スカートめくり魔
幻人は、その属性によっていくつか異能を持っている事が多い。火を操る、水を生み出す、雨を降らせる、等々いろいろある。
そんな中で、天が使えるのは、圧力の操作だ。圧力といっても種類が多い。気圧、水圧、威圧、重圧、等々。天はそれら圧力ならある程度自由に操ることができる。
幻人はこれらの異能の他にも、様々な面において、普通のヒトより優れている。天の場合、特に視力が良く、筋力が高いのがそれである。
木曜日放課後、御多良子町。天は、普段好んで履かない短めのスカートを履いて散歩、もとい、パトロールをしていた。
御多良子町から学校に通っている友達に聞いたところ、今朝も例のスカートめくり魔はでたそうだ。これは早々に捕まえないといけない。
ミカサの情報によると、奴の特徴は二つ。
一つ目。奴が来るときには絶対強風が起こる
二つ目。捲られた際、カメラの連写音が聞こ
える
この二つが大きな特徴だ。スカートめくるだけでなく盗撮していくとか人類悪の他ない。
絶対に刑務所に送ってやる、と決心を胸に、巡回すること三十分。急に風が吹いた。それも、台風のときのような突風。
「来たっ……!」
確信する。奴が現れたと。
と思った矢先、自分のスカートが持ち上がった。しかし……
「残念、その下は体操ズボンでしたっ!」
「ちっ」
それくらいの対策はしてある。
舌打ちする相手に、私は能力を発動する。
「『プレッシャー』!!」
「!?」
対象の動きが固まる。物理では無く、精神的な重圧により体がすくみ、相手は動けなくなる。
「体が……!」
「かかったわね、このど変態野郎!」
「くそっ!幻人かっ!」
能力が切れる前に相手の腕を背中側に押さえつけ、押し倒す。
「……やっぱり天狗か。」
高速飛行能力に、風を起こす力、極め付けはこの高い下駄だ。ここまで揃えば天狗としか言いようがない。
「ふんっ。そういうあんたは何モンじゃ。」
「ああ、それは教えないわ。だってご法度だもん。」
そう。普通、幻人が他人に自身の属性のことを教えることはしてはならないのだ。
見破るのは良いけど。
「そういえばそんなのもあったな。ところでお嬢ちゃん、あんたは天狗がどういうモンか知ってるか?」
……?
動きがすごく速くて空を跳べて風を起こすだけではないのか?
「あんた、何言って……」
そこまで言ったところで、突然突風が襲ってきた。
「天狗が風を起こせるのは知っとるじゃろ。それも家を吹き飛ばすくらいの。」
…まさか!
「やっと気づいたか?つまりは女子ども吹っ飛ばすくらい余裕ってことじゃぁ!!」
ごごごごっ、と風が唸る。
しまった!と思った時には遅かった。その竜巻のような風に、私は呆気なく吹き飛ばされた。
遠くから天狗の高笑いが微かに聴こえる。
まず、この話を読んで頂き、ありがとうございます。まだまだ未熟者で、拙い文章ですが、読んでくれる方がいると作者は大変喜びます。完全に不定期連載なので、リアルが忙しいと二ヶ月とか平気で空いてしまうかもですが、それでも読んでくださる方は良い人ですね。
下手な後書きでしたが、この辺で終わりたいと思います。
それでは次回の話で。