砂の焔その1
本シリーズでたまに使われるトルーパーズですが、米騎兵隊からの引きです。この騎兵隊はTrooperとは表記しますが西欧のドラグーンと同じ性格の部隊で、極論すれば高機動歩兵です。なので、ベトナム戦争時のヘリボーンもトルーパーズと呼ばれました。ハインラインのスターシップトルーパーズは有名ですね。
と言う事で、一見似つかわしい「いくぜ野郎共」は騎士団には使えないのです。
[シャオ]
いきなり、サルーとのリンクが切れた。サルーだけでなく、今しがた繋いだばかりの幼竜と、なかなか懐いてくれないマリーとか言う番犬の、これは大分前に繋いでそのままに為っていたリンクも切れた。
なんとなく、予感はしていた。あの飛竜と同じだ、おそらく転移だ。だとするとカマーンチュに託したメッセージの砂漠のダンジョンに跳んだのかも知れない。
シャオは該当する検索網を辿って、サルー達を探し始めた。
[転移]
暫く、森人の言葉を聴いていたリュウコは、一際高い声で「クェーー!」と鳴いた。サルーが、いつもと違う声音に違和感を持った次の瞬間、回りの風景が変わっていた。砂漠じゃねーか。
「森人のお嬢さん!うちの子に何したの!」
言葉は通じない。
が、声の調子から非難されているのは分かるだろう。
て、お嬢さん、慌ててないか?
森人は、盛んにリュウコに語り掛けている。
つい早口になる気持ちを押さえに押さえて、語り掛けている感じだ。
してみると、この事態は森人にとっても予想外の事なのか?
小首を傾げてリュウコは「クヮックヮ」と返事する。
あ、いまネーネって言った。シャオが関係してるのかな。
[翼竜]
「なんだ、これは?飛竜の子供の大群か?」
カンナプスの問いに、遠話缶が答える。
「翼竜の成体、ブレスは吐かないが魔法が効きにくい」
木目シャオが管制に座っている様だ。
翼竜は着地ポイントで待ち構えていたらしい。
二番艦は降りるに降りられない。
旗艦はどうしてるかと見ると、オアシスの真上で、
下方に銃撃をしている。
降下部隊の援護だろう。
とまれ、陸戦隊が降りない事には、
先行した降下部隊のの全滅もあり得る。
「状況!翼竜の殲滅、各個に掛かれ!」
「二小二番、被弾!敵にブレスあり!」
「管制、ブレスを吐くぞ!」
「情報に不備があったと認む、敵ブレスの脅威度が不明、報告を待つ」
「一旦、上がれ。編隊を組み直す」
[コアルーム?]
先行してオアシスの中央部に舞い降りた虎治達は、ワラワラと湧いてきた翼竜からなんとか逃げ出し、曰くありげな洞窟に避難するのに成功した。しかしこれでは作戦の成功は覚束無い。
取り敢えず入り口に掩体を構築する准尉達。虎治は人形数体と奥の安全を確認する事にした。
人形達は虎治が作った物より大分洗練されていて、四つ足に至っては背に水撃銃を装備していた。使わなくなった空軍からの払い下げ品だろう。この人形達について虎治はまるっと頓着していない。工作人形が改良したのだろうくらいに思っている。調べてみればすぐに空技厰謹製のマークが見付かるのだが。
「て、ここコアルームじゃん」
歪なダンジョンのコアルームがそこにあった。
[木目シャオ]
木目シャオは管制席で小首を傾げていた。アーカイブからの情報では湧いてくるのはリザードの筈であった。或いは上位召喚体のリザードマンの出現も有り得ると準備もしていた。
「なぜ、翼竜が」
しかも、なにがしかのブレスのスキルを持つ、明らかな上位体だ。
女性艦長が後扉を開ける様に指示した。上がっている天馬を回収するのだろうか。と、木目シャオに高速時離艦の許可を求めて来た。シャオは許可しない。
「高度を上げて」
翼竜の機動が鈍ると期待できる五千メートルでの発着艦を示唆する。
「着艦待て、五千に上がる。総員酸素瓶用意」
着艦を済ませてからでも良いのでは、とシャオは思うが口出しはしない。艦長には何か理由があるのだろう。
[干渉の元]
「興味深いですね」
「コア!何処に行ってたのさ」
「アーカイブに待避してただけですよ?」
アーカイブ内からでも召喚は可能の様で人形達の召喚には問題なかった。
「森のダンジョンに干渉していたのは、どうやら此処で間違いないみたいです」
「どゆこと?」
虎治にもWシャオ間のリンクが阻害されている事は、報告してあるのだが、理解の外だったらしく、飲み込めていない様だ。
と言うよりシャオと木目シャオがリンクで繋がった別個体である事に未だに気付いていない。木目シャオは、シャオの顔に模様を描いただけの同一人物だと思い込んでいる。
関わる事の少ない嫁達ですら知っている事なのに、この鈍さはテンサイ的とすら言える。
「何処からか干渉されているのです」
面倒に為ったコアは説明を省く。
「でも、なんで?」
そう、そこから始まってくれなくては困る。
[ダイブ]
三千付近で編隊を組み直したカンナプスは、二機一組の編隊戦を指示した。敵にブレスがあるなら互いに援護しながらでなくては、万が一がある。
「二小二番、被害の状況はどうか」
「シールドに五%の消耗」
まだ余裕ではある。しかしカンナプスは第二小隊の帰投を命じた。交代要員だ。二十分で戦線に復帰、三小と替わる。
「潜るぞ」
八機が、一斉に背面になる。
[再転移]
「クーヮ!」
森人の長い説明?に何事か納得したらしいリュウコがまたあの違和感のある鳴き声を出す。
今度は長い。
「クークークェークックッ」
空中に転移門が出現した。
森人に入れと促している。
まじか。門を抜けた先は神樹の真上だった。
やっとリュウコが絡んで来てくれました。




