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愛の技の教室

愛の神の神殿で、ヒューは、愛を高める努力が足りないと怒られます

そして、愛の技の特訓を受けることになりますw

 我々が案内されたのは、細長い大きなテーブルの周りに椅子が並べられた、会議室のような部屋だった。我々が席に着くと、神官長は話し始めた。

 「愛の神の加護の力は、愛が高まる程強い力を発揮しますが、あなた方の愛の力は、あなた方がこれから出会うかも知れない難局を切り抜けられる程強くないと、神はお考えです。あなたは、愛を高めるための努力が足りません。」

 「愛を高める・・努力ですか?」

 「そうです。あなた方は、これまでに何回、愛の営みをなさっていますか?」

 「愛の・・営み?」ヒューとクロエの顔が赤くなってきた。そう言う方向の話しが始まるとは思わなかった。

 「セックスの回数です。20回くらいは、されましたでしょうか?」

 「えっ?・・いやっ・・その・・」

 「まさか、10回以下なのですか?」神官長の追求が、容赦ないな。

 「えーっと・・」

 「0回ではないのですよね?」

 「いえっ・・いやっ・・」

 「何回ですか?」

 「・・あの・・2・かい・・」

 「えーっ?!」

 かなり多数の驚きの声が上がった。皆が知る範囲だけでも、相思相愛と分かってから何ヶ月も経っているし、夫婦扱いされて、結構一緒に寝ているはずなのに。

 神官長はため息をついている。

 「愛の力が足りなければ、あなたは彼女を守りきれず、死なせてしまうかも知れない。それは、おわかりですか?」

 「そんな・・でも、今の加護の力でも、大怪我をすることは・・」赤かったヒューの顔色が、だんだん青ざめてきている。

 「加護の力が万能ではないことは、あなた自身お気づきだと思います。たとえば毒や呪いや特殊な魔法で死ぬこともありますし、溺れて死ぬこともあります。単なる怪我でさえ、許容量を超えてしまえば、死の原因になります。何が起こるのかは分かりませんが、今のままでは遠からずあなたの愛する方は死に、彼女の望みも潰えるでしょう。」ちょっと待てよ、逆に言うと、愛が高まれば、加護の力は今より強力に、ほとんど万能になるのか?

 「あの・・今日から毎日すれば・・」

 「それでは間に合いません。彼女を守る方法は、一つしかないと思います。」

 「どうすれば、よいのでしょう?」

 「これから10日間の間、あなた方はこの神殿内の、愛の技の教導室で暮らしてください。この神殿の教導師が、あなた方に愛の技を指導します。日々新たな技を学び、実践していただきます。毎日、最低3回、出来れば5回以上、愛の営みを行ってください。」スパルタだな。エロイことすると言うより、体育会系の合宿のようだ。まあ、確かに運動はするのか。

 しかし、愛の技の教導師ってなんだ?神殿に、エロイこと教える専用の、怪しげな職員がいるのか?愛の神の神殿について、これまで私が抱いていたイメージは、穢れなく静謐な神域という感じだったのだが、実はエロ魔窟だったのか?


 ヒューは釈然としない顔つきではあったが、クロエの命に関わると言われれば、断る選択肢は無かったのだろう。神殿で指導を受けることを同意し、ヒューとクロエの二人は別室に連れて行かれてしまった。これから早速、指導を始めるそうだ。どうやら10日間は、シリンから離れられなくなってしまった。神の託宣がらみなら仕方がないか。


 ここに残ってもすることが無さそうなので、帰ろうかと思ったが、神官長はまだ我々に用があるらしい。

 「お願いがあります。これを手に持っていただけますか?」神官長がアベリアと私に棒状の魔道具を差し出した。鑑定系の魔道具のようだが、初めて見るものだ。何を鑑定するのだろう?

 受け取って少し待つと、全体が淡く光り始め、鮮やかな色彩で、複雑な文様が浮かび上がった。アベリアの方も見ると、色も柄も少し違うが、やはり文様が浮かび上がっている。しかし、何を意味する物かは、全く分からない。

 「思った通りでした、お二人とも素晴らしい技量をお持ちです。」

 「技量とは?」何となく想像はしたが、一応確認しておこう。

 「愛の技の技量です。お二人とも教導師を越えるレベル。教導師長に近い程の技量をお持ちです。特にレディク様の愛人の方は、愛の技に関する幅広い知識と経験をお持ちですね。数々の愛の遍歴を経験されているのでしょう。」

 なんで、アベリアが愛人だと分かったんだ?魔道具の力か?しかし、その疑問も、愛の遍歴という言葉に応じて、アベリアから流れ込んできたイメージのインパクトの前には霞んでしまった。アベリアはエロイとは前から思っていたが、これほどの経験を積んでいたとは思いも寄らなかった。レスリーとローズと猫耳戦士もびっくりしている。アベリアは珍しく恥ずかしがっているが、私はむしろ惚れ直した。

 「経験の幅広さを見れば、レディク様はまだまだですが、他の人の使えない素晴らしい技を、類い希なる才能で開発されています。4人の愛人の方々と、毎日複数回の愛の行為を続けられる体力、日々新たな技を怠らない向上心も含め、まさしく愛の技の天才と言うべき方です。」

