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level 4  作者: 主道 学
2/34

プロローグ

「ほんとよねー。あそこの家の人。とても良い人だったのに」

「まあ、仕方ないのよね。だって……」

「あら、そうかしら?」


 ミ―ン。ミ―ン。ミ―ン……。


 いくら耳をすませても、蝉の鳴き声。電柱の影の近所のおばさんの話し声。

 それしか聞こえてこなかった。

 

 もう少し待つか?

 うーん。

 

 おや?


 ドアが開いてる。


 玄関前のスペースには、木々やゴミ袋が埋めていたが、ドアはすんなりと開いた。

 

「よし、入っちゃおう。不法侵入にはならないだろう」


 水漏れは、酷いと聞いているからすぐに見つかるだろう。

 蛇口から、風呂場、トイレ、洗面台、洗濯機など水の出るところは数は限られている。




水漏れ その2


 学校帰りに少し探検に行ってみようと誘われた。


 なんでも、あの家だった。


 ぼくは、知っているから。あまり近寄らないようにしていた。


 窓際からのギラギラとした太陽は、ぼくの机に大きな影を生み出している。

 ぼくの友達でこの教室の中で、一番大きい男の子の影だった。


「なあ、ちょっと見てくるだけだよ」

「うん」

「いいだろ。そうだろ」

「うん。あまり気は乗らないけど。……いいよ」


 6-2の教室の喧騒が、急に静かになった気がした。

 

 下校時間になると横断歩道を渡り、あのゴミ屋敷まで歩いていく。大きな男の子は興奮している。なんでも、ゴミ屋敷だし。それは当然なんだ。


「ねえ、外から少し見るだけにしようよ」

「バカかお前。家の中を見るんだろ」

「えええええ」

「だって、見たいじゃん」


 付近はシンと静まり返って、学校の教室から何もかもが無音だった。

 まるで、ぼくだけが音の無い世界にいるみたいだ。


 少しだけ悪臭が漂ってきた。

 元は良い人の家だったけど、今ではゴミ屋敷だった。


 住んでいた人は昔は綺麗好きだったとか、収集家だったとか、三年前から色々と言われるようになっていた。


 ぼくも顔を知っている。

 岩見さんは、とても良い人だった……。


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