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少女駆ける  作者: 嶽gac
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作戦会議

 正直、相手をナメていた。

天狗といったら団扇というイメージで、両手塞いだら大丈夫と思っていた私は甘かった。


「次はゼッッタイに捕まえるからっ!」


 天狗の笑い声が聞こえた方に叫んだ。


***


「よっ、犯人捕まんなかったの?」


 朝会って開口一番それなんかい、と胸の中でツッコミをいれる。


「……また被害が?」


「いや、なんか目が怖いんで。」


そんなに目つき悪かったのか。確かに昨夜はあんまり眠れてないけど。


「んで、どうすんの?犯人捕まえないと、ラーメン奢ってやれねぇけど。」


「それは困るんだよなー。なんかアイデアない?アイツ捕まえる。」


「そうだなぁ」と考える人ポーズをとるミカサ。その時、SHR開始の予鈴が鳴った。


「あー、昼に食堂のいつもの席で落ち合お。アイツの情報のこともあるし。」


「分かった。じゃ、また昼な。」


そう言ってミカサは自分の席に帰っていった。


 昼休み。待ち合わせの席に(トンカツ定食ギガ盛りを持って)向かう。


「………なんか一人増えてんだけど。」


「あ、来たきた、って何!?そのご飯の量!?」


こっちもビックリだわ。彼女は……同じクラスの雲居(くもい) 白奈(しろな)だったか。いつも教室で友達と弁当食べてる彼女がなぜここに。


「いや、さ?なんか朝に面白そうな話が聞こえちゃったもんでさぁ。来ちゃった☆」


「来ちゃった、じゃないわ。」


「オレも止めたんだけどな。着いて来ちゃった☆」


ミカサをどついて席に着く。


「橋田さんいつもその量なの?そんな食べて太んないとかマジで羨ましい。」


「そんなことより例の犯人のことだけど。」


シロナを無視して本題に入る。


「対峙してみて分かったのは、まず犯人の属性は天狗だったということ。」


うんうんと頷きながら聴くミカサと無視されて少しショックを受けてるシロナ。


「次に、奴は手を使わずに風を起こせること。それも私が吹っ飛ぶほどの。」


「「何それスゴい。」」


見事にシンクロする二人。この二人もスゴいが、奴は本当にスゴかったのだ。


「だから少しでも気を抜いたらすぐヤラレる。」


「じゃあ橋田さんは油断したってこと?」


シロナにデコピンして話を続ける。


「だから、奴を捕まえるにはその点注意しないといけない。それで、何か作戦ある人。」


「じゃあオレが。」


ミカサがすぐさまに手を挙げた。コホンと咳払いをして話し始める。


「それでは。オレが考えた策は単純で、天狗の嫌いな物を持っていく、ってものだ。」


「天狗の嫌いな物?」


天狗の嫌いな物ってなんだろう。


「昔から、天狗は青魚が嫌いだって言うだろ?だからそれを持って来んだよ。」


 天狗は青魚が嫌いとか初耳なんですけど。そういえばコイツ、妖怪辞典とかよく読んでたっけ。


「だけど、天狗の属性持ちってだけで、本人が青魚嫌いというわけではないと思うけど。」


「むむっ、確かし。」


 好き嫌いは人それぞれ。それは幻人も変わらない。属性に影響されるわけではない。


「じゃあ、三人がかりで取り抑えたらいんじゃない?」


「三人がかり?」


「そ。アタシと白峯くんと橋田さんの三人。」


 確かに、三人いればイケそうだけど……。


「手伝ってくれるの?」


「アタシは良いよ。どうせ帰ってもヒマだし。」


「オレも大丈夫。今日はバイトないしな。」


 ……そうか。何も一人にこだわる必要は無いのだ。信用できるのなら、頼ることも時には必要だ。


「それじゃあ……よろしく、頼む。」


 この時私は、"友達"という関係が、どういったものなのかを、改めて理解した気がした。

 第四話ですね。今回はまた、新キャラが登場しました。気づいている人少ないでしょうが、実は彼らの名前、小倉百人一首の詩をいじってつくってます。

 天ちゃんは、小式部内侍の「大江山いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立」から。


 さて、短いですが今回はこれで終わり。ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。また次回の後書きでお会いしましょう。

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