二話
「話はわかった。」
門番の男の人が話をしてから、村長さんの家に入った。
「ありがとうございます。村長さん、お金が無い代わりと言ってはなんですが…、(“転出”!)」
僕は、マジックボックスから、ブラックウルフの牙と毛皮を10組出した。
「これは…!ブラックウルフの牙と毛皮!」
村長さんは驚き尋ねる。
「はい。そうです。僕が倒したものです。恐らく、これを売ったら、相当な値が付くでしょう。これをしばらくの滞在費としていただきたいです。」
「おおっ!これを君一人で?確かに、ブラックウルフはS級にランクする魔物で、その毛皮や牙も高値で取り引きされている。いいのかね…?大分、お釣りが来ると思うが…。」
「良いんです。僕に当座、必要なのは、泊まる所と、服と靴、それなりのお金位で、余りはもらっていただいて構いません。」
「そうか!ありがたい。おーい。行商はいつ来るかね?」
「明後日の予定です。」
助役らしき人が答えた。
「お金は、明後日以降になるだろうと思う。宿の者には、話を通しておくし、服と靴についても、直ぐに用意できるだろう、お下がりで済まないが。」
「ありがとうございます。お下がりで全然構いません。」
「それでは、アーノルド君、お願いして大丈夫かね?」
「はい。」
助役らしき人が出て行った。
「それでは、少年…」
「レイです。」
「レイ君、服を用意するから、しばし待っていたまえ。」
「はい。」
「ありがとうございました。」
「構わんよ。」
僕は服を貰い、村長さん宅を後にして宿に向かった。夕方で、夕餉の準備等しているせいか、人影はまばらだった。
「こんにちは。」
僕は宿の扉を開けた。
「こんにちは。ああ、君がレイ君やね?村長さんから話は聞いているよ。」
受付にいた女性が挨拶を返してきた。
「よろしくお願いします。」
「まあ、食事はまだやから、先に湯浴みして来たら良いよ。」
「わかりました。」
「じゃあ、これが洗面器とタオルやで。終わったら、戻してね。」
「はい。了解しました。」
僕は、湯浴み用具を受け取り、浴室に向かった。
「ふぅ~♪何年ぶりだ?っていう話だよ。」
森では川の水を使って、身体を洗っていたが、ゆっくりできるものでもなかった。川の中にも魚系の魔物がいたからね…。食糧になったが。
「(しばらく、1週間位は滞在するかな…。ギルド登録は10歳かららしい…、僕はまだ8歳。)」
湯浴みを終え、食事を摂りながら、考える。
「(とりあえず、読み書きができないとな…。村長さんの娘さんが、寺子屋みたいなことやっているって言うてたから、そこで勉強するか…。)」
食事を終え、ベッドに入る。硬いベッドだが、今までが、まともな寝床でなかったので、すごく快適に感じる。
「(とりあえず、寝る!これからのことはぼちぼち考えよう。)」
僕は、意識を手放した。