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003 ボッチがいる場所ってど~こだ?~おやじギャグ検定初級試験問題(嘘)

《ガンファーレ大王国 国王》


「なんと……、勇者はレベルアップをしなかったというのだな?」


 信頼のおける臣下からの報告は、耳を疑う内容だった。


「はっ。勇者は修練場に集めましたスライム、約二十匹を処分しましたがレベルアップには至りませんでした」


「……当然、他の者に回す余裕もなかったか」


「残念ながら……」


 困ったことになった。

 満を持して、召喚した勇者が使い物にならないなど、あってはならないことだ。


「陛下、このままでは他国に溝を開けられるばかりです。早急に手を打たねば!」


「……うむ。わかっておる」


 世界の危機に際し、勇者召喚を行った我が国だが、その対応は他国……大国に大きく出遅れる形となっておる。

 危機に瀕したのが最も遅かったことが原因だが、最初に召喚を敢行した国からはすでに十年も遅れてしまった。


 もし、このまま他国の勇者が世界を救うような事態になれば勇者を出してもいない我が国の力が落ちるのは目に見えておる。

 それだけは避けねばならん。


「……やむを得ん、多少手荒な手段になっても勇者の覚醒を急ぐ必要がある」


「では、予定通り我が国近郊に巣食う賊共の討伐を指揮します。どうやら異世界の勇者は人殺しを嫌う風習があるそうですが、モンスター退治と偽っておけば問題ないでしょう」


「ほどほどにしておけ。でなければ勇者たちに死に物狂いで襲いかかってくるような輩が出て来んからな。ほどよく追い詰め、退路を断った後は勇者が始末をつけてくれる」


「……問題は勇者以外の者たちですな。今のところ、協力的な者は現れませんし……。何よりも彼らの力をまだ把握できていないのも痛い所です」


「欲を言えば使えそうな者たちは全員確保しておきたい……が、そうも言ってはおれん状況じゃ。最悪、勇者以外は死んでも構わん。勇者の覚醒を最優先として行動せよ」


 なあに、伝承では勇者は仲間思いが多いと聞く。特に同郷の者には甘いとな。ならば共に召喚された者が危機に瀕すればいい方向に転んでくれるやもしれんからな。


「かしこまりました。では、そのように手配を致します」


「……うむ、任せたぞ。…………あぁ、念押ししておくが年頃の娘たちは極力奴らに近付けんように気を配っておいてくれ」


 勇者は歳の近い娘が近寄ると自分に好意を持っていると勘違いする生き物らしいからな。

 我が娘である姫には言い聞かせてあるが、貴族の娘に手を出されれば彼らと衝突する事態になりかねん。国内に余計な火種をばら撒かれるような事態を避けるのも、王としての役目よ。


「もしも、要求されれば近くの村を襲って若い娘を攫って来てもよし、あるいは賊共の中に年頃の娘がおれば与えてやれ。わかっておるとは思うが……」


「与える際には、奴隷の契約をしっかりと交わし我らに逆らえぬようにしておきます」


 流石じゃな。

 よくわかっておる。

 村を滅ぼされて無理やり従わされているという悪評も怖いが、逆上した勇者も恐ろしいからな。


「獣はよく調教して主人に逆らえぬようにしておかねば、意味がないからな」




『ぼっち~ぶっち~ぼちぼちぶっち~♪』


 一人さびしく歌ってみる。

 場所はお城の近くにあった墓地。

 一人ぼっちな私は墓地にいる。


『まさか、眠気も感じないなんて……』


 便利だけど、本格的にユーレイになったみたいでヤな感じ。

 本当に死んでる……なんてことはないよね?


『それにしても、この白いやつ本当に何なんだろう?』


 勇者(笑)がスライムを倒した時に出てきた白い塊。

 特に力を込めてもいないのに、離れないからさっきから捨ててみてる。


 ぶち、ぷち、ポイポイ!


『自由に捨てられもしないなんて、勇者(笑)に似て粘着質なんだね』


 墓地に着くまでに壁に擦りつけたりして剥そうとしたけど、一向に離れなくってすっっごく焦った。

 それが墓地に来たら急に千切れるようになってるから驚き桃の木山椒の木だよ!


 あぁ、それにしてもどうしよう。

 一人だけ完璧に孤立しちゃってるよ……。

 これじゃあ、もしもクラスメートが地球に帰るってなっても置いていかれるパターンじゃない。


『とりあえず、これでラスト!』


 ふぅ~、ようやく全部捨てれた。


『考えてても始まらないし、一旦お城に戻ろっかな!』


 お城を探検するのも楽しそうだし、クラスメートの寝起きドッキリとか……そう言えばあの王様の枕元に立つって約束もしてたんだっけ!


『ふぃっふぃっふぃ~楽しくなってきやがりましたよ!』


 そうと決まれば善は急げ!

 転んでもただじゃあ起き上がらないタイプだってところを見せつけてあげるわ!


「――ちょっと、待ってもらってもいいかな?」


『へっ……?』

ちょっとした王様の腹黒さが見え隠れする中、次回からは急展開!・・・正確には次話からようやく話が進みます(物語的に)。

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