表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

着信1件

作者: 出島優

その世界の生き物は、生まれた時から1つの電話を持っていました。

電話は受話器と、発信用のボタンが一つあるだけのシンプルな電話でした。

それは一生に一回、1分間だけ、過去の自分と話せる電話でした。


ある男はこう使いました。

「...おい、いいか?○年×月、△社の株が急騰する。その前は常に底値だから、目いっぱい買っておけ。

そうすればお前は大金持ちだ。後悔したくなかったら、今すぐ買え。じゃあな...」


ある女はこう使いました。

「...通じてる?よかった。あのね、今あなたの親友の□□っていう女、近々あなたが今狙ってる✧✧君を寝取るわよ。はぁ?信じられない?未来の私が言うんだから絶対起こるに決まってんでしょ。そうとわかったら今すぐ逆にあんたが寝取ってきなさい。あ、あとねそのあとだけど...」


ある猫はこう使いました。

「...にゃーにゃーにゃ、にゃにゃにゃーにゃー、にゃぁ、にーににゃああ、ぐるるる、ぐるる、うにゃあ~...」

訳:おまえ、今生きてて楽しいか?人間の顔色ばっか窺ってよ。俺たち野良猫はもっと自由な存在、ぐふふ、いや待て待て、ぐふふ、のどをなでるな、ぐふふふふふふ


あるプラナリアはこう使いました。

「........................」

訳:あ、またちぎれた。





ある男の子はこう使いました。

「...えっと、きこえてるかな。ああ、良かった。あのな、意外と車にひかれてもさ、みんなかわいそうとか思ってくんないみたいだわ。うん、今周りのヤツみんな写真撮ってやがる。あと、すっごい痛いし、お前が思うより死ぬまで時間あるみたい。ほんとに、早く死なせてって思うくらい。

だからさ、自殺とかやっぱやめた方がいいわ。確かにつらいよな。親にもクラスメイトにも見向きされない生活は。でもね、たぶん死ぬよかましみたいだ。今まさに死のうとしてる俺がいうから間違いないよ。

うん、やめる?そりゃいいや。まずは明日の宿題でもやりな。じゃあごめん、もうすぐ死ぬから、バイバイ...」





自殺を止められるのは自分だけです。      ―とある福祉系の冊子より

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