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派遣先は魔法世界でした。その10

ジョンがいない。

できる限り周りを見渡すもどこにもその姿はない。

待って、ジョンは連れていかれたって事?

それに、私は確かに一匹倒した。

そのハーピーは、今さっき見たフォルドコアトルと比べると明らかに小さい。

つまり・・・子供?

まさか繁殖してるの?

あんな生き物が?

ありえない、信じたくない。

できればもう相まみえたくないのだ。

でもジョンを助けるためにも確実に戦わないといけない。

バサッバサッ

強風に混じって聞こえづらいが頭上から大きな鳥がたくさん飛ぶ音が聞こえてきた。

おそるおそる頭上を確かめてみた。

空には、ジョンを足で捕まえているおそらくフォルドコアトルと思われるハーピー。

ジョンは、気を失っているのか、動かない。

そしてそれを囲むのが、5匹。

自分が初めに見たのと同じサイズもいるが、それよりも大きい奴の方が多く居る。

それらの集団は、バサッバサッと大きな音を立てて山のもっと上の方へ飛んでいった。

その後をなるべく音を立てないようにしながら山の上までついて行った。

自分が見たあのリスは、最後の生き残りだったのだろうか?

はたまた囮?

ここまで生き物を一匹も見ていないのだ。

ほぼ確定で囮だろう。

もしも、他の生き物が生きているならば、その力を借りるというのも案外良いかもしれない。

その少しの可能性にも賭けて、山を登りながら生き物の痕跡を探す。

少しなら時間の猶予もあるはずだ。

私の時は襲ってきたのにジョンは連れて行かれた。

そのことにだって理由はあるはずだ。

それにジョンは確か、ナイフと銃を所持していた。

所持・・・?

この世界に来てから忘れていたがトランシーバーを持っている!

そう思い出して、支給品の鞄の中からトランシーバーを取り出す。

チャンネルとか詳しいことは分からないが、変に弄らずにトランシーバーに声を掛ける。


「ジョン?ジョン聞こえる?」


ザザッと時折ノイズが走る。

どうか、つながって!

そう願っているとジジッザーーとまたノイズが入った。


「雪子さん・・・ですか?私は、巣らしきところへ連れてこられています。フォルドコアトルの子供らしき物はまたどこかへ飛んでいきました。頂上にある大木の上だと思いますが・・・私もできる限り抜け出そうとしてみます。」


「ジョン・・・生きてたのね。私にできることはない?」


「あの一番大きい個体を見つけた時に大きな動物の痕跡がありました。おそらく猫の類いです。力を借りればあるいは・・・」


「わかった。探してみる、でも何もなかったら・・・無理矢理にでも助け出すよ。」


「恩に着ます。では」


音はそこで切れた。

私がやること、それはただでさえいる気がしない生き物を探し可能ならばその力を借りる。

それでダメなら身を挺してでも助けに行く。

そう言えば、ジョンはあの大きい個体を見つけたときに痕跡があったと言っていた。

少し上ってきてしまっているが、あまり距離はないから下ってその痕跡とやらを探そう。

今居るところまででは何一つ痕跡はなかったから急ぎめで下っていく。

そして、ジョンのいた木までたどり着いた。

ここで見つけていたと仮定して目に見える範囲をよく探す。

この位置は地面があまり見えない。

とすると、痕跡は木とか少し高い位置にあるはずだ。

よく周りを見渡して痕跡を探す。

あれか・・・?

一本の木に一点集中で縦にたくさん引っ掻かれた跡。

実家では猫を飼っていたことがある。

よく爪研ぎに家の壁が被害に遭ったことがあった。

ジョンの予想は合っていた。

だとしても、どこに居る・・・?

その傷だらけの木に近づき爪痕に触れてみる。

大きい爪だ。

猫?ではなさそうだ。

それにたしか野生の猫にとっての爪研ぎは一種のマーキングでもある。

なら、周りの木も探してその中心付近にいると考えられる。

まさか、こんなところで実家の猫のことが役に立つとはな・・・


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