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風かしら?

「オリヴィアお嬢様、具合はどうですか?」


 あれから数時間後、メイドがまた部屋へとやって来ていた。


 エマが連れて行かれた後、私は少し寝た為か先程よりは身体が軽くなっていた。


「お陰様でさっきよりは気分が良いわ」


 それからメイドは私の額の上に置いていた冷やしタオルを外す。


 どうやら寝ている間に乗せられていたらしいが、ひんやりとしていて気持ちがよかった。


「それは良かったです。

それとお医者様がお見えになりましたので、今お通ししますね」


 メイドはそう言った後に部屋の扉を開けた。


 そこから、白衣を着たおじ様が入ってきた。


 歳こそ取っているが優しそうな顔つきで、若い頃はモテてそうだなぁ、と無粋ながら憶測する。


 そのおじ様の医者は食欲はあるかとか痛いところはないかなどいくつか質問をしてきた。

 私はそれに手短に返す。

 それから熱を測ったり脈拍をとったりなどされた。


 今まで医者に診て貰ったことなどない為、私は勝手が分からず取り敢えず医者の言う通りにしていた。


 一通りの問診が終わって医者は口を開く。


「普通の風邪ですね。

昨日から急に冷え込んだので、身体が冷えてしまったのでしょう。

暖かくして安静にしていれば良くなります。


それとこちらは身体を暖める効果のある薬草です」


 そう言って医者はメイドに何やら野菜? 草? を手渡した。


「ありがとうございます」


 メイドはそれを受け取りペコリと頭を下げる。


「では、また何かありましたら伺います。お大事に」


 そう言って医者と、案内の為にメイドも一緒に部屋を去っていった。


「ふぅ、医者に診られるとなると緊張するわね」


 その後、医者の案内を終えたメイドが戻ってきた。


「オリヴィア様、お昼は食べられそうですか?」


 メイドにそう問われるも、しかし風邪のせいか、はたまた寝たきりで動いていないせいか、そこまで食欲はない。


「あんまりお腹は空いていないから、軽めのものにして欲しいわ」


「かしこまりました」


 それからメイドはまた部屋を出ていった。


 しばらくして、ドアがコンコンとノックされる。


「お昼をお持ちしました」


 私はドア越しに聞こえる声に妙に違和感を感じた。

 その声は明らかにメイドの声ではなく、男性の声なのだ。


 執事が持ってきたのだろうか。


「……入っていいわよ」


「失礼します」


 すると、若めの燕尾服を着た眼鏡の男性が入ってきた。


 男性は前髪をオールバックで上げており、そのせいか、より一層綺麗な顔が目立つ。


 お陰でジーッと顔を見なくても誰なのかすぐに分かった。


「ルーカスでしょ」


 そう言われた燕尾服の男性はビクッと体を強張らせた。


「オリヴィアお嬢様、何を仰っているのですか?」


 こちらもエマと同様シラをきるつもりの様だ。


 というか、前髪を上げて余計に顔を出しているのに何故バレない自信があるのだろうか?


 お陰でカッコ良さが3割増になっている。


 この姿を見たらシーラを含むルーカスの取り巻き共は卒倒しそうだ。


 それはそれで面白そうだから見てみたいでもある。


「ルーカス、その髪型もカッコいいわね、それで今度の社交界に出てみたら?」


「え? 本当ですか!? カッコいいですか!?」


 私の言葉に素直に執事服の男性もといルーカスは喜ぶ。


「やっぱりルーカスなんじゃない」

「はっ! しまった!」


 私はすぐに側に置いてあった呼び鈴を鳴らす。

 するとすぐ様メアリーが駆けつけた。


「ルーカス様、何をしてるんですか!?」


「メアリー違うんだ!

頼む! 後生だから!」


「全くあなた達は本当に目を離すとすぐオリヴィアお嬢様の元へ行こうとするんだから!」


 メアリーはそのままルーカスの腕を引いて部屋を出て行った。


 メアリーも大変だなと私は少し同情する。


「はあ、これで残りはノアだけか」


 私はこの調子だと絶対来るだろうなと予想する。


 しかし、考えるのも面倒臭くなったのでオリヴィアは取り敢えず運ばれてきたお昼を食べる事にした。


 お昼を食べ終え、暇になったオリヴィアは取り敢えず勉強でもしようと思い、文学の本をベッドで上半身を起こした状態で読む事にした。


 すると、窓から何やらコンコンと物音が聞こえた。


「?

風かしら」


 そう思いオリヴィアは窓の方を見やると。


「あ、気付きましたー?」


 外の木の枝にノアが座っていた。


「何やってんのよあんた!?」


 因みに私の部屋は3階である。


「こう木が近くにある部屋ってセキュリティ面低いですよね?」


 ノアはニコニコしながらそう言った。


「まあ、それもそうね……。

じゃなくて!

危ないでしょ!? 早く降りなさいよ!」


 私は窓を開けて抗議しにいく。


 因みに下を向くと、割と高さがある。

 10mは軽くあるだろう。


「僕の事そんなに心配してくれてるんですね?

でも大丈夫ですよ、こう見えて運動神経良いので!」


 ノアはそう言って木の枝の上に立ち上がる。


「見ててこっちがハラハラするからやめてくれない!?

