さぁ、どうしますか?
エバレットが野望を語り出す少し前、アデック一行はオルトレア国王の元へと訪れていた。
「……ゴホンッ!
して、一体何用かな? アデック王子殿。
それに、レイアンまで」
国王は玉座に座りながらアデック達を睨みつけていた。
「どうも国王様。お久しぶりですね」
アデックは睨みつけられている事を気にもせず飄々と話し出す。
「ふん。
私は気が短いのでな。
話なら早目に済ませてくれ」
「なら単刀直入に申し上げますね。
そちらのお望み通り、戦争致しましょうか」
「ん?」
「え?」
アデックのその発言に、国王もレイアンもルーカスも驚く。
「ア、アデック王子!?
戦争するって、一体どういう事ですか!?
さっきオリヴィア様が逃げ出して交渉決裂になったのでは!?」
「まあそれもそうだけど、勝てる戦争ならした方が得だろ?」
ルーカスが慌てて質問するも、アデックは平然と答える。
「勝てる戦争?
ノルトギアがオルトレアに勝てるとでも言うつもりか?」
アデックの言葉を聞いて国王はガハハッと馬鹿にする様に笑う。
「笑っている場合ですか?
こちらはもうレイアン王子を引き抜いてるんですよ?」
アデックは依然涼し気な表情で話す。
「私もう引き抜かれた前提なのですか?」
「そこはまあ、細かい事は気にすんな」
レイアンの冷静な問いに、アデックは軽く返事をする。
「レイアンがそちら側についたところで、こちらにはエバレットがいるのだぞ。
奴の方が優秀だからな」
「まだ気付かないんですか国王様。
レイアン王子が、世間にリーシェ姫の毒の事を洗いざらい吐いたらまずいのでは?」
アデックは挑発する様に国王にそう言った。
国王も一瞬ムッとするも、しかし笑って返す。
「なーにを言い出すかと思えば。
レイアンが毒の事を暴露する訳ないだろ?
そんな事をしたらヒルナレオ家が終わってしまうのだから、自分の首を締める真似なんて」
「別に私はヒルナレオ家が終わってしまっても構いませんが?」
国王のセリフを遮ってレイアンはニコニコと答えた。
「……は?
な、何を言ってるんだ?
そんな事をしてしまえば、お前は国王になれなくなるんだぞ!?」
「別に良いですよ。
大して興味ありませんので。
それよりも、無様に泣き叫ぶ父上様の方が私としては余程見物ですね」
国王が焦りながらそう怒鳴るも、レイアンはニコリと笑みを崩さずそう答える。
「な、何故だっ!?
父であり国王である私に大してそんな侮辱を行っていいとでも思っているのか!?
お前もリーシェと同じ事を言うというのか!?」
「あの女と同じ扱いされたくはないのですが、まあ父上様に思う所があるという点では同じなのかもしれませんね。
何せ一応血の繋がった兄妹ですし」
レイアンは薄く笑う。
「ぐっ……し、しかし、暴露した所でうちとノルトギアの戦力は歴然だぞ!?
それでも戦争を仕掛けるというのか!?」
国王は話題を変える様にアデックにそう聞き返す。
「まあ確かにうちはオルトレアよりはっきり言って戦力は下ですね。
ただ、うちには強力な後ろ盾がいますので」
そう言ってアデック王子はとある紙を国王へと見せつけた。
「……っな! これは!?」
「見てお分かりでしょう?
あの大国のイギリスとドイツと同盟を組んだんですよ」
アデックはニコリと意地悪そうな笑みを浮かべて言う。
「な、何故だっ!?」
「何故って、国王様まだ気付いていないのか?
戦争ばっかりしてるから、目立ちすぎなんだよあんたの国は」
「め、目立ちすぎ?」
アデックにそう言われて国王は訳が分からないとばかりに訊き返す。
「本来うちと同じく弱小国だったオルトレアが、いきなり急成長を遂げて大国へとのし上がったら、そりゃあ他の大国が目をつけない訳ないだろう?
それなのにあんたはそれに気付きもせずに他の弱い国へとちょっかい出して領土を広げていくもんだから、他の大国だって黙っちゃいないさ。
要するに、派手にやらかしすぎたんだよ」
「な、そんな馬鹿な!?」
国王は信じられないと言った顔をする。
「しかも天狗になるあまりに他の国とろくに同盟すら組んでなかっただろ?
弱い者いじめし過ぎた結果だな?」
「これはこれは、流石にあの大国のイギリスとドイツを相手するのは、かなりキツそうですねぇ?」
焦る国王を前に、アデックとレイアンの2人はニヤリと笑顔で問い掛けた。
「「さぁ、どうしますか国王様?」」
「ぐ、ぬぬぬ……」
国王が2人の王子から追い詰められて悔しがっている一方、通信室へと1人の家来がやって来た。
「おい!
通信機はまだ直らないのか!?」
その家来は入ってくるなり修理をしているもう1人の家来へと怒鳴りながらそう問い掛ける。
「頑張ってるんですけど、何せ機材が古くてあちこちガタがきているので、部品を総とっかえしないといけないから1日では難しいかと」
「なるべく早くしろ!
こっちはオリヴィアお嬢様が脱走するわ侵入者がいるわで忙しいというのに!」
そう怒鳴り散らしながら家来の男はバタンッと扉を思いっきり閉めて去っていった。
「なーんてね。
直す気なんてさらさらありませんよーだ」
そう言って家来の姿をしていたルイスはカチャカチャと機械を弄る。
「ふぅ、ここまで弄ればしばらくは復旧出来ないだろ」
ルイスが一息吐くと、何やらトランシーバーから通信が入ってきた。
「……へぇ、なんか面白そうな事になってるな」
ルイスはニヤリと笑いながら、通信室を後にした。
さあ盛り上がってまいりました。
次回も盛り上がると思います。多分。
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