番外編 小ネタ集2
※今回は本編で差し込もうか悩んでお蔵入りにされた話をショートショートでお送りします。
【新聞】
「あら?」
オリヴィアが新聞紙を読んでいると、ちょうどアデック王子の環境問題への提唱というコラムが書かれていた。
「昨今では機械化が進むにつれて工場から出される有害なガスによる大気汚染が懸念されており、やがて国民にも甚大な被害を被る事になりかねない。その為にも、まずは工場の時間規制、そしてガスをなるべく出さない様石炭の使用率を下げるべく……」
「これ、本当にアデック王子が書いたのかしら?」
「流石にアデック王子が書いたんじゃないかしら?」
エマはそうフォローする様に言うが、オリヴィアはいかんせん信じていなかった。
【説明】
「そう言えば大分前に話は遡るんだけど、ルーカスはシーラさんに私の事何て言ったの?」
私は物凄く今更な質問をルーカスに訊く。
「え? 普通にオリヴィア様の素晴らしさを語っただけだが?」
「素晴らしさを語った?」
オリヴィアはそれを聞いて何となく嫌な予感がした。
「オリヴィア様は器用で料理も出来て手芸も得意でそれから……」
「それから?」
何だか自分が褒められているのを聞くのは恥ずかしいなと思いつつも続きを聞く。
「オリヴィア様の冷ややかな目線にゾクゾクしてしまうしオリヴィア様に名前を呼ばれると脈拍は早くなるしオリヴィア様に呆れられると鼓動が早くなるしそれから」
「あんたは何を言っているの?」
オリヴィアはそう引き気味に尋ねる。
「それです! オリヴィア様! その眼でもっと俺の事を見てください!」
「え? 何? 普通に気持ち悪い」
「もっと言ってください! もっと!」
「嫌なんだけど」
オリヴィアは怖くなり逃げ出したとさ。
【社交界でのクリス】
「はぁ、エマお嬢様は相変わらず可愛らしくて頼もしくて素敵な方です……」
クリスは社交界で遠くからエマの事を眺めていた。
すると、エマの近くにノアもやって来た。
「ノア様……可愛いなぁ、女装したら私より凄く似合いそう。小顔だし、肌も綺麗。良いなぁ、羨ましい」
ノアは知らぬ所でクリスから尊敬されているのであった。
(但しノア的には不本意な理由で)
【庭園】
「ねぇ、ノア」
「嫌だ」
庭園で休んでるノアの元へとオリヴィアが声をかけるも、内容を言う前に断られてしまった。
「ねぇ、お願い! もう一回女装してみて!」
「だからい・や・だ!」
最近オリヴィアは事あるごとにノアに女装をお願いしていた。
「あんなに似合ってるのに一回だけだなんて勿体ないわ!」
「勿体ないも何も俺は男だから!
フリフリした女物なんて着ないから!
そもそも最近オリヴィア姉様そればっかり言ってくるし!」
そうノアは少し怒っていた。
「素の俺じゃあ嫌なのかよ……」
「ノア……
別に素のノアが嫌じゃないのよ。
ただノアの女装姿が見たいだけで!」
「それが一番傷つく」
ノアは落胆してそう言った。
「……そんなに俺の女装が良いの?」
「うん。何かこう小動物を愛でる感じに近いというか」
「まさかの小動物扱い」
ノアははぁ、と溜め息を吐いた。
「……ならオリヴィア姉様が俺の言うこと聞いてくれればやってもいいけど?」
「本当!?」
そうオリヴィアは眼を輝かせる。
ノアはニヤリと笑いながら自身の指を唇に当てて言う。
「唇にキスしてくれたらやってあげてもいいよ?」
「うーん……分かったわ」
「え?」
ノアは内心焦った。
こう言えばオリヴィアが大人しく引き下がると思ったからである。
「いや、今の聞いてた?」
「唇にキスよね?」
「いや、だから! 普通そこは諦める所では!?」
ノアがそう言い返すも、オリヴィアは堂々と宣言した。
「別に、私今後誰かと付き合う事も無いかもだし、ファーストキスをいちいち気にする事もないかなって」
「だから! 大事にしろって前に言ったじゃんか!」
「何よ? ノアは私とキスしたくないの?」
そうオリヴィアがノアに顔を近づける。
「~~っ!