心臓に悪いわ!」


「オリヴィア姉様が僕の事でドキドキしてくれるだなんて……」


 ノアは顔を赤らめながらそう言う。


「いや、違う! 断じてドキドキの種類が違う!」


「あ、それより庭園で美味しそうな葡萄がなってたんですよ、食べます?

ちゃんと水洗いもしてるから大丈夫ですよ」


「あらありがとう……。

じゃなくて!」


 私はノアから葡萄を受け取りながらツッコむ。


「取り敢えず降りなさいよ!」


 私がそう言うとノアはジーッと下を見て答えた。


「オリヴィア姉様、僕下に降りるの怖くなっちゃいました⭐︎」


 ニコニコとノアは宣言する。


「いや嘘でしょ」


「なので、オリヴィア姉様の部屋にお邪魔しますね!」


「え? は!? ちょ!」


「オリヴィア姉様ー危ないので窓から離れて下さいね!


よっと!」


 私が止めようとしたのも束の間、ノアは木の枝から軽くジャンプして私の部屋の窓枠に着地した。


「やっぱりこの部屋セキュリティ面甘いですよね」


 そうニコニコしながらノアは私の部屋に入ってくる。


「まさか木を登って人が入ってくるなんて普通想像しないわよ!」


 しかも結構な高さがあるのだから、もし落ちたりでもしたら、怪我どころでは済まないかもしれない。


「頼むからもう二度とこんなことしないでよ」


 私はまだバクバクいっている心臓を無理矢理落ち着かせようと、胸に手を当てる。


「そんなにびっくりさせちゃいましたか?」


 ノアは相変わらずニコニコと話しかけてくる。


「あ、それよりオリヴィア姉様、具合が宜しくないんですよね? しっかりベッドで寝てください」


 ほらほらと私はノアに押されてベッドの方へ連れて行かれた。


「誰のせいで起き上がったと思ってんのよ」


 と私は文句を言いながらもベッドに入る。


「オリヴィア姉様、風邪を早く治す方法って知ってますか?」


 ノアはニヤリと笑顔で尋ねてくる。


「え? 安静にしていれば勝手に治るんじゃない?」


 私はそう言いながら呼び鈴を手に取ろうとするも、すかさずノアに止められる。


 こいつ、やっぱり他の兄弟を見て学習してやがる……!


「風邪は人にうつせば早く治るって言われてるんですよ?」


「……ふーん。

それがどうしたのよ?」


 叫んでメイドを呼ぼうかとも考えるが、風邪のせいで大声を出す気にもなれない。


 呼び鈴はノアに取られてしまうし、最悪だ。


「試してみませんか?」


「は? 試すって?」


 そう言ってノアは私の顔にゆっくり自分の顔を近づける。


 そして私は両手で近付いてくるノアをグイッと引き離した。


「いきなり何よ?」


「キスでもしたらうつるかなって♪」


 悪そうなことを企んでる様に笑いながらノアはそう言ってくる。


「悪いけど、私は普通に安静にしてるわよ。医者にもそう言われたし」


 私にそう言われてむー、とノアが少し不機嫌になると同時に、メアリーが失礼します! と私の部屋に入ってきた。


「ノア様!

やっぱり姿が見えないと思ったらここにいたんですね!」


「あ、メアリー。

流石に見つかっちゃいましたか」


 いつの間にかまたニコニコとした笑顔になってノアはメアリーと共に部屋を出て行く。


 それと入れ違いで私のお付きのメイドが入ってきた。


「オリヴィアお嬢様、申し訳ございません。私共も監視していたのですが……」


 そうメイドは深々と頭を下げる。


「いいのよ、あの兄弟がずる賢いことは分かってたし」


 それに正直ベッドで寝たきりは退屈だったのて、疲れこそするが、少し話をする分には楽しいとも思える、なんて口に出しては絶対に言わないけど。


「他のご兄弟も、オリヴィアお嬢様の為に何かしたいと今朝からずっと仰ってて、悪気はないんですよ」


 メイドはフォローする様にそう言った。


 まあ、あの3兄弟に少なくとも悪意がないことは分かっている。


「あら、オリヴィアお嬢様、少し顔色が良くなりましたね?」


 メイドに言われて、私も自身の身体のあの重だるさがほとんどなくなっている事に気付く。


「そうね」


 この調子なら明日には良くなりそうだ。


「良かったです。

ではこれ、薬草から作った特性のお茶です」


 メイドはそう言いながら何やら如何にも苦そうな色をしているお茶を出してきた。


「……もう良くなってきたんだし、飲まなくても大丈夫じゃない?」


 私はそうメイドに伝えるも、いいえと返事をされる。


「油断は禁物ですよオリヴィアお嬢様。

しっかり飲んで下さいね」


 ニッコリとメイドは微笑む。


 仕方なく私は軽く一口お茶を飲んでみた。


「……苦い」


 私はしかめっ面しながらそう言うも、メイドは良い笑顔で更に追い打ちをかけてくる。


「きちんと()()飲み切って下さいね」


「え?」



 ある意味、このお茶がオリヴィアにとって人生で一番の嫌な思い出となった。


 そして翌日には完全復活を果たすも、あのお茶を飲まない為にももう二度と風邪は引かないと誓うオリヴィアであった。

 良薬口に苦し。昔から薬は苦手です。


 読んで下さりありがとうございます。


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 もちろん星1でも構いません!


 ブックマークもして頂けたら今後のモチベに繋がります(^^)


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