 他の人の使えない技?空中でやるとか、強化魔法掛けてやるとか、思念伝達状態でやるとか、魔法がらみのことだろうけど、そんなことまでわかるのか?愛人の数とか、回数まで分かるって、その魔道具やばすぎだろう。毎日やりまくっていることをネタに褒められるのは、むしろからかわれている気がする。猫耳戦士に『ヤリチン大魔神』と呼ばれるのと同じような感じだ。

 「優れた技の持ち主との交流は、神殿の教導師にとっても良い刺激になります。皆様方にも是非、愛の技の教導室に参加していただけないかと思うのですが、如何でしょうか?皆様方の今後の愛の営みのためにも、必ずプラスになると思いますが。」

 私はあまり気が進まなかったが、女達が皆興味津々だったので、どんな内容なのか、とりあえず話しだけは聞いてみることにした。

 神官長に紹介された、教導室の案内役に話を聞いてみて驚いた。夜の運動の時に使う技を教えるのかと思ったら、それだけではないのだ。体の手入れの技術、運動により魅力的な体を作る技術、化粧の技術、着こなしの技術、礼儀作法の技術、美しい立ち居振る舞いの技術、会話術、交渉術、誘惑術、観察術、その他色々。教える技術の4割くらいは、夜の運動以外の場面でも役立つもので、商人や外交官も、職業上必要な技術の習得のために、愛の神の神殿に通うのが普通のことらしい。王都に住む貴族や富裕層など、上流階級の子弟もほぼすべてが、一般教養として愛の技を学ぶそうだ。

 私が学びたいと思う技術はあまりないが、かなり有用な技術が含まれていることは確かだ。関心を持っているメンバーも多いので、教導室に通ってみることにした。明日は他に行くところがあるので、明後日にあらためて訪問することを約束した。


 ローランの屋敷に戻ったのは日暮れ頃だった。留守中に近衛隊長からの使者が、手紙を持ってきていた。宝物庫にある武器・防具の一部を、手にとって選べるように、実戦向きの物をいくつか、持ってきてくれるそうだ。希望する日時を、使者に伝えて返して欲しいということだった。我々の帰りを待ってくれていた使者に、「翌日午後3時過ぎ、または、明明後日朝9時頃で如何だろうか」と伝えて欲しいと告げ、念のため、明日朝は魔道研究所に行くつもりであるなどの、予定も告げて置いた。


 夕食の時の雑談で、商業の神の神殿、農業の神の神殿、匠の神の神殿、戦の神の神殿など、教導師が実践的な技術を教えてくれる神殿は、かなりあると言うことを知った。ローランとリンドとヘルミ博士は、明日王宮で開かれる御前会議に参加するそうだ。ダリルやターボ達は工房街に行って、武器工房を見るらしい。


 寝る前の夜の運動中、昔アベリアが愛の神の神殿で習ったという、技の一部を実演して貰った。


 翌朝はアベリア、レスリー、ローズ、レルミスの4人を連れて、魔道研究所に出かけた。魔道研究所は王宮の西側に隣接する建物で、高い防壁に囲まれ、厳重に警備されていた。

 入り口で名前を告げると、警備兵に指示されていたらしく、すぐに応接室に案内された。ほとんど待つこともなく、現れた研究所職員に案内され、所長室に連れて行かれた。どうやら我々は、所長の個人的な知り合いで、有能な魔法使いとその弟子ということになっているらしい。

 所長室には、所長の他に2人の職員が待っていた。所長室の隣の会議室に移動し、全員が席に着くと、別の職員が現れ、お茶を出してくれた。お茶を出した職員が退出すると、2人の職員の1人がドアに鍵を掛け、もう1人が壁に取り付けられた魔道具を操作した。

 「音を遮断する魔道具ですか?」魔術構築式の一部が読み取れたので、所長に質問してみた。

 「良くおわかりですね。音を遮断するほか、魔術的な方法での覗き見等も防ぐ、防諜の魔道具です。どこかでご覧になったことがあるのですか?」

 「いえ。始めてみましたが、魔術構築式の一部が見えましたので。便利な物がありますね。」

 「今の一瞬で、魔術構築式を解析されたのですか?」職員の1人が確認してくる。だいぶ驚いているようだ。

 「前もって言って置いたように、レディク殿は並の魔法使いではない。おまえ達の想像出来る最高の魔法使いの、さらに10倍以上高い能力を持っていると考えた方が良いぞ。」所長が職員に話し、さらにこちらを向いて続ける。

 「さて、私の部下を紹介しておきましょう。魔道具研究部の部長のヨークと、禁術部の部長のマッギンです。」

 「では、うちのメンバーも紹介しましょう。こちらから、アベリア、回復魔法が得意です。レスリー、ポーション類を作っています。ローズ、魔道具の作成と遺跡の研究をしています。レルミスは他のメンバーより冒険者経験が長く、重力操作魔法などを使います。ところで、マッギン部長が担当する禁術とは何ですか?」

 「レディク殿は精神魔法に関心をお持ちのようなので、精神魔法に関する著作物がほとんど存在しないことは、既にお気づきだと思います。何故存在しないかと言えば、出版が禁止されており、出版されても、いつのまにか出版物が無くなってしまうからです。このように、情報が秘匿された魔法などを、禁術と呼んでいます。」



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