表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
level 4  作者: 主道 学
7/34

コールタール

コールタール その1


 後方から電気自動車が派手に鋼鉄にぶつかる音がした。

 

「なんだ?! 事故りやがったのか……?」


 振り向くと、電気自動車は線路を走る燃え盛る鋼鉄の一つにぶつかり煙が大量に遥か上に昇っていた。


 モウモウと黒煙を吐き続ける電気自動車は、灼熱の炎によって溶解し壊滅状態となっていた。


「ありゃ? 生存者か? それとも誘拐でもされたのか?」


 こちらに小学生くらいの子が走って来た。

 手にはおれのパイプクリーナーを持っていた。


「ああ! 良かったー! おじさんがいた!!」


 小学生くらいの子が走りながら手を振った。


「ああ、良かったな。坊主どこから来た?」


 おれも安堵感からかニコリと笑っていた。


「学校帰りに友達とゴミ屋敷を探検して、そしたら部屋が降りだして」

「そうか。おれもだよ。ゴミ屋敷からここへ来たんだよ」


 坊主の顔を見ると、血色が良くすこぶる元気そうだった。

 可愛げのある顔で、背は少し低い方かなと思った。


「ぼく大久保 とおる!」

「おれは近道こんどう 保志やすしだ。お互い無事で良かったな」


「あの車は? 徹くんは乗っていたのかい?」


 一瞬、徹はブルッと体中で震えた。


「ち……違う! あの車はぼくを轢こうとした! だからこのパイプクリーナーでタイヤを滑らせて……」


 おれは内心よくやったと思った。

 感心して、徹の頭を撫でた。


「よくやったぞ! 徹くん! あのパイプクリーナーはおれのだ!」

「うん! おじさんもありがと!」

「ところで、徹くん……ここの出口を知らないかい?」

「え? おじさんも知らないんだ……」

「ああ……」

「そっか……」


 そこで、おれは震えだした。

 誰が言ったんだ!!

 車は一台じゃないんだ!!


「徹くん! 逃げるぞ!」

「へ?!」


 さっきと同じ電気自動車だった。

 もう一台の電気自動車が観覧車の下からおれたちを目指して、走ってくる!


 闇の中よりも奥深く。夜よりも暗い場所から産業機械に明かりがつき全てが動き出し始めた。


 ウィ―――ン……。

 ウィ―――ン……。


 それぞれの機械音を発して動く産業機械は、まるで目があるのかと思えた。おれたちを観察しているかのような薄気味悪さを覚えるセンサーなども備わっている。


「あそこに逃げるの!!」

 徹くんが叫ぶ。

「ああ! 電気自動車に乗った奴がおれたちをあそこへ追い込んでいるんだ。ここは一旦、洞窟の中に入るしかない!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