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砂の焔  作者: 南雲司
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ワルキューレ南へ

前々作での主人公であったサルーの出番は、果たしてあるのでしょうか。

[門戸]

 三軍の若手士官不足は深刻で、例年なら見向きもされない、義塾の成績下位組にも、声が掛かる事が多くなった。

 軍官僚の養成を旨とする義塾であってみれば、前線指揮にはあまり成績は関係無いのだが、その事に気付いているのは恐らく空軍だけだろう。それが他の二軍にも知られる事になる。そして、人材の供給が安定する迄にはまだ数年掛かる。

 サルーは思いきって兵学校の門戸を拡げる事にした。


「幹部養成科ですか?」

「一般市民対象だねー。卒業で三曹、指揮官訓練も受けさせるから大尉までは昇進出来るよー」

 構想を聴いた参謀長は、顎に手をやって考える。

きつい教育になりますね。兵曹として通用する技量に指揮官としての知識も叩き込まなければならない」

「駄目かなー」

「学校を分けた方が良いでしょう。同じ所だと、温い教練の奴が士官で緊い俺達が何で兵曹なのだと不満が出かねない」

「その上で、兵学校に速成科を設けて兵曹や上級兵達に士官になる道を開くのではどうでしょう」

「そっちのが、良さげだねー。それで段取りして」


[ヤブサメ]

 カマーンチュは地表すれすれを疾走する木馬の上で

 何もつがえていない短弓の弦を引き絞る。

 狙いは三つの的、

 すれ違い様にひょうと、

 弓鳴ゆなりを放つ。

 目に見えぬ魔法の矢は三つの的のほぼ中心に穴を穿った。


「すげー」

 虎治の口は開きっぱなしだ。プラトーンの黄色い歓声が木霊する。

 初等科終了を目前に控え、

「お前達の腕は随分と上がったが、自惚れるなよ、上には上がいる」

 との、メデューサ(鬼教官)からのメッセージの籠った森人の試技だった。


[遠征訓練]

 イェードゥの南に広がる砂漠の中程に死んだダンジョンがある。そこへ兵学校の仕上げとして、遠征訓練を行う。

 早いもので虎治達がキャンプに参加してからもう三年目に入っていた。


 参加するのは、プラトーンの他に、陸戦科、主計科、整備の実技を兼ねて設計科、護衛も兼ねるのか陸戦隊から特殊戦分隊。

 陸軍ならえっちらおっちら徒歩の行軍と為るのだろうけれども、空軍の事とて二隻の強襲艦に分乗しての、空路となる。


[護衛]

「虎治!機位を保て、ふらふらするな!」

「うへーい」

 勿論、護衛はワルキューレ達の仕事である。最初の輪番には、当然ながらミーティア、二番機にはいつもの如く虎治。

 母艦となる一隻には十二機の天馬型(木馬)が搭載され、輪番で護衛に着く。一艦に付き一個小隊四機、計八機が空中に出て、四機がチェックと整備を受ける。乗員は五十名の内空戦科の十二名と汎用操舵科の十二名で回す。


 ちなみに、汎用操舵科と言っても、ミーティアの初等訓練を受けているのだから、並みの戦闘機乗りでは、太刀打ちできない程の腕がすでにあるのだが、世間も、本人達もまだそれを知らない。


[合流]

 元の国境線から南は長年のイェードゥとの係爭地でその間係でイバーラクが貰い受けた。この地を管理することに為っていた小国からは、代わりに賠償の免除の要求が出されたが、根拠がないと突っぱねた。

「すると、これからは貴国との係争地となることになる。宣戦布告と見なすが宜しいか」この小国は唯一この戦で領土の拡張が出来なかった国となった。


 その元国境を越える辺りで騎士団の鷲型が合流してきた。

「カンナプス少尉ではないか、元気にしていたか」

 空軍を退役した元士官らしい男に空技教官の一人が話し掛けた。

「今は中隊指揮官ですから、大尉相当ですよ」

 プライドの高い男らしい。

 空技教官は大袈裟に敬礼をする。

「失礼いたしました、大尉相当中隊指揮官殿」

 教官は中尉で階級は逆転した事になる。しかし、カンナプスはキチンとした空軍式の答礼を返し、敬意を示す。


 お互いに肩を叩きあい、再会を祝すために酒保へと向かった。

「しかし、どうするんだ?鷲型十二機も載せる場所はないぞ」

 合流したのは一個小隊だが、後続がある。

ふねを一隻買ったんで、急遽参加が決まったんです。あ、これ、機密です」あー、あれかぁ。

 教官殿にも思い当たる節はある。森への避難に使った二隻のでっち上げ強襲艦の一隻だろう。武功艦だが、さすがに新鋭艦と比べると見劣りする様になっていた。


「あれ、ちっこくねえか?十二機も載らんだろう」

艦長かんのながさと艦幅も拡げて、結構な大型艦になってますよ」

 おっつけ追い付いてくるだろうと言う。

「よくそんな改造資金があったな」

「それが、ただ」

「?」

「交渉に行ったのが、元団長の忘れ形見で」

「あー、そう言う事か」

 騎士団はサルーのツボをよく知っている人材を大量に手に入れていた。


[託宣]

 騎士団の母艦の到着を待って、再び艦隊は動き出した。南ではなく東へだ。煩わしい小国の国境線がイェードゥには無数に走っている。それを避け湖水上に出る。

 一番艦の艦長は拡張してさらに鈍足になった騎士団母艦に足を合わせるように指示した。多少の遅れは止むなしか。

 顔に木目の張り付いた少女に話し掛けた。


「宜しかったのですか」

「問題ない」

 シャオにとっても騎士団の参入は心強い。なにしろ、この遠征は例の如く神樹の要請を受けての物なのだ。精鋭では諸国に緊張をもたらす。新樹の託宣にも[雛鳥を連れて]とあった。

 しかし、何があるかわからない。

 特殊戦分隊と騎士団の鷲型は戦力になる。


出来れば砂漠の中で完結させたいですね。

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