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砂の焔  作者: 南雲司
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騎兵隊参上

またまた文字数地獄、読者さんには関係ないので、ただの愚痴です。すまそ

[急報]

 エーアスの所に水軍と空軍の航空戦のしらせが届いたのはその日の午後遅く、それでも始まってからまだ三時間も経っていない急報であった。


 執政官は、水軍元帥リオム・クム・カモートスの任を解き、共和国審議に出頭するように命じた。また、嫌疑が晴れるまで今後カモートスにくみする者は国賊と見なされ得ると全国に布告した。

 命令が届き、布告が広まるまで一両日は掛かるだろう。


 遠話缶の通達では、正式な物か判然としないので、書簡を送ることになるからだ。それでもカモートスの目算である[早くて十日]よりは大分短い。


 サルーについては、既にダンジョンに隔離されている状態なので、引き続き無期限の謹慎とした。悪い事をしていないと分かってはいるが、これが政治と言うものだ。


[猛攻]

「右舷シールド被弾、これ以上持ちません!」

こらえろ、もうじき援軍が来る!」

「シールド魔素補充急げ」

「隠蔽の回復はまだか!」


 騎士団母艦は、猛攻を食らっていた。

 四機の飛空艇は整備補充で着艦させたばかりで

 高速で機動を続ける母艦からの発艦は不可能であった。

 仮に出ていたとしても衆寡敵せずではある。


[急行]

 一番艦と二番艦は離艦可能速度四百で急行中である。


「天馬は小隊毎に先行させて、騎士団は八機揃うまで待機」

 水軍機の発艦を確認し、

 警戒の為、半数を護衛に残したのが仇となった。

 飛空艇の補給状況が中途半端で全機で殺到する事が出来ないのだ。


「まさか、後方の騎士団母艦が狙いとはなぁ」

 艦橋要員の士官達が私語を交わす。

 空軍では度が過ぎなければ注意される事もないが、

 本来は軍規違反である。


「迂回して高度を取るためかと油断してたな」

「随分大回りだと思ったんだ、疑うべきだった」

「後方に注意くらいしとくべきだったな」

 私語は上層部への不信を醸成する事がある。


 しかし、若手士官達の成長の切っ掛けを与える事もあるのだ。


[ワルキューレの騎行]

 アサミ小隊は全速で向かっていた。

 戦闘前に手作業で消耗した魔石を入れ換える事に為るが、

 今は経済的効率を考慮する時ではない。


「母艦と思われる、魔素の乱れを感知」二番機が報告した。

「魔石を全交換して、焦ってもミスするだけだから、落ち着いてね」

 今はマリコもサスケラもいない。

 彼女等も小隊を任されているからだ。


「終わったら、報告」


[カモートス]

 カモートス元帥はサルーが腰を据えるであろう拠点の選定をしていた。そこに腕の良い狙撃手を送り込むためである。

 港には恐らく近付かない。水軍からの強襲があるからだ。

 ならば、少し奥まった所にする筈だ。


 見付けた!この村なら理想的だ。サルーはここに来る筈だ。直ぐに陸戦隊一個小隊を付近に潜ませる手筈をする。

 元帥は自分の勘の冴えにご満悦だ。


 相伴の主席参謀は眉を潜める。元々、元帥は思い込みの激しい方ではあったが、此処のところ酷すぎるのでは無いのか。

 思い込みの強さが速断を産み、勝利に導いた事は多々あった。


 しかし、相手は空軍だ。有りとあらゆる、戦略、戦術、作戦を真っ向から叩き割るサルーだ。

 ただの猛将ではない、深慮遠望の知将でもあるサルーだ。


[元帥の仕事]

 そのサルーはぼやいている。

「なんで、ダンジョンで判子捺ししないとなんだ?」

 歪なダンジョンのコアルームそっくりな部屋の真ん中に、大きな事務机があって、書類が山と積まれている。


「共和国、空軍、砂漠の結節点、これらから移動を禁じられているからです」

 書類の山の陰に為っていてサルーからは見えないが、事務机の左角に小さな座布団を載せた小さな祭壇が有って、デュプリケイトコアの一つが乗っている。

「でも、こんなのまであるぞ」

 ピラピラとと振る書類は女性用生理用品の決裁書だ。さすがに紛れ込んだのだろうが、コアは自分の仕事をする。

 仕事とは何があってもサルーに作業を完遂させる事だ。虎治との数年で鍛え上げられた天職でもある。


「そもそも栽下は首長の仕事、身体が一つしかないので部下に割り振るのは合理的ですが、いま現在元帥のお身体はお空きに為っておられます。ならば、本来の職務を遂行すべきかと」


 サルーは騙された。


[騎兵隊]

 のたうつ母艦を眼下に納めながら、アサミ達は上昇する。

 焦っては行けない。

 機速が足りなければ、すぐに手詰まりになる。

 まぐれで数発貰えば、隠蔽も消えるのだ。


 その時機速が足りなければ水軍の揚力胴には勝てない。

 高度が十分になった。

 アサミは空軍伝統の突撃令を使うことにした。

 騎士団への救援なのだ。


「突撃する、いくわよ、騎兵隊トルーパーズ!!」


[ワルキューレ]

 上部銃座には陸戦科の候補生達が並んで応戦していた。

 二機の水軍機が迫る。

 母艦は回避機動をする。

 銃座からの射線は乱れて当たる気配もない。


 当たった処で多少シールドを削るだけなのだが、

 それでも恐怖心は和らぐ。

 候補生達はもう駄目だと、思った。

 この二機は手練てだれだ。


 射線を交わし母艦の機動の鼻先に肉薄してくる。

 突然一機の翼が千切れた。

 もう一機はくるんと背面になって回転しながら墜ちていく。

 艦体を掠めて急降下する機体が隠蔽フィールドで干渉したのか、

 一瞬姿を現す。


「天馬だ!ワルキューレが来たぞ!!」

 歓声が上がる。

「俺たちの勝ちだ!」


アサミ「いくわよ、野郎共トルーパーズ

列機「うちら野郎共じゃないし」

アサミ「…」

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