雀
忘れないで、と
名残惜しそうに窓に痕を残す
その硝子には夜の匂い
夢の中で貴方を忘れて
時間の外で貴方を愛して
何か一つでも得られたかしら
透き通った青い世界は
私の視界を揺らして惑わせて
其処には意味も目的もない
貴方はまだ夢を見てるのでしょう
世界に二人
タップダンスで目を覚ました夢を
手品みたいね
タネも仕掛けもない
貴方をきっと、忘れることもない
どうしたらいいの
何かを争えば、戻れるのかしら
どうかこの嘘だけは見つからないように
少し疲れただけ
目に止まった瓦斯灯の
青い燈が何故だか愛おしくて
鈴なりの優しさ
でも本物は一つだけ
夢見がちはもう沢山
嘘みたいね
雨も日陰もない
彼方にいっそ、旅立つこともない
どうしたらいいの
一羽では何処にも行けないの
青い瓦斯灯に揺られる私は
貴方とは違う、ただの雀