一話
僕は魔境の森を出て、猫又さんに言われた通り、東の方に向かい、歩くこと3日、ようやく、村が見えてきた。
道中、ゴブリンの巣やオークの群れ、キラービーの群れ、キラーイーグルの群れ等に遭遇したが難なく退けてきた。
「(村を見つけたは良いけど、僕は、今一文無しやからな…。しかも、小さな子供が一人で…って、怪しい限りだろうね…。冒険者と言っても、ギルド登録出来るのは10歳から、僕はまだ8歳。しかし、ここで保護されるとか面倒くさいし、迷惑かけるからね…。)」
考えている間に、村の門の前に着いた。
「こんにちは。」
「何や、坊主、どこから来たんや?ずいぶん、ぼろい格好して…。」
門の前に立っている男に挨拶したところ、訝しむ表情浮かべながら尋ねられた。
「(せやな…。僕、洗って、継ぎ接ぎして着てを繰り返したけど、元々2年前の服、僕の背丈は大きくなったから、変な格好やな。)父ちゃんと旅しとったんやけどな…、父ちゃん、魔物から僕を逃がそうと庇って…死んでもうたんや…。(泣き真似)それで僕は、命からがら逃げて来たんや。幸い、この辺は、魔物がそんなに強くなくて助かったんや。せやけどな、僕、手持ちあらへんねん。」
僕は演技をした。ごめんなさい、おじさん。
「そうか、そうか。それは大変やったな。それにしても、弱い言うても、ゴブリンの群れやオークの群れが出たりするからな。坊主の父ちゃんは、結構な腕前で、坊主もよう鍛えて貰ったんやろな…。」
「はい。小さき頃からよう仕込まれました。父ちゃんの口癖は、世の中は所詮弱肉強食、強き者が弱き者を喰らい、生き残る。せやから、お前も、強き者にならなあかん。でした。」
「そうか、そうか。まあ、自分が、村長さんにかけ合ったろう。2,3日なら、おいて貰えるやろうと思う。ただ、という訳にはいかんやろうけどな。おい!あんた、しばらく、代わりに見とってや。」
「はい!」
門のおじさんは、近くにいた年下と思われる男に声をかけ、番を交代してもらった様子。
「ほな、ついて来や。」
「はい。ありがとうございます。」
僕は、おじさんの後についていった…。