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砂の焔  作者: 南雲司
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ネーネヤシガ

あれ?もう五話?話進んでなくない?

[妙な声のカナリア]

 気流の乱れは雲でわかる。

 と言うより気流が乱れると雲が発生するのだ。

 その常識が砂漠では通用しない。

 雲となるべき水蒸気がない。


「でアタシラがカナリア役ってわけだ」

 カナリア役とは、酸欠に敏感な小鳥を先に立てて進む

 ダンジョン攻略のセオリーからの言葉だ。

「おえーっ」

 虎治ががぶられて妙な声を上げだした。

「空艇乗りが、この程度で酔ってどうする。まあ、良い、虎治、そこはだめだ。引き返せ」

 艦橋には比較的安定している、マリコ方面を指示する。


[シンキジク]

 虎治はゲロまみれになった飛行服を着替えて酒保しゅほに向かった。なんでも、シンキジクとか言う新兵器の説明があるらしい。天馬は整備班の三人の嫁に後始末をお願いした。

 睨み付けられて、なんだかいっぱい約束させられた。


 酒保は満員だった。

「虎治、こっち」

 天空の城以来距離の縮まった感のある、アサミが手招きする。見れば操舵員の嫁達は皆そこにいるようだ。

 あれ?じゃだれも空に上がっていない?

 騎士団の人が出てるの?そっか。


「皆さん注目」

 司令官のシャオがテーブルを叩く。

 城の時もそうだったけど、なんで顔に模様描いてるんだろう?

「明日からこれで訓練をして貰います」

 人形がぴょこりと立ち上がった。


[逃げる]

 飛竜は逃げていた。

 餌と思っていたのが自分と同じ捕食者で、

 しかも集団で狩りをする奴らだった。


 負けることは無くとも勝つ事も出来ない。

 しかし戦えば手傷を負う。

 野生であれば怪我はそのまま死に繋がる。


 勝てなければ逃げる。

 自らの領土を放棄して、

 新たな領土を手に入れる為に逃げる。


 キオトの兵達は逃げていた。相手は飛竜だ勝てる筈がない。弩で一斉に射っても、煩わしげにすがめた眼でいたブレスは一個中隊を焼き付くした。

 円盤機は虎の子と有って、出してもいない。出した処でどうなるものでも無いのだから、正解なのだろう。


 飛竜は、その場で牛を一頭食らって土産にか、一頭を掴んで去った。


[ぶいあーる]

 「すんげー!ぶいあーるだ!」

 虎治は模型モックアップに乗っている。頭に重そうな兜を被り、バイザーを下ろしている。側には木馬の鞍座を模した小さな模型があり、人形が座っている。

 虎治が、頭を巡らすと、同じタイミングで人形も動く、完全に同期しているように見える。おそらく視界も同期されていて、その為のバイザーなのだろう。

「操作してみて」

 シャオが命じる。

「うぃっす」

 操縦桿を動かすタイミングもペダルを踏む動きの同期も完璧に見えた。

「次アサミ」

 ミーティアが告げる。明日からの牽引離艦訓練の為の調整のようだ。


[討伐依頼]

 イェードゥのキオト領に棲み付いた飛竜の討伐に、しかし、他の連合諸国は動かなかった。どの道、追い払うしか出来ない。追い払ったとして次は何処へ移動するのか。

 砂漠の方から来たと言う。テリトリーを追われたか、餌が枯渇したか、何れにせよ戻ることは無いだろう。ならば、イェードゥの他の領地に移動する可能性が高い。飛竜を呼び込むのは御免だ。

 だから動かない。


 サルーはウキウキしていた。久し振りに出番が有るかも知れない。キオトからの空軍派遣要請だ。シャオ艦隊とのトラブルでギクシャクしていたが、背に腹はかえられぬ、と言う事らしい。

「駄目ですよ」

 参謀長が両断した。空軍の功績が大きすぎるのだ。特にサルーに手柄を立てさせる分けにはいかない。

「じゃ、水軍に頼むか」

 消沈した声音こわねでサルー。

「それも問題なのですよね」


 参謀長のアンテナには水軍が反空軍の工作をしているのが、引っ掛かっている。キオトとよしみを結ばれれば厄介かも知れない。

「シャオ様の伝手つてで森人に頼めませんか」


[模型試験]

 台車の上に玩具おもちゃのような木馬が載っている。

 台車は間に合わなかったのか、実機用の物だ。

 実にちんまりと載っている。

 台車と木馬はそれぞれ別のワイアーで甲板に繋がれているが、

 台車のは短く木馬のは長い。


「いつでも良いぞ」

 ミーティアが艦橋で模型に乗っている。

「ではいきます。さん、に、いち、今!」

 整備員が台車を押し出す。

 女性であるからか声が柔らかい。

 虎治はぞくぞくした。根がスケベである。


[響]

 森人達は気合いが入っていた。

 飛竜なのだ。

 森から離れることが出来ず指を咥えていた、飛竜の討伐なのだ。

 しかし、飛竜は森人にとって相性が悪い。

 魔法がまるで効かない。

 空軍から太矢を譲り受けることにしようかと、

 衆儀しゅぎが纏まり掛けた処で、巫女ネーネが発言した。


「前回の飛竜討伐を踏襲する」

 勿論、今回は核爆発など起こさないが、

 まるまま繭に封じ込めてしまえば、素材がそっくり手に入る。

「ネーネヤシガ」「チユラサンネーネヤシガ」

 シャオを称賛する声で森がとよんだ。


[リュウコ]

 リュウコが首を差し伸べる。

「今日は乗るの?」

「クヮ~!!」

「うぉっと、マジ飛んでるよ、あっと、あんまり高く飛ばないでね、怖いから」

「クゥー…」

 苦しげだ。

「無理しないで良いから、降りて降りて、続きはあした、ね」

 墜落前に着地できた。

 リュウコは荒い息を吐いてはいるが誇らしげだ。

「わうわうわう」「ふしゅー」


 異議申し立てがあった。

「え?べちゃってしないと遊びにならない?そう言われてもなぁ」


リュウコがサルーを乗せて初飛行。

今夜は赤飯だ。

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