竜の少女
「天ちゃーん、今週土曜空いてる?」
「ゴメン、その日はすでにバイトが入ってる。」
「そっかあ残念。せっかくのケーキバイキングなのに。」
「っ、バイキング………………行きたい、けどその日ははずせないんだぁぁ…」
「しょうがない、それじゃまた写真送ったげるね。」
頼むわ〜と、返事をする。
私、橋田 天は普通の女子高生だ。 "竜の属性"持ちというのを除けば。
この"属性"というもの。必ずしも天性のものというわけではないらしい。かくいう私のコレも、後天性のものだからだ。小さい頃の事はあまり覚えていないが、気付いた時には自身に宿っていた。
今は亡き母は、私が産まれたときには何も無かったのに突然現れたと、言っていた。
結局何故宿っているのか分からないままなのだが、かれこれ十年以上共に在るので違和感は皆無だ。
そして、幻人は大抵の場合、異能を持っていることが多い。私もその一人だ。私はそれを活用して、とあるバイトもやっている。
昼休み
四時間目終了のチャイムと共に、私は早足で食堂に向かう。
「コロッケカレー、山盛りで。あとプリンもお願いします。」
昼間から山盛りのコロッケカレーにプリンまで食べる女子高生など私以外にいるだろうか。私は少なくとも聞いたことは無い。
後ろの人がギョッとした顔で見送る中、私は手渡されたホクホクしてる茶色の山とプリンを持って移動する。窓際のいつもの席で、小さくいただきますを言って山盛りカレーにガっつく。
………うん。最高。
私が味わっていると、私のよく知る顔がやってきた。
「………む。」
「なんで睨むんだ。隣座るぜ。」
背は低いが、クラス一のイケメンで、女子からはそこそこモテる彼は、私が幼稚園児のときからの幼なじみで、この学校で唯一私の属性のことを知っている友達、白峯 ミカサ(しらみね みかさ)だ。
「天はホントに燃費悪いよなー」
「……しょうがないでしょ、そういう体質なんだから。」
「それでも食い過ぎだろ、これは。」
カレーを指差して言ってきた。
「少しくらい食べ過ぎな方がいいの!どうせ太んないしっ、すぐ消化するしっ。」
「確かに、天は細いよな。」
………。
「おっぱいも小さいけどぶぉふっ………!!」
語尾がおかしいのは言うまでも無い。
こいつはいっつも一言多い。いつものことだから普段は聞き流すんだけど、今日ばかりは手が出てしまった。
「……それで、私になんの用?まさか、今のを言うためだけじゃないでしょ。」
「ごふっ、あ、ああ。もちろんまともな用がありまして…。」
流石に応えたのか敬語になっている。ミカサは身を起こすと、少し真剣なトーンで話し出した。
「実は最近妙なうわさを聞いてさ。」
「妙なうわさ?」
「何でも最近、御多良子町でスカートめくり事件が多発してるらしい。」
「…………。」
「お、おいっ!ちゃんと聞けよマジなんだぞ!」
カレーと向き直った私に食ってかかってくる。
「これだけじゃないんだ。その件の犯人ぽいやつ、目撃証言は多いんだけど、動きが速過ぎて捕えれないらしいんだ。」
「……速さは?」
「具体的には分からんが、嵐の風よりは速いらしいぜ。」
なんだそのあいまいな速度。まあでも、確かに速いというのは分かる。これはもう、
「属性持ちとしか考えられないだろ?」
ミカサの考えも同じだったようだ。
「どうする?御多良子町なら、お前の管轄だったろ?」
よく私の管轄まで知ってるな、こいつ。
しかし、確かにほっといても良いものでは無い。いつまで続くか分からないし。でも報酬出ないのもな……。
…………。
「ラーメン。」
「?」
「解決出来たら、今度ラーメン奢ってよ。それが今回の報酬でいいから。」
「報酬無かったら動かないつもりだったのかよ…。まあいいか。いいぜ奢ってやろう。」
契約完了。
「そんじゃあ明日の放課後、早速いってみるかな。」
と、冷めたカレーを口に運びながら天は言った。
プロローグから1か月ほども経ちまして、間がすごく空いていること、謝罪します。
ここで言い訳をさしてください。
高校生にとっても、この時期は大変忙しいのです。期末テスト、山のような宿題、休み明けテスト、
部活の大会。
書く時間がホント無くてですね。
それでも、何とか完成させられて良かったの一言。
ここまで読んで頂いている方は親切な方たちです。
こんな拙い文章ですが、読んでくださった方皆さまに感謝感謝。
それではまた、次回で会いましょう。