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拝啓、高木様  作者: dede
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信用を得るって難しい


「ですから、パーティーを組んでから来てください!」

「登録済んでるじゃないですか!手続き上問題ないでしょ!」

「だ・め・で・す!パーティーを組んでないと私は受理しません!」

「ダンジョン行こうってんじゃないじゃん!森ですらない!平原に薬草摘みに行くだけで大げさな!」

「ビィさん、自衛手段ないじゃないですか!魔法の使えない吟遊詩人なんて一般市民と変わりありませんって!」

「楽器弾けるもん!」

「弾けたからって何だっていうんですか!」

ノリで「もん」と言ってみたらスルーされて逆に戸惑う。え、ちょっと興奮してて聞き流しただけだよね?許容されるような年齢とか思われてないよね?

要らぬ疑惑を呼んでしまい、私の方が迂闊な発言を激しく後悔してしまった。


朝ご飯を食べた私は早速冒険者ギルドにやってきて依頼を受ける事にした。

まあ、G級ですもの、そんなご大層な依頼なんてあるはずもなく、街中では道の清掃や家事手伝い、街の外なら薬草集めぐらいだった。

で、街の外に出たかったので薬草集め一択だったのだが、それをこの受付嬢が受理してくれなかった。

左右の受付カウンターがスムーズに流れていく中、私の所だけ停滞している。後ろの冒険者たちが迷惑そうにしている。うぅ、お願いだから腕組みしながら小刻みにタップを踏まないで。

「さすがに死亡濃厚な依頼を受理するわけにはいかないんですよ。お願いしますからパーティー組んでください」

「無理ですよ。魔法の使えない吟遊詩人ですよ?」

「では護衛依頼を発注するとか」

「薬草集めと護衛依頼とどっちが高いか、さすがに分かってますよね受付さん!?」

受付嬢さんは、悩まし気に頭を押さえる。

「もぅ、身分証明書代わりに登録されたとばかり思っていたのに、本当に依頼を受けにくるだなんて……。あなた、頭おかしいんじゃないんですか!?」

「冒険者は自己責任って有名な言葉があるじゃないですか!もう、放っておいてくださいよ……」

「さすがに死ぬこと確定案件を受理するとコチラも良心が痛むんですよ!」

ちょっ!?死亡濃厚から確定に変わってるじゃないの!?

「大丈夫だって!」

「じゃ、大丈夫って根拠を提示してくださいよ!」

「……なにかあったかな」

「ほーら!」

なぜか誇らしげに受付嬢さんが胸を張る。

後ろの冒険者達の貧乏ゆすりが止んだので、きっとご褒美だったのだろう。

「そこで俺の出番だよ」

「わ!?ビックリした!?」

「あ、ガネスさん」

すぐ後ろに昨日会ったA級冒険者が立っており、がっつりと肩を両手でホールドされていた。あちゃー、気が付かなかったわ。

「俺たちが一緒に行くから」

「ちょ待てやA級冒険者?勝手に決めるなって。アト離して」

A級冒険者に薬草集めをさせるとか、どんだけの損失だよ!?あと、ミドリに構ってあげないといけないのでどうしても一人じゃないといけない。

「一人で大丈夫だってば」

「そうはいくか。魔法は使えない。服で隠れてるが、筋肉のついてる体の動かし方もしてないぞ?そんなんで、どう魔物に対抗するんだ?」

「だから……あ、服。そうだ。ねぇ、ちょっとその腰の剣を貸してくれない?」

「ん?構わないが」

鞘ごとベルトから外して渡してくれた。私はそれを受け取ると、スラリと鞘から抜く。

「へぇ、良い剣だね」

「さすがにビギナーのお嬢ちゃんに良さは分からんだろ?まあ、だが良い剣なのは確かだ。で、どうするんだ?」

「こうする」

私は剣を素早く逆手に構えると勢いよくお腹に突き立てた。

「!?バカがっ!!」

「えっ!?」


キィィィイン


ただ、剣は私のお腹には刺さらずに、服の表面で止まっていた。

「……とんだ装備だな?」

「ええ。ですから、この辺りの魔物で私に傷をつけるのは無理です。ほら、大丈夫」

「そうだな。さっきも言ったが、その剣はそんなでも業物だったんだぜ?説得力ないけどさ。ってわけでミルチェ、受理してやっても大丈夫だ」

「えぇ……?どんだけすごい服なんですか……」

「……、ほら、私の後見人ってばティーリスさん」

「あ、納得です。過保護が過剰すぎますが」

納得されてしまった。すごい。今後困ったらティーリスに丸投げすることにしよう。……ん?あれ?結局信頼されてるのってティーリスであって私じゃなくね?

……ま、街の外にいけるなら何でもいいや。



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