表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/63

合同パーティー

猫耳登場です

登場させてどうするかはよく考えていません

猫耳を出したかったのです

 物好きな冒険者達は、ギルド1階のテーブル席にいた。ちなみに、ここは談話席とか、談話スペースとか呼ばれているらしい。冒険者の待ち合わせや、打ち合わせのために用意された席で、注文すればギルドと契約した業者がお茶や軽食を出してくれるそうだ。


 物好き冒険者は4人組で、1人は猫耳だった。

 「あなたがリーダーのレディクさんですか。僕はヒュー。一応こちらのパーティーのリーダー、と言うことになってます。」青年が話しかけてきた。

 「レディクだ。我々と組みたいそうだが、物好きだな。全員7級だぞ。」

 「お聞きしています。それに、レディクさんは試験を受けていないだけで、本来は遙かに高い実力をお持ちであることや、5系統の魔法と、回復魔法まで身につけておられることも、お聞きしています。」

 「身につけていると言っても、ほとんど初級だけだぞ。覚えようと思えば、誰でも覚えられるだろうから、自慢にはならないな。」笑って言うと。ヒューがちょっと傷ついたような顔をしている。何かまずいことを言ったかな?

 「すごい魔法の才能をお持ちというのは、本当のようですね。僕は全く魔法の才能がないので、うらやましいです。魔法使いにあこがれて、スクロールを3種類も買ったのですが、火魔法と土魔法は全く発動せず、風魔法でそよ風を出すのが限界でした。」苦笑を浮かべながら、ヒューが話した。

 「若い頃には誰でも、同じような経験をするものだ。」4人組の1人の、髭面のおっさんが、うなずきながら言う。気がつくと、周囲の席に座って聞き耳を立てていたらしい冒険者までうなずいている。同じ経験をしたのか?

 「ヒューは魔法が使えなくても、すごい能力があるんだから、大丈夫よ。」隣に座った女の子がヒューを慰めている。仲が良いようだ。

 「紹介が遅れましたが、この子はクロエ、そちらがドワーフ族のダリル、そして獣人族のジニです。」猫耳は獣人族か。それに、背の低いおっさんだと思ったら、ドワーフだったのか。

 「レディクはヤリチンにゃ。レディクの体から、そっちの女の子二人の匂いがするにゃ。もう一人、別の女の匂いもするにゃ。近づくと危ないにゃ。やられちゃうにゃ。クロエも気をつけるにゃ。さっきから、私の方をちらちら見ているにゃ。きっと私も狙っているにゃ。」いきなり猫耳から、ヤリチン告発を受けた。確かに否定はできないな。猫耳は、にやにや笑っている。面白がっているだけらしい。

 「すみません。ジニがいきなり失礼なことを。」

 「レディク様に向かっていきなり。失礼な雌猫。」ローズが怒っているようだ。

 「ローズも、そういうこと言うのはやめようね。」ローズの頭をポンポンとたたく。

 「レディク様はヤリチンらしいですー。」レスリーも面白がっているようだった。


 「えーと。何の話だっけ。」

 「僕たちのパーティーと、組んで欲しいというお話です。」

 「あー、そうか。それで?私の魔法使いとしての、戦闘力に期待しているわけではないのだろう?、それならば、他にいくらでも誘える相手が居そうだし。君達もそこそこ場数を踏んでいそうだし。」

 「実は僕たちのパーティーに、というよりも、僕自身の持っているスキルに、欠点がありまして。回復手段が欲しいのです。」

 「回復手段?ポーションとか回復魔法のことか?それならポーションを買っていけばよいと思うが。そもそも、我々は怪我をする危険の高い場所に、行くつもりはないぞ。子供も連れて行くつもりだし。」

 「いえ。僕の持つスキルの欠点というのは、本来ならば怪我をするはずのない場所でも、怪我をしてしまう、というやっかいなもので。」

 「怪我をしやすくなるというのは、スキルと言うより呪いのように聞こえるが。」

 「ヒューのスキルは、本当にすごいものなんです。私たちは何度も、ヒューのスキルに救われています。」クロエがヒューのスキルの弁護をする。

 「危険を救うが、怪我をさせるのか?もしかして、大きな悪い運命を回避する代わりに、小さな悪い運命をもたらす感じか?そんなスキルがあるのか?」

 「そうです。まさにそんな感じのスキルです。非常に珍しいスキルらしくて、僕も同じスキルを持った人に、会ったことはありません。たいした怪我をするわけでもないので、たしかに、安いポーションをたくさん買っていけば、問題ないのですが。毎日怪我をすると、ポーション代も馬鹿にならないので。」

