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名もない花  作者: 林 秀明
12/19

電気12 どっちなの?

「いい加減にしてよ!!」


母さんの罵声に身を縮めた。また例の不安定が出たかと思ったが、どうやら僕ではないらしい。


「なんだよ、お前から言って来たじゃないか!!」


あの冷静な父さんが怒っているのは珍しい。僕は恐る恐る部屋のドアを開けた。


「健史、ちょうど良かった。聞いてくれ。母さんがな、寒いからってエアコンの温度を上げるんだが、俺は暑いんだよ。言って上げてくれないか?」


父さんは額の眩しい汗を照らしながら言った。父さんは肥えていて首回りがトドになっている。


「いや寒いわよ。こんなにも寒い。足が冷えて身体に悪いわよ。身体の事も考えて言っているのに……」


母さんは極やせ型で真夏でも靴下を履いている。


「25度以下にしないと暑さで死んでしまうよ」


「いいえ、25度以上でないと身体に悪いわ。それに電気代もばかにならないのよ。どっちが正しいと思う? 健史」


テレビのリモコンならぬ、エアコンのリモコンの取り合いである。暑い中エアコンの下で繰り広げられる死闘は部屋に風が行き届かず、むしろ部屋の温度を上げているようにも思える。


「さぁ、どっちなの?」



その詰め寄ってくる顔は阿形像と吽形像にそっくりだった。

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