駄目! こういうのはちゃんとお互い好きじゃなきゃ意味ないから!」
そうノアは顔を赤らめてオリヴィアを突き放す。
「ノアって意外に純情よね」
「うるさい!」
頼むから色仕掛けをしてこないでくれよと内心焦るノアなのであった。
「あーあ、駄目だったか」
「そのオリヴィア姉様の執念は何なんですか本当に」
【可愛くなりたい】
ルーカスは前にメイド服を着てみたも、満場一致で似合わないと言われてしまった。
「俺も可愛いって言われたかったな……」
「ルーカス様、失礼します」
すると、ルーカスの部屋にメアリーが入ってきた。
「メアリー、どうすれば俺は可愛くなれると思う?」
「また変な事を言い出しましたね〜。
それよりこちら来週の予定なのですが」
「あ、ああ」
メアリーはスルースキルが高かった。
【リベンジ】
エマは考えていた。
どうしたらオリヴィアが可愛いドレスを着てくれるのか?
「うーん、こうなったらゴリ押ししかないわよね、という訳でオリヴィアちゃん!」
「何がという訳よ!?」
こうしてオリヴィアはいつもの如く強引にエマの部屋へと連れていかれる。
「さあオリヴィアちゃん♪
是非こちらのドレスに着替えて?」
「何でよ、嫌よ」
勿論、即断られる事もエマの想定範囲内である。
「うふふ、オリヴィアちゃん、こんな事したくないんだけどね?」
そうエマはオリヴィアに抱きつき組み敷いた。
「ちょっと! 前にもこんな展開あったわよね!?」
「うふふふふ~さぁオリヴィアちゃん、着替えましょうね~?」
「い、嫌あぁぁ!」
そうオリヴィアは何とか抵抗しようと、咄嗟に前に習った護身術をかけてみた……のだが。
「うふふ、私には効かないわ!」
そうあり得ない程の力で押し返された。
嘘でしょ……。
オリヴィアはゾッとした。
それから着ているドレスのファスナーが少しずつ下されていく。
「いや、やめ、ひゃあ! あっ……!」
ちょうどオリヴィアの背中の敏感な部分にエマの手が当たったらしく、妙に甲高い声を出してしまった。
オリヴィアは恥ずかしさで顔が赤くなり目が潤んだ。
それを見たエマの手が止まる。
「もう自分で着るから退いて!
……エマ?」
エマの鼻から血がドバドバと漏れていた。
「いやヤバいヤバいその量は駄目な奴!」
オリヴィアは取り敢えず持っていたハンカチをエマの鼻にあてがう。
「オリヴィアちゃん、私、何だか、昇天しかけましたわ……」
そう何やらふふふと顔を赤らめて不気味に笑う。
「いやよく分からないけどまずはハンカチちゃんと押さえてくれない?」
その後オリヴィアがメイドを呼んできてエマを安静にさせて事なきを得た。
【手料理】
これは、シーラの誕生日の前日の事。
「出来たわ!」
シーラはキッチンでクッキーを焼いていた。
「へぇ、シーラ姉さんクッキーなんて作れたんですね」
そうルイスは実の姉を少し茶化しながら言う。
「わ、私だってクッキーくらい焼けるわよ!
ほら、一枚食べてみて?」
そうルイスはシーラから渡されたクッキーを一口齧る。
「……こ、これは!?」
不味い。
とてもじゃないけどお世辞にも美味しいなんて言えない。
「ね、姉さん、このクッキー、何か入れた?」
「あ、気付いちゃった?
隠し味にね、オリーブオイルに、ヨモギに、バジルに、ジンジャーに……」
そんなもの普通のクッキーに入っていたっけ?
ルイスは頭を抱えた。
「どう? 美味しい?」
そうシーラはキラキラとした眼でこちらに感想を求めてくる。
「いや、その、まz」「美味しい?」
不味いと言いかけるも、すぐ様圧をかけて質問される。
「え、えっと……まぁ、食べられない、事は、なくもない、かな~?」
そうルイスは目を必死に逸らしながら答える。
頼むからこの反応で気付いて欲しい。
「そうなのね!?
初めてだから不安だったけど、良かったわ!」
何をどうポジティブに捉えたのか、シーラは何故か大喜びしている。
「これでルーカス様もきっと喜んでくれるわ!」
(止めることが出来ずにごめんなさいルーカスさん……!)
ルイスは心の底からルーカスに謝罪した。
【ニュース】
オリヴィアとエマがふとテレビでのニュースを見ていた時の事だった。
「……それでは続いてのニュースです。
アデック王子が隣国との協定を結びに行った際の映像です」
そうニュースキャスターが伝えた後、映像が切り替わりアデックが映し出された。
「えー、こちらとしては隣国と共に更なる発展、繁栄をもたらすべく、また、大国に抵抗するべく手を取り合う事が今必要な時であります。(隣国の言葉で喋っています)」
「……これ外国語喋ってるの本当にアデック王子……?」
「私も何だか信じられなくなってきたわ……」
普段とのギャップに、2人は困惑したのだった。
因みにアデックがこの隣国に出張に行ってる時にルイスに猫を預けていたりします。
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