The Long and Winding Road
「道ねーのかよー、道よー?だるいよー、交流あるなら道ぐらい作ってろよー?」
私は山道……じゃないな、山の傾斜をただひたすら登っていた。
道はない。草木をかき分け、ただひたすら登る。
進む方向?少しでも高い方だよ、なんか文句ある?
日はだいぶ昇っていた。
朝方までモヨコと語り明かし、大層ごねられたが無事別れた。モヨコ、ちゃんと朝ご飯食べれたかな?
その後はひたすら登山だ。道なき道を登山……せめて道ねーのかよ!
ミドリから慰めるように頭を撫でられる。いや、ごめん、そこまでイヤって訳じゃないんだけどさ、面倒なだけで。
「あー、うん。ありがと、ミドリ。その、うん、頑張る頑張る」
まあ、登った先には酒があるんだ、それだけで頑張って登る意義があるってもんじゃん?
そうして私は登った。ひたすら登った。登った末に……日が暮れた。遠いわ!
「なぜ、私は具体的な場所を聞かなかったんだろう……」
その言葉を聞いたミドリは憐れむような表情を浮かべた。いや、聞くの忘れてたんだってばしょうがないじゃない?
いや、もう、そのうち道にあたるだろうとか楽観的に考えてたんだよ。
こんなに何もないだなんて。
そりゃ私、食べなくても平気だよ?平気だけど、この季節に野宿は寒くてイヤなんだよ!
まだ雪こそ降り出してないものの、随分冷え込むようになっているし。
そうじゃなくても野宿は朝露で朝方身体が湿るから気が滅入るんだよね。
あー、もう、しくじったなぁ。いや、野宿は慣れてるけど、
野宿するつもりで野宿するのと宿泊するつもりで野宿するのは随分違うんだよ!
なんていうんですか?こう、ですよ、体力の見積もりと言いますか?
消耗度合いが違うんですよー!誰に文句を言えばいいかさっぱりだけどさー?
と、まあ、脳内で愚痴り続けてはいるものの、結果は変わらない事は分かってるさ。
仕方ないかと思いながら、このまま歩き続ける理由もないので、気持ちを切り替えて今日の寝床の目途を考えながら歩き続ける。
洞穴とかなぁ、森の中だからある訳ないし、大木の洞とかあれば最高なんだけどなぁ、先客がいなければ。
ま、そこまでは望まないよ。イイ感じの背を預けて露を凌げる大木ないもんかね?
正直寝込みを魔物に襲われたところで野薔薇姫が気を利かせて対応してくれるので安全面では気にする必要ないんだけど。
と、そこで鼻に微かな刺激臭を感じ取った。
(これは……温泉?)
歩き続けていくと、より匂いが強まりやがて湿度が高まってきた。
「おおっ」
更に進むと、湯気を上げている温泉が湧いている。
おあつらえ向きに、小屋まで建っていた。
「幸運だなー私。ね、ミドリ?」
と、ミドリに話しかけたら、何故だかミドリは憐れむような苦笑いを浮かべた。え、なんで?
「……こんな夜分に、お客ですか?」




