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「はい、そこまでですよ」
え?女性の声?俺は声がした方に目をやった。炎ではっきりとは見えないが、レンズの背後に人影が見えた。そして、人影の方から炎を飲み込む程の水がこちらに流れ込んできた。
「うっそーんぼぼぼぼぼぼぼ、、」
俺は完全に飲み込まれ、店の隅に流されていた。店はというと、完全に炎は消えたがテーブルも椅子も丸焦げになり、その残骸はあちらこちらに流されていた。窓はもちろん全て割れていた。
そして放火魔おレンズは、カウンターまで流されたのか、そこでぐったりしている。
それよりも、、あの人影は?俺が顔を上げると、そこには銀髪の少女が笑顔でこちらを見ていた。
その少女がレンズに近づき、軽くレンズの頭を叩いた。
「こら、やりすぎですよ」
「あんたに言われたくないわよ!」
レンズがびしょ濡れになりながら少女に言い返していた。
レンズが着ている服が濡れているため、体のラインがはっきりと見え、少し透けてブラが見える、、なんて事を期待していたが、レンズはパーカーを着ていたため、体のラインも透けブラも見えなかった。
だが、これはこれでなんかいいなーっと思い直視しているとレンズが立ち上がり、俺を睨みながらも噛みつく勢いで言ってきた。
「私はあんたを絶対に許さな、、なな、何見せているのこの変態!」
変態?何のことだ?なんとなく自分の体を見てみると、Tシャツを着ていたため濡れて乳首が透けていた。俺は、すぐさま手で隠した。やばいめちゃくちゃ恥ずかしーー穴があったら入りたいー!
「晴人さん、レンズがご迷惑掛けてずごめんなさいね」
少女は真剣な顔で俺に頭を下げてきた。なんだこの子、レンズの知り合いか?別にこの子は、大量の水をぶっかけてきただけで、むしろ助けてもらったのに、レンズの代わりに謝りに来るなんてできた子だなー
すると、人が頭を下げているのにもかかわらず放火魔は、
「ファル!なんでこいつに謝っているの?!悪いのはこいつよ!」
「この放火魔何様だ!少しは、このファルって子を見習えよ!」
「なんですって!?!」
俺とレンズが睨み合い、それを見ていたファルがまるで小学生の喧嘩を見ているかの様な目で俺たちを見ている。
「てかあんた、目障りだからどこかに行ってくれる?ここで私たちは、ある人を待ってるの、だから早くここかあ消えて」
「言われなくてもこんな所出て行くって!」
俺は、ここがどこだか分からないが、ここから一刻も早く出たい一心で、その場に立ち上がり、店のドアに向かって歩き出した。
「晴人さん待ってください」
ファルが俺の袖を引っ張り俺を呼び止めた。
「ちょっとファル!なんで呼び止めてるのよ!」
それを見たレンズはもちろん突っ込んできた。でも、なんでファルは俺を呼び止めたんだ?
まさか俺に気があるのか?おおーーー!これは恋の予感ーーー!
するとファルはレンズの言葉にきょとーんとしている。
「なんでって、晴人さんがレンズが言ってた「ある人」だからですよ」
「「え、、、、はーーーーー!?!」」
俺とレンズが驚いているのを見るなり、ファルは今更という顔をしていをる。
「こ、こいつが、う、嘘でしょ、嘘」
レンズが俺の方を残念そうに見てくる。てか、ある人とが俺?どういうことだ?
しかも、呼び止めた理由が、、 気があるわけじゃないのか、残念だ、。
取り合えず聞いてみないと何も始まらない。
「あのー「ある人」ってなんのことだ」
俺が質問すると、ファルが今の状況を全てを理解したのかポンっと手を叩き、笑顔で言ってきた。
「あーそうですよね、言ってませんでしたよね」
ファルは、レンズを無理やり俺の前に引っ張り、二人並んで自己紹介を始めた。
「まず最初に私から、ファル・オルティスと申します、レンズとは幼馴染で護衛をしています」
ん?護衛って、レンズの?護衛って普通は、大統領とか天皇陛下とか、あとは、、、まさ王族とか、、
んん?え、、まさかね、
ファルがレンズの背中を背中ポンっと軽く叩いた。挨拶しろと伝えているのだろう。
レンズは、しぶしぶ挨拶を始めた。
「レンズ・ヒストラスト、、」
レンズが言い終わると、ファルが全く大事なところを言ってないと言わんばかりの顔をしてた。ファルがため息を吐き、レンズについて話した。
「レンズはこの国、レティナスの君主グレン・ヒストラスト陛下のご氏族で、レンズは、王女なんです」
「レ、レンズが、王女?、、、うっそーーーー!」
「ほんとよ!」
あまりにも以外で、取り乱してしまった。まじかー姫様だったんだー、
てか、姫様って、こんなに怖いの?、もっとこう、、おしとやかだと思ってた。
俺があまりにも驚いているのを見たレンズは不貞腐れたような顔をして
「なんか文句ある?」
「いえ、何にも、、、、」
その様子を見ていたファルが笑顔でとんでもない事を言ってきた。
「そして、板垣晴人さん、私たちがこの世界にあなたを呼びました」