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熟成薬草

遺跡で狩りをしたり、練習をしたり

レスリーはゴブリンの爺ちゃんに薬草を貰います

 午前のガーゴイル狩りを終え、休憩所に戻る。昼までの間、ローズと猫耳戦士とレルミスの魔法の練習をした。

 猫耳戦士とレルミスの魔力操作の技量は、大幅に向上していたが、まだまだローズには及ばない。今まであまり、魔力操作の訓練をしていなかったため、急に向上した技術と知識をもてあましている状態だ。二人にはもっぱら、魔力操作の練習を続けさせた。

 急激な魔力増強によって危険な状態になったので、猫耳戦士とレルミスには、しばらくの間様子を見るために、魔力増強は行わないことを話した。一応納得はしたようだが、レルミスはちょっと不満そうな顔つきだった。


 昼食後。午後も遺跡に行き、ガーゴイルとリビングアーマーを狩った。

 狩りの後は少しだけ、実戦形式の戦闘訓練を行った。試しにローズとレルミスに試合をさせてみた。そこそこ良い勝負になるのではないかと、思っていたのだが、実際にはローズの圧勝だった。実戦経験はレルミスの方がはるかに上だし、魔力の量でもレルミスの方が少し上なので、少々驚かされた。

 レルミスが魔法を発動しようとすると、ローズがレルミスの使おうとしている魔法を感知して、回避行動と同時に防御と妨害の魔法を発動するため、レルミスの魔法はローズを捕らえられない。それに比べ、ローズは常に2種類以上の魔法でローズを攻撃し続け、レルミスが隠れても逃げても狙いを外さなかった。10分程は練習させるつもりだったが、2分も経たないうちにレルミスがギブアップした。防具を着けた上で、弱めの魔法で対戦するように指示していたが、ちょっと痛かったらしい。


 「ローズちゃんがこんなに強いなんて。」レルミスは、自分の方が10才も年上で、実戦経験も豊富であるため、ローズを格下の相手と思っていたようだ。見た目はレルミスの方が幼いのだが。

 「レディク様の薫陶の賜物。より長く指導を受けている、私が強いのは当然。」当然と言いつつも、ローズは珍しくガッツポーズを見せた。なにやら心に思うところがあったらしい。

 とりあえずローズは褒めておく。魔力感知の精度、魔法の発動速度と正確さ、常に回避運動にも気を配る慎重さ、どれをとっても素晴らしかった。


 猫耳戦士にも戦闘訓練をさせよう。猫耳戦士には、私が相手をすることを告げる。すると、猫耳戦士は助けを呼んだ。ダリルとヒューとクロエが現れた。4対1で練習することになった。私は強化魔法だけを使って相手をした。

 予想されたことではあったが、4人の攻撃はリビングアーマーの連続攻撃に比べれば、遅く感じられた。猫耳戦士の素早さも、ダリルの武器の扱いのうまさも、冒険者としては一流のレベルだが、欠点は幾つもあった。今までは気がつかなかったが、クロエの先読み攻撃も、ヒューの盾の使い方もうまいし、4人の連携もかなり高いレベルに達しているのに、十分にパーティーとしての能力が生かせていない感じがした。猫耳戦士が突出しすぎることと、ダリルの足の動きが悪いことを指摘し、しばらく練習を続けると、見違える程動きが良くなった。

 なかなか面白い練習だったので、小一時間程続けた。4人はかなり疲れたようだ。いつのまにか『光の勇者』が全員見学しており、自分たちにも稽古を付けて欲しいと言い出した。そろそろレスリーを迎えに行かないといけないので、翌日練習することを約束した。


 ゴブリン族の村に行くと、レスリーは共用かまどのそばの広場で、山のような薬草を整理しているところだった。3人のゴブリンに手伝って貰っているようだ。


 「1日半でこんなに集めたのか?」

 「レディク様ー。グリンサル爺ちゃんと、お弟子の方達が手伝ってくれましたー。グリンサル爺ちゃんはすごいですー。森中の薬草を知っているんですー。」

 「全部は知らんよー。全部知っておっても使いきれんしのー。レスリーは筋がよいから、しばらく修行すればわしくらいになると思うよー。」レスリーがグリンサル爺ちゃんと呼んでいるのは、白髭を伸ばした好々爺っぽいゴブリンだ。のんびりした言葉遣いがレスリーと似ている。

 「レスリーがお世話になりました。ありがとうございます。」

 「お礼には及ばないよー。わしも久しぶりに人間と薬草の話が出来て楽しかったよー。」

 「久しぶりと言いますと、以前にも他の人間と話したのですか。」

 「わしが若い頃には、ちょくちょく薬草を買いに来る商人が居たよー。灰の森に薬草採取に来る人間会って、話しをすることも多かったよー。」

 グリンサルはゴブリンの薬師だった。グリンサルの話しによると、ゴブリンの採取した薬草や、調合した薬、香料、染料などを求めて、昔は頻繁に人間がゴブリンの村を訪れていたらしい。そのために、老齢のゴブリンは、だいたいは流暢に人間風の話し方が出来るそうだ。ちなみにゴブリンの使う言葉は、それほど人間とは違わない。訛りがひどくなった程度の違いで、ゆっくりと単語を並べるような話し方をすれば、だいたい意思疎通は可能だ。


