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砂の焔  作者: 南雲司
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無敵ワルキューレ

空軍tueeee回

[騎士団型鷲型]

「各艦五千に占位」

 傍受を嫌い命令は発光信号で伝達される。

 前扉型で鈍足の騎士団母艦は今回は下がって貰う。

 その代わり後扉型の二番艦に鷲型を八機積み、

 騎士団母艦には陸戦関係の[非戦闘員]を移乗させてある。


 騎士団員も付け焼き刃で高速離艦を習得して貰ったが、

 慣性バイアスが使えない為、

 安全性の高い降下布式での離艦となった。

 また初めから艦内運用の設計であった為、

 艇底に車輪が付いていて台車の必要がなく、

 手順は簡略化された。


[芳し]

「事故ってさ台車が原因じゃないの?」

 三人娘は騎士団の離艦サポート員として二番艦に移っていた。

 彼女等の眼には横向き離艦の原因になりそうな物が、

 他に映らなかった。


 彼女等が体験している安定的な離艦は、

 門扉を水平にしたお陰で後方乱流が小さくなったから

 でもあるかも知れないが、

 確かに台車の微妙な狂いが軸線をずらし

 激しい乱流と相まって横向き離艦を発生させた可能性はある。


 二番艦にて三人娘は一目置かれるようになった。


[騎士団母艦]

 シャオに拒否された森人由来の技術は、飛空艇に付いてであって飛空艦は含まれていない。騎士団はそれに気付き狂喜した。森人の隠蔽は高空に上がった騎士団母船をほぼ完全に隠してしまうのだ。後方に置き、静かに静止していれば見付かることはないだろう。


 しかし、母艦艦長は不満だった。まだ一個小隊載せている。後方過ぎない位置から参加させて貰っても良いのではないか?

 艦長は母艦をジリジリと前進させた。


[発艦]

 このまま身を隠したまますり抜けられれば良いのだが、

 木目シャオはそうは上手くいかないと知っている。

 飛空艇一機程度ならいざ知らず、飛空艦レベルであれば

 隠蔽による魔素の乱れは、容易に感知され得る物となる。


 その為の魔道具は嵩張るので、飛空艇に積むのは難しいにしても、

 軍艦なら普通に搭載されているだろう。

 後は、何れくらい飛空艇の操舵員に

 魔術の素養の有るものが居るかだ。


 視認は出来ないだろうから狙いは大雑把になる。

 隠蔽の効果はある。

 そう思っていると、策敵機から

 水軍機の発艦が始まったと報告があった。


 見付かったらしい。

「全機離艦せよ」


 ミーティアは紫の薔薇中隊ワルキューレスコードロンを飛行甲板に集めていた。

「敵はお前達を殺しにくる、躊躇うな、殺せる時は確実に殺せ」

「でないと、死ぬのはお前達だ。お前達の仲間だ。一機でも残せば味方の誰かがしぬ。そう思え」

 その時、離艦命令が出た。

「全機離艦せよ」


[此方一中]

 水軍航空隊は二つの隠蔽らしき魔素の乱れに向かっていた。それぞれに一個中隊。先導機は魔素を感知出来る者に任せてある。ある程度近付かなければわからない。なので母艦からの遠話による指示で今は飛んでいる。


「此方一中、距離はどれくらいか」

「後数分で到達出来る距離と思われる」

 この遠話缶も、空軍からの技術だったなと、中隊指揮官は皮肉に思う。その時、先導機が爆散した。


[ミーティア]

「いいか、初撃は編隊の頭を狙え、魔素感知を持つか、指揮官の可能性が高い」

 ミーティアはそう言うが、自分が落とす気満々である。まあ、ミスった時の保険としての訓示だ。初撃でと言うのは、後は、乱戦になってどれがどれだか分からなくなるからだ。


「全部落としちゃっても良いの?」

 模擬で一度も撃墜判定を出した事の無い操舵手が訊いてきた。

 勿論、虎治だ。

「出来るならな」

 この能天気さは本当に助かる。

 ミーティアでさえ手のひらに汗をかいているのだ。


「全機突撃、いくぞワルキューレ!」


[空戦]

「ブレイク!ブレイク!」

 水軍中隊長は散開指示を出し、ゾッとする。

 敵が見えないのだ。

 真っ直ぐ飛んでいては殺られる。

 それだけを思いジグザグに機動する。


 しかし、それは悪手だった。

 良好な急降下速度を利してダイブするべきだったのだ。

 虎治の初の撃墜は水軍一中一番、中隊長機になった。


 水軍第二中隊は二番艦に向かっていた。

 と、大胆不敵にも二番艦が隠蔽を解いた。

 それに気を取られた水軍機二中は鷲型の逆落としに

 気付くのが遅れた。


 忽ち四機が墜ちた。

 騎士団は八機だけである。

 この一航過で数の不利は無くなった。

 残ったのは上空からの急降下に依る、速度の優位である。


 同数と為ったからと言って、

 一対一で戦う事に為るとは、限らない。

 律儀に命令を守り強襲艦を狙う者も出る。

 三人娘は並んでその律儀者の、水軍機の相手をしていた。

 顔を真っ黒にして。


黒色火薬ばいえんマジうざい~」三娘A

「帰投したら、綿火薬進言する」三娘B

「…」頷いて同意したいが戦闘中なので目線が切れない三娘C

 二番艦は自立ボルトを三本食らったが

 真空シールドで実害はなかった。


[乱れ]

「全滅?」

 第二次攻撃隊の準備中にその報告は届いた。

 中止すべきか、いやそうすると、攻撃されるのは此方の艦隊だ。

 低速の水上艦では一溜まりもない。


「二個中隊で、一艦を狙え」

 これは負け戦なのか?艦隊司令には分からない。


「でもさ、なんで隠蔽きれたんだろーね」三娘A

「さっき移動中に三娘Aが機銃で引っ掻けて魔石落とした」三娘B

「えーあれー?なんであんなとこにあんのさ!」A

「交換に便利」三娘C


 水軍二個中隊の指揮官は大回りで出来るだけ上昇してから接敵する事にした。敵に気付かれぬ程の大回りだ。その途中母艦の魔素探知も届かぬ位置で、先導機が魔素の乱れを見付けた。

あー、だから言ったのに的な展開の予感

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