ぷにぷにの足裏、ぷにぷにの指先
ダラダラ書く用なので、クオリティはそれなりです。
「やだ、豆できてんじゃん!?」
道沿いに生えてるちょうど良さげな木の木陰に座り込んでブーツを脱いでみると右足の親指に豆があった。
それじゃなくても両足痛いのに。いや、ほんと骨が軋むような痛み。
あと、踵やら小指の付け根やら擦れる部分の肌も赤くなってるし。靴のサイズは合ってるハズなんだけどなぁ。
「あー、もう、一歩も歩きたくないなぁ」
このヤワな身体が本当にイヤになる。ぷにぷにした足の裏、筋肉を感じさせないふくらはぎ。やったら細い足首。
ちょっと歩いただけでこのザマだ。
正直、足を川の水にさらして、そのまま小一時間ぐらい昼寝してたい。
けれどここには川はないし、お日様は真上でギラギラしてるし、ココでじっとしてては次の街に着くことなく日が暮れる。
それはまずい。
「……はぁーあ。しゃーねーなー」
大きくため息をつくと、また生ぬるい靴下とブーツを履き直し、ザックを担ぎ直してまた歩き始めた。
まあ、まだ私はいいよ。他の冒険者に比べれば身軽だからね。
革製ならいざ知らず、金属製の鎧とか着てるやつの気が知れない。
とはいえ、ザックの中身は衣服が数着、保存のきく軽食が少しと水筒、それと簡易な調理器具とちょっとしたナイフ。
そしてウクレレ。
やっぱし何だかんだで重たいんだよね。確認はしてないけど、たぶん肩の辺りも皮むけてるし。ヒリヒリしてる。
はー、早くゆっくり腰据えて休みたいなぁー。アト何時間歩けばいいのか知らんけど。
「ま、こんぐらいじゃ死なねぇし、キバっていくかー」
痛いのも我慢して歩き続けていけば、そのうち体の方が慣れていくさ。そっちの方は知ってる。
「おっちゃん、ホントあんがとね。正直野宿覚悟してたわー」
「さすがに、あんな死にそうな顔して歩いてる奴を放ってはおけんかったわ」
と、苦笑いを浮かべる人の良さそうなおっちゃん。
結局休憩後歩き出してはみたのの、足の痛みで大して距離を稼げてないところに
偶然通りすがった行商人のおっちゃんの馬車に拾って貰った。
「でもゴメンね?わたしお金持ってないや」
「ほう、そりゃ残念だ。まあ、いいさ。話し相手になってもらえれば。一人で暇してたんだ」
「だったらまあ。あ、なら、何曲か弾こうか?こっちも練習代わりになるし」
「お、なら一曲頼もうかね?何が弾けるんだ?」
「んー……じゃ、これなんてどう?」
私はウクレレを胡坐をかいた足の上にのせて弾き始めた……。
「痛っ!……あー、ごめんね、おっちゃんここまでだわ」
左手の指先が切れて血が出てきた。弾けなくはないけど、痛いのを我慢してまで弾くような場面でもないし。
「大丈夫かい譲ちゃん?」
「あー、平気平気。でもまだ弾き慣れてなくて」
「そうかい。しかしその割には上手だったなぁ。勇者様のサーガかぁ。飲み屋で何度も聞いた曲だが、嬢ちゃんみたいに楽し気に軽い感じで弾いてるのは初めて聞いたな」
「よく聞く重厚な感じが良かった?」
「いいや。おっちゃんにはこっちの方がワクワクして楽しかったよ。ほらよ」
そういっておっちゃんがコインを投げ渡してくれた。
「え、ちょ!?おっちゃん、これは乗せてくれたお礼だってば!」
「だとしたら貰い過ぎだ。ほれ」
そう言って軽快に走っている馬を指差す。
「嬢ちゃん、支援魔法使っただろ?おかげいつもより随分早く街に着けそうだ」
「あー……、こっちの都合だから」
「それでもだ。若いもんが遠慮するな、貰っとけ。なんかおっちゃんの肩こりの方もだいぶ軽くなったよ」
「……じゃあ、遠慮なく。あ、おっちゃん」
「なんだい?」
「もう少し先に生き物が2匹。たぶんワイルドボアみたい」
「……すごいね嬢ちゃん、そんな事も分かるのかい?まあ、おかげさまで馬が元気だからやり過ごせると……」
「いや止めて欲しいんだわ。できれば狩りたい」
「……危なくないかい?」
「平気平気。それより言ったじゃん」
私、お金ないんだわ。
おっちゃんにはボアの少し前に止めて貰い、私は荷台から降りて2頭のボアと対面していた。
こちらを二頭とも鼻息荒く見据えていて、今にも突っ込んできそうだった。
「とりあえず」
指が痛いのを我慢してウクレレを弾く。曲に相手の動きを鈍化させる魔法を乗せる。
これでまんま戦うよりは楽なはず。
鈍化の魔法で刺激を受けたのだろう、2頭ともこちらに突っ込んできた。
「ッ!まずは、一頭ずつ!」
突っ込んできたところを横っ飛びで避けると、すれ違いざまウクレレで殴り掛かる。
ギュィ~~~ン!
「ィエーーイ!ロックンロール!って、倒せてない!?」
殴ったボアはヨロついたものの、またUターンしてこちらに突っ込んできた。
「くッ!もう一回!」
もう一度突っ込んできたボアをまた横っ飛びで躱して同じように首元を殴りつける。
ギュィ~~~ン!
今度はゴキッと骨がどうかした音が鳴って、ボアは変な姿勢で倒れこみそのまま動かなくなった。
「じゃ次ッ……って、あれ」
「終わったかい、嬢ちゃん」
もう一頭も仕留めようと目をさまよわせたが、首を切り落とされたもう一頭のボアとブロードソードを手に持ったおっちゃんがいた。
「……お強いんですね」
「長年行商やっていると、多少は身に付くものさ。おまけに今回はノロかったっし楽させて貰ったよ。それじゃ下処理しようか」
「あ」
「どうした嬢ちゃん?」
「これ持って街中歩かなきゃいけないのか……」
こんな重たいもん持って歩き回れるか!後先考えてなかったよ……。
「……おっちゃんで良ければ買い取ってやるよ。しかし嬢ちゃん、戦闘もできるんだな?てっきり良いトコのお嬢さんの訳アリ家出とかかと思ったんだが」
「アハハ、そんなんじゃないよ。不良娘には違いないけど、親は百姓だよ」
「そうは見えんがなぁ、まあ、この場限りだ、深くは聞かんよ」
「ありがとうございます」
血抜きして解体してとやってたら、街に着いたのは夕方だった。
おっちゃんはおまけが増えたと喜んで、私も相場並みに買い取って貰えてホクホクだった。
おっちゃんと別れると、私は勝手知ったる道を進み、目的の家の扉をノックした。
「おーい、来たぞー」
ガチャッと、ドアが開く音がし、開いた隙間からだいぶくたびれた感じの爺さんが顔を覗かせた。
「あ?誰だお前?」
「あ?なんだとコラ?」