 「ふーん。君達の都合はわかった。しかし、同行しても、我々の側にはメリットがないような気がするな。」

 「確かに現地は比較的安全な場所とされていますが、子供や女性を連れて屋外に滞在するのですから、安全確保には万全を期すべきだと思います。我々が居れば、夜間交代で見張りができますよ。我々は何度か、遺跡外縁部や遺跡周辺で仕事をしていますから、現地の様子も知っています。」

 「どこに行くのかは聞いていなかったが。レスリー。遺跡周辺で薬草を採取する予定なのか?」

 「まだ、決めてはいませんでしたが、危険が少なくて、採れる薬草の種類と量も多いらしいのでー、そこが一番いいかなーと、思っていました。」

 「何か、少しでも危険があるという話は聞いたか?」

 「間違って、遺跡の外縁部に入り込んでしまうと、ゴーレムが居るらしいのでー、そこは注意する必要があるようですー。」

 「あとは、灰の森からも近いですから、ゴブリンやオークにも注意しておいた方がいいでしょう。」ヒューが補足するように言った。

 「ゴブリン?アスターでは、灰の森のゴブリンは危険ではない、という発表はされていないのか?」

 「いえ、そんな話は聞いていないです。」ヒューが当惑した顔で言う。

 「盗賊が討伐された件は、発表されているな?」

 「ええ、それは聞いています。でも、信用しない方がいいだろうって、噂されていますよ。」

 どういう事だ、いやな予感がする。レスリーとローズも驚いた顔をしている。何か言おうとしたローズを手で制する。

 「気になるが、これについては後で話そう。」レスリーとローズに向けて、少し小声で言う。

 「どうかしましたか?」

 「実はエドリンの知り合いが、もう安全だから安心して旅が出来ると言って、アスターとエドリンの間を往復する予定らしくてね。気になるので、連絡を取ってみるつもりだ。」

 「ああ、なるほど。それは心配ですね。」ヒューは一応納得したようだ。

 「ところで、ヒューさんのスキルは、正確にはどういうスキルなのかな?」


 問いかけながら、頭の中では別のことを考えていた。アスターの町の対応が、エドリンと異なる理由として、考えられるのは3つくらい。情報伝達の不備か、エドリンからの情報が信用されていないか、あるいはアスターの有力者の中にまだ盗賊の仲間がいるか。盗賊の仲間が居る場合が最悪だが・・・


 「僕のスキルは、正確に言うと二つあります。一つ目が『友の守り』というスキルです。『友の守り』は、パーティーメンバーが、大きなダメージを負いそうな時に、パーティーメンバーの代わりに、ダメージを引き受けるスキルです。このスキルのおかげで、僕のパーティーのメンバーは、死ぬことも、大怪我をすることもありません。もう一つが『苦行者の鎧』というスキルです。『苦行者の鎧』は、必ず毎日1-4回小さな怪我を負う代わりに、決して大きな怪我を負わなくなる、というスキルです。」

 詳しく聞いてみると、とんでもなく強力なスキルだった。思わず気をひかれた。

 「どんな無茶をしても、死ぬことも大怪我することもないって、ほぼ無敵じゃないか。何か制限はないのか?」

 「制限はあります。このスキルは、僕が眠っていたり、気絶していたりすると、発動しません。それから、大きなダメージを受けるような攻撃を、受け続ると、だんだん体が動かなくなって、最後には気絶してしまいます。」

 「さすがに、無敵ではないのか。しかし、そんなスキルがあるのなら、高給で護衛の仕事に雇ってもらえそうだが。」

 「まだ6級ですから、高給の仕事は受けられないです。」

 「そういえば、6級だったか。しかし何故6級なんだ?そのスキルがあれば、多少危険な仕事でも続けられるから、すぐにランクが上がりそうだが。」

 「スキルを身につけたのが、最近、1月ほど前なので。でも、もうすぐランクが上がると思います。」

 「なるほど。しかし、我々の行く先は安全な場所だし、君のスキルの出番が無さそうな気がするな。君達は、どんな仕事をする予定で?薬草採取ではなさそうだが。」

 「僕たちは、少しだけ危険地帯に入って、ゴーレムを狙うつもりです。『ゴーレムの心核』という素材の収集が、常時依頼なので。依頼の掲示には『危険度が高いので、4級以上推奨』という注釈が付いていますが、すでに一度戦って倒せることは確認しています。」