 レスリーがグリンサルへのお礼に、ポーションを渡したいというので、最近作り溜めていたハイポーションの高品質品を20本渡すことにした。グリンサルはハイポーションの外見と、匂いと味を確かめた後、感心した様子だった。

 「レスリーは若いのにたいしたものだのー。これだけ質の良いポーションを作れる薬師はなかなかおらんよー。」

 五感だけで、ポーションの善し悪しを判定出来る、グリンサルもたいしたものだと思う。

 「良い物を貰ったから、お返しを上げないとねー。」グリンサルがなんだか良い匂いのする包みを持ってきた。

 「レスリーならこれを使って、もっと良い物が作れると思うよー。」

 渡されたのは、薬草を熟成したものだそうだ。グリンサルが若い頃に出会った人間の薬師が、これを使って高性能の特殊なポーションを作ったらしい。お礼のお返しと言われて、初めは断るつもりだったが、高性能ポーションの原料と言われて、考えが変わった。うまく高性能ポーションを作ることが出来たら、持ってくることを約束し、ありがたく熟成薬草を貰っていくことにした。


 族長もガンダリも出かけているところだったが、族長の行き先は遺跡らしい。今朝、戦士と若者十数人を連れて出かけたそうだ。


 ゴブリンの村を出た後、少しコースを変え、族長が居そうな場所を探してみると、灰の森を出てまばらな林の中を南下中のゴブリン達は、簡単に見つかった。思った通り、休憩所から歩いて1時間も掛からない場所だ。


 いったん着地して、近くに我々の休憩所があるので、今夜はそこに泊まるように招待した。族長は泉の場所を知っていて、もともとその近くで野宿するつもりだったため、場所の説明は簡単だった。


 先に休憩所に戻り、お客が15人来ることを告げた。料理はともかくとして、食器が足りないので、石で深皿などを作っておく。15人となると、今の休憩所では寝る場所の確保も難しいので、ゴブリン専用簡易宿舎を建設した。寝室と食堂の二部屋しかないが、快適に過ごせるように断熱には気を配った。


 ゴブリン達は、岩の崖の隙間を通り抜けると、家が建っていたのでだいぶ驚いたようだ。せっかく建物を造ったので、次回以降も遺跡に来る時は、ここを使って欲しいと言っておいた。


 翌朝。朝食を食べ、族長達を見送った後、今日も遺跡に出かけた。どういう仕組みか分からないが、数は少ないものの正常なゴーレムが復活して歩き回っており、片足のゴーレムは居なくなっていた。再び邪魔なゴーレムを集めて片足を砕き、ガーゴイルとリビングアーマーを狩った。

 その後は魔法の練習をした。レルミスは当然として、他のメンバーも随分と熱心に練習に取り組んでいる、昨日の練習試合で魔力制御などの基礎訓練の重要性を認識したようだ。昨日は薬草採取をしていたレスリーだけは、いつもと雰囲気が違うことを感じて、怪訝な顔をしていた。


 昼過ぎからも、遺跡で狩りをし、その後は、休憩所の近くで練習試合をした。はじめは、『光の勇者』の4人と私の試合だ。

 初めのうちは少し様子を見た。4人の連携はよくまとまっていて、隙がないように見えたが、動きが固い感じがする。ターボもザザイも、単独ではもっと動けたはずなのに、フォーメーションを崩さないことに注意を向けすぎだ。レルミスの重力操作で動きを鈍らせることが出来れば、十分戦えるだろうが、ガーゴイルの翼を捕らえられないレルミスの技量では、私の動きを捕らえられない。

 30分程素早い動きで撹乱し続けると、臨機応変の位置取りでの戦闘方法を工夫し始めたようだ。多少動きが良くなってきた。


 レスリーと猫耳戦士の試合もやらせてみた。強化魔法の効果で、著しく成長したレスリーは、直線的なスピードとパワーでは、完全に猫耳戦士を上回っているが、実戦経験の差で、まだ少し猫耳戦士に及ばないようだった。


 翌日は朝からどんよりと曇った天気だった。午前中の狩りが終わった少し後くらいから、雨が降り始め、昼近くには本降りになった。昼食後の空模様では当分止みそうもなく、今日の狩りは難しそうだった。翌日になっても雨が続く可能性があるため、少し早いがアスターに戻ることにした。

 アスターには夕方の早い時間に帰り着いた。



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