あれは〇〇だ。私がそう判断したからだ
服も乾いたので薔薇と別れてギルドに戻ってきた。
「お帰りなさい。ケガはなかったですか?」
「はい!何の問題もありませんでした!」
タカネが元気よくハキハキと答えた。
「……あれー?今の返事で逆に不安になったんですが……」
受付さんこと、ミルチェさんが私とタカネをじろじろと見る。
「見たところケガしてないですね?うーん、じゃあ、納品物確認しますね」
「はい、どうぞ」
「……はい、確認しました。よくこの品質で手に入りましたね?はい、こちらが報酬となります。では依頼は以上となります。お疲れさまでした」
「あの、ちょっと質問いいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
「ファインティングローズって植物なんですか?」
「はい、植物です」
「なぜでしょうか?」
「発見当時のギルドマスターがそう判断したからです」
「……はぁ、そうですか」
タカネは相変わらず納得出来てなさそうだが、もうそれ以上言及してこなかった。
「あの、私からもビィさんに質問が」
「なんです?」
「なんでビィさんの服をタカネ様が着てるんです?」
「あげたから」
「あげ!?」
ミルチェさんは私に頭突きをかまそうと襟元に手を伸ばしてきたので、それを躱した。
躱されたミルチェさんはどこか納得のいかない顔をしていたけど、私にちょいちょいと手招きをするので顔を近づける。
ミルチェさんは口元を手で隠しながら小声で話しかけてきた。
(ねえ、わかってる?あなた、あの服があるから依頼受注できてるのよ?)
(分かってますよ。次来る時までにどうにかしますから)
(本当にね?私、納得出来なかったら許可出さないからね!)
(はい。ありがとうございます、心配してくれて)
(……そういうの、いいから。自分のために頑張んなさい)
(はい)
私はミルチェさんから顔を離した。
「ビィさん、もういいですか?」
「ええ。じゃあ、ミルチェさん、また」
「ええ、また。気を付けてね」
そうしてギルドを後にし、タカネも家まで送り届けるとシミュル家に戻ってきた。
その晩遅くにティーリスがシミュル家を来訪した。
「すまんな、急に。……もう寝るところだったか?」
「いや、大丈夫。それで?急用なんでしょ?」
当主に断って、今は応接室に私とティーリスの二人だけだ。ま、要件はだいたい分かるけど。
「ああ。聞いてるか?聖女と勇者のこと」
「当主に聞いたよ。神託がおりたんだってね。王様に呼ばれてたのもその件なんでしょ?」
「そうだ。今後の計画や、予算の確保などで城はてんやわんやだよ」
「大変そうだねぇ、関わりたくないや。で、今回の脅威となる存在ってそっちでも分からないの?」
「ああ、分からん」
そこで一旦言葉を切って、少し視線を逸らした後また私を見た。
「だが予想はある。お前は気が付かないのか?」
「変だなと思う事はあるけど。勇者のことだよね?」
「そうだ。二つある判断材料のうちの一つだな。いないハズの勇者が今回いる」
「もう一つは?」
「タイミングだよ。お前が若返ったすぐ後に神託だ」
「……ん?ねえ、それってさ?」
「ああ、そうだ」
「私?」




