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level 4  作者: 主道 学
6/34

地下巨大施設

 そう、昔聞いたことのある電気自動車の音だった。

 タイヤの音以外は、エンジン音がなかなかしない。

 

 車はスピードを上げたみたいだ。

 

 ギュッギュッっと、タイヤが地面と擦れる音が後方でしていた。

 まるで、ぼくをかなりの速さで正確に追いかけているみたいだった。


 ぼくは怖いけど、観覧車の下や複雑な線路の上をジグザグに走った。

 息切れで苦しくなった。


 過呼吸になって、それでも風の吹く反対の方向へと走りに走った。


「あ! そうだ! パイプクリーナー!!」


 ぼくは、パイプクリーナーを地面にぶちまけた。


 こうすれば……。


 後方を見ずに一直線に走り、前方に出現した暗い洞窟へと向かった。




巨大地下施設 その3


 ウンウンと自動車の唸る音。それと同時に、線路を激しく熱せられた真っ赤な鉄鋼が走った。


 超高温の鉄鋼は東の方の真っ暗な洞窟へと向かっている。

 暗闇の洞窟内が焼けた走る鋼鉄によって、内部がここからわかった。産業機械が所狭しと立ち並ぶ。何かの工場のようだ。


「ヘッ、へッ、ゼエ……」


 おれは走っていた。

 脇腹を抑えて。

 不気味な洞窟へと。

 こんなところ一秒だっていられない。


 後ろから電気自動車が追いかけてくるようだった。


「おれを轢く気かーー!! この野郎ーーー!!」


 取り敢えず後ろで運転している奴に唾を吐いて、怒鳴った。

 ここは、どこだ? 

 どうなってる? 何がどうなってる?


 一体? ここは地球のどこなんだ?


 おれは何故こんなところにいる?


 それになんだか、わざとらしい。


 機械でおれを轢き殺したり、ミンチにしようとか、バラバラにしよとか……要するに殺したいんだろう。


 冗談じゃねえーーー!!


 もはや、ここがどんな場所なのかわかってきた。

 様々な機械で人殺しをして、何かの研究とか実験とかをしようとしている。そんな感じだろう。




巨大地下施設 その4


「ふぅーーー」


 一通りの調査のデータ整理を終える。

 眠くて仕方がなかった。

 また一夜漬けだ。


 PCの脇に置いてあるコーヒーを飲むと、眠気が少しは覚めてきた。けど、このところ調査依頼が増えるばかりだった。


 それも不可解な死体の。


「一体。あのゴミ屋敷は何?」


 これで8件目だ。

 事件なのか? 他殺なのか? たんに事故なのか?

 あるいは、悪戯なのか?


「どうみても、これは悪気がはあるわね」


 三年前からの〇県〇市のゴミ屋敷で起きる事件。

 いわば都市伝説にもなっていた。

 それを調べてほしいという依頼を受けていた。


 最初は、元々は事故物件にもなっているからだろうと思った。

 でも、いや違う。

 あそこで死んだとされる依頼人の一人娘のことも関与しているはずだ。


「あら? もうこんな時間?」


 腕時計を見ると、もう朝の8時だった。

 窓の外は明るかった。


 依頼が来てから不可解な事件が起きるようになった気もする。

 ゴミ屋敷の過去を調べていても未だよく分からないところも多々あった。


 今日はそのゴミ屋敷に行く予定だった。


 建物の看板にある探偵事務所兼土地家屋調査士という名を見てから愛車のドアを開ける。


 うーん……。自分でいうのもなんだけど、向いていないかも知れないわね。この仕事……。


 土地家屋調査士は、土地の売買などでその現状を所有者に代わって法務局に登記する仕事だったけど、憧れだった探偵歴は長いけど、まだ駆け出しで。


 例のゴミ屋敷の所有者がどうしても土地を売りたいと前から依頼していたから。すぐに引き受けた……。

 仕方ないわね……。

 けれど、そこで起きた事件ごとだったのよね……。


「最悪の適任ってわけね」


 ハンドルを回しながら、川岸へと走る。


 今までの試験の努力を別方向へと向けることも考えた。だけど……。時間もないし、お金もない……。



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