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拝啓、高木様  作者: dede
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はしゃぐビィと睨むミィ


私は地下の牢屋から出ると、モヨコの説明通り進んでピアノのある部屋に来た。

フロアに我が物顔で堂々とした佇まいのグランドピアノ。周囲に人の気配はない。

黒い表面に私の顔が映る。鍵盤の上の布を取ると、試しに一つ鍵を人差し指で押し込む。


ポーンっ


っっっっっっ!!あ、やばい。ちゃんとしたグランドピアノって久しぶりだからテンションが上がってきてる。

一音聞いただけでぞくぞくしちゃったよ。ちょっとちょっと?待って私?

これから私何弾く気だった?こんな気分じゃちょっと無理でしょ一旦落ち着いて?

深呼吸を一回二回と繰り返して気持ちを落ち着かせる。

……よし。落ち着いた気分で椅子に座るとミドリを呼んだ。

「ミドリ、手筈通りに、ね?」

ミドリがこくりと頷いた。

鍵盤の上に、私は両の手の平をそっと乗せる。


     ♪ッ


弾き始めたのは、よく聞くなんてことはない『子守唄』だった。

本来なら聞き入れるように、澄ませた感じで弾くのが正しいのだろうけど、今回はとにかく遠くまで届かせたかったので強く弾いている。

その私のピアノに合わせてミドリが歌う。諭すように、慰めるように。叱るように。

安心できるように。よく眠れるように。母親のように。

ただ、こちらも声量マシマシだ。よくこのボリュームで穏やかな調子を出せると思う。いや、ミドリじゃなきゃムリな注文だとホント思ってるよ。

私はその自身のピアノとミドリの歌声に身を委ねて、魔力を乗せると呪文を唱える。


解呪(ディスペル)


呪文を唱え終わると、ミドリとピアノが発光し、そこを中心に光の波が広がり、そして光が止む。

残ったのは私のピアノとミドリの歌声の音。それもやがて終わる。守られていた安心感を最後に残したまま。名残惜しく思いつつも。


70年以上聖女をやっていて気付いた事がある。

聖女の能力には裏技みたいなものがある。元のロールとのシナジー効果があるらしいのだ。

例えば、楽器さえ弾いてれば無詠唱で効果が発動したり。

例えば、内容と曲とが合ってれば効果爆上がりだったり?

今回は一度で全部済ませたかったので範囲を最大限に広げさせてもらった。

これで屋敷全体にディスペルが効いたハズ。


「……え」

私が違和感に気づいた瞬間、アカリと、ハッパ、クロとアカも現れた。私はミドリと目配せする。

「この気配、ミィだよね?」


一旦ミドリ達には引っ込んで貰い、私は単身、気配だけを頼りに屋敷をうろつく。

すると、資料室のような部屋に隠し扉を見つける。

カギが掛かっていたが、私は黒い靄で扉を劣化させるとウクレレで破壊して中に入った。

……周囲の資料もだいぶダメにしてしまったのは、ココだけの内緒だぞ?


中に入ると、真っ暗だった。

「お願い、アカリ」

ポッと、アカリは出現すると周囲を照らした。

照らし出された室内には殆ど何も置かれていなかったが、床にはぎっしりと魔法陣が描かれており、その中心には小さな箱、部屋の中心にはミィがふよふよと浮かびながら、


こちらを睨みつけていた。


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