 「ほう、そんな常時依頼があるのか。我々もやってみるか。」

 「危険なだけでなく、ゴーレムが硬くて、倒すのが大変なので、おすすめしません。前回やった時は武器が壊れてしまいました。新しく頑丈な武器を買ったので、手持ちの資金が心細くて、ポーションの用意も少ないです。」

 「なるほど。私なら武器は使わないから、問題無さそうだがな。」


 「レディク様。遅くなりました。」アベリアが子供達を連れて、やってきた。

 「アベリア。別に遅くはないから大丈夫だ。今、こちらの人たちと、合同パーティーについて、相談していたところだ。」

 「合同パーティーですか?」アベリアが首をかしげている。

 「アベリアと、アベリアの子供のメリーとタイだ。」ヒュー達に紹介する。

 「こんにちはー。」メリーがきちんとお辞儀をして挨拶した。えらいぞメリー。タイはアベリアの後ろに隠れて、こちらを覗いている。

 「こんにちはー。かわいいー。」クロエは子供好きのようだ。

 「レディクはすごいにゃ。また美人が来たにゃ。色っぽい年上美人にゃ。レディクの匂いをさせているにゃ。レディクはヤリチン王だにゃ。」

 「レディク様はすごいですよ。すごくたくましくて、お上手なんです。ジニさんも抱いて欲しいですか?」アベリアさん、笑顔で何を言い出すんだ。

 「うう。年上美人の貫禄にゃ。」


 「合同パーティーの件。だいたい話はわかった。はじめは断ろうと思っていたが、気が変わってきた。子供達の安全のためにもいい話だしな。条件によっては、一緒に行きたいと思う。」

 「条件というのは、利益分配に付いてか?」ダリルは少し警戒しているようだ。

 「我々は今、資金的には恵まれた状況にある。そういう話ではない。ただ、少し長い話になりそうなので、場所を変えて話したい。君達これから我々の家に来ないか?晩ご飯をごちそうするぞ。」

 「よろしいのですか?食費が浮くのは、うれしいですが。」

 「ああ、歓迎しよう。なんなら泊まっていくか?ベッドはないが、空き部屋はある。クッションと毛布くらいは貸そう。宿代が浮くぞ。」

 「実は、宿代を節約するために、町の外で野宿することも考えていました。屋根があるところで、泊まれるだけでも助かります。しかしまだ、合同パーティーの件、正式には決まっていませんが。」

 「それは気にするな。合同パーティーが流れても、宿代を請求したりしないから。誘ったのは私だしな。」

 「わかりました。それではお世話になります。」

 「我々は、この後食材の買い出しその他、少し片付けないといけない用件がある。先に行ってくれないか。レスリー。家まで案内して差し上げろ。」

 「はい。」レスリーがうなずく。

 「わかりました。では後ほど。」ヒュー達がレスリーに続いて、冒険者ギルドを後にした。


 「さてと。アベリアは冒険者登録はしていなかったな?」

 「はい。」

 「せっかく魔法を覚えるのだから、登録しておけ。8級ならすぐ終わる。」アベリアに登録手続きについて説明し、登録に行かせた。その後ローズに声をかける。

 「ローズ。手伝ってくれ。冒険者依頼の掲示のなかに、灰の森に関するものがないか調べたい。」

 「はい。」

 ローズとともに、冒険者依頼を調べた。盗賊が出没していた影響か、灰の森に関するものは2件しかなく、そのうち1件は、特に珍しくない採集依頼だった。

 しかし、もう1件は、灰の森の調査依頼と書いてあるだけで、詳しいことが書いていない。窓口に問い合わせてみると、依頼者名、調査目的は秘密、調査期間1週間以上、募集人員10名以上で、調査開始は2日後の予定、ということしか知らされていないらしい。応募後に面接を行い、採用が決まった後で調査内容を説明する、という話だそうだ。

 杞憂ならばよいが。何者かが、また、よからぬ事を考えているのではないかという、不安を感じた。

 アベリアの登録も終わったので、冒険者ギルドを出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