

ヒヨリは驚いてイツキに聞いた。


「きっかり2000ウォン!」

イツキはおどけたようにそう答えた。


「…ふっ…ふふふ、そう2000ウォンならいいか」

最初は唖然としていたが次第に笑いが込み上げてきくる。


そっと耳に飾られたバラに優しくふれてみた。

柔らかな花びらの感触がする。

花なんて人生でもらったのははじめてだった。


そして目の前のイツキを見る。

いつものヘラヘラした表情を浮かべて頭にバラを一つつけている。


似合ってるようで似合ってないなぁと思った

それがまた面白くてヒヨリは笑った。













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