ポーション作成
ポーション作るよ
エロイ事はしていないよ
練習しているだけだよ
レスリーがやってきた。作業台の上に道具を並べ、魔法のバッグから小分けにして細かく切った薬草を取りだす。下準備は終わらせてあるようだ。
「では、はじめます。」レスリーの声が少し緊張している感じだ。
薬草をすり鉢に入れて、手早くすりつぶす。すりつぶした薬草を、ポーション用の容器に入れ、さらに水を入れてかき混ぜる。そしてポーションワンドを手に取った。
「クリエイトポーション」レスリーが声を出すと、材料に魔力が展開し、魔法が発動した。何となく予想していたとおり、魔力の展開は荒い。出来たポーションは、低品質だった。レスリーにも魔力制御の練習をさせた。
しばらく練習させた後で再度ポーションを作らせたが、まだ低品質だった。ローズより魔力の安定感は高いのだが、魔力を通してものを感じ取る力や、魔力を発動させる力が弱い感じがする。もっと練習が必要だな、と思っていたら、もう半分以上魔力を使ってしまって、あと1回くらいしか発動出来ないらしい。
そういえば、3-4回しか出来ないと言っていたっけ。本当に魔力が少ないな。魔力を材料に満たしたり、自分の体に戻したり、繰り返し練習をさせながら、私の魔力を分けてあげられたらいいのに、と思う。レスリーの体に魔力が戻る動きに合わせて、私の魔力をレスリーに入れてみる。おや、入った?
「ふえっ、ひゃーっ、何か入ってきますー。」レスリーが変な声を出している。
「魔力は増えたか?」
「へっ?あ、増えてますー。」
もう一度魔力を発動させると、かなり良くなっていた。中品質のポーションが出来る。魔力を体に入れられて驚いたせいで、魔力に対する感度が高くなったかも知れない。もう少し練習させるともっと良くなりそうだ。しかし、またもや、残りの魔力は半分以下らしい。入れる量が少なかったか。今度はもう少し多めに入れてみよう。
「あっ、あっ、レディク様の大きいのが入ってきますー。」
「力を抜いて、入っていく魔力を受け入れるようにイメージしてみろ。」
「はいー。」
んー、入りきらない魔力は出てきてしまうようだ。もう少し入らないかな?もう一度入れてみる。入れた量より少し少ない魔力が出てくる。入る量が増えているようだ。繰り返せばもっと入りそうだ。
「あっ・・あん・・レディク様の・・あっ、すごくたくましいの・・私の中に、入ったり、出たり・・入ったりー」
「ずるい。レスリーだけ。昼間からしてもらうなんて。」ドアを開けてローズが入ってくる。アベリアも後ろから中をのぞいている。2人とも顔が赤い。ドアの外までレスリーの声が聞こえてしまったようだ。もちろん何を想像していたかはわかるよ、私も興奮しちゃったしね。
アベリアがお茶を持ってきてくれていたので、休憩してお茶にする。レスリーも疲れているようだし。
休憩後に、再びレスリーにポーションを作らせる。ずいぶん上達している。魔力感度がさらに上がったようだ。それに、魔力の量も増えている。3回続けてポーションを作っても、半分以上魔力が残っているらしい。倍くらいに増えたかな。
「私も。レディク様の、大きくてたくましいの。入れて欲しいです。」ローズが言う。
「1人だけ仲間はずれなんていやです。私の中にも、レディク様の大きいの、入れてください。」アベリアまで言い出した。これは魔法の練習のためなんだが。アベリアさん、何か変なことを期待していないか。
仕方がない、アベリアにも何か覚えさせるか。ヒールがいいかな。覚えるだけなら難しくないらしいし。
午前も半ば過ぎたので、製作の練習は終了して、私の魔法の練習に出かけることにする。レスリーとローズを連れて、町の北門から外に出た。
アスターの町の北側は、ごくわずかな畑地を過ぎると、あとは林や草地が広がるだけだ。北に続く細い道を少し進んだ後、北東にあった林の裏に回り込む。ここなら町の人の目に付くこともないだろう。周囲50メートル、前方300メートルくらいの範囲はほぼ草地で、15-30メートルほどの距離に、練習用の標的にできそうな、小さな木が3本立っている。
まずは風魔法の練習だ。念のため2人には20メートルほど離れさせる。
「ウィンド」小さな木の1本を目標に、魔法を発動させた。
「ゴウッ」激しい風の音とともに、前方で草がちぎれ飛び、砂塵が巻き上がる。
土埃が収まると、目標としていた木が立っていたあたりには、草も木もなくなり、半径5メートルくらいの範囲で、むき出しの土が浅くえぐれていた。さらに、幅15メートル、長さ50メートルほどの範囲で、草がちぎれ、倒れていた。町中で試さなくて良かった。
「すごいですー。今のは噂に聞く、上級魔法トルネードでしょうか。」レスリーが聞いてくる。
「いや。初級魔法ウィンドだ。」
「レディク様の上級魔法。町一つくらい吹き飛ばせるはず。」ローズが言う。
むう。こんなものを見ては、自分でも否定出来ない。
とりあえず、別の魔法も試しておこう。次は土魔法かな。ストーンは小さい石が出現するだけで、飛んでいったりしないので、安全なはず。
「ストーン」魔法を発動すると、直径80センチくらいの岩が、足下に出現した。小さくはないが、飛んで行かないので安心だ。こんなものぶつけたら、人でも家でも壊れてしまうな。触ってみると、それほど硬い岩でもないようだ。これは石灰岩か?もっと硬い岩が出ないのだろうか。後で調べてみよう。
出した岩を吸収して魔力に戻そうとすると、できなかった。何故だ?水魔法でないとできないのか?これも後で検討するか。
次は火魔法を試してみる。火が出るのは怖いので、10メートルほど離れた場所を目標にする。
「トーチ」発動すると、2メートルほどの高さに炎が吹き上がる。キャンプファイヤーする時には便利そうだな。
あとはヒールを試したいが、治す怪我がないと、効果がわからないな。治すために怪我をするのもいやだし、どうするか。考えていると、少し遠くの林に鳥が飛んでいるのが見える。ここは、鳥に協力を頼もう。
80メートルくらい向こうにいる、大きめの鳥の体温を少し下げる。落ちる鳥を氷の皿でキャッチして運んできた。ごく小さい氷の矢尻を弱い力で撃ち込んで、軽い怪我を・・・あっ、加減を間違えた。瀕死の鳥に、あわててヒールを掛ける。すぐに怪我が治って、鳥は逃げていった。体温も上がったのかな?
ヒールで怪我が治ることは確認出来たので、購入した4種のスクロールの発動テストは終了だ。一番役に立ちそうなのは、やはりヒールだな。魔術構築式が難しくて、解析したり、力を加減したりできないのが難点だが。
ウィンドは使いどころが難しい。威力はあるのだが、水魔法の代わりに使うとなると微妙か。ストーンは全く使い道が思いつかない。
トーチは、加減を覚えれば、火を付ける時に役に立つな。少し練習するか。
トーチの魔術構築式は少し複雑だったが、何度かトーチを使って、魔力の流れを覚え、よく理解出来ないながらも、声を出さずにトーチを発動することに成功する。あとは、魔力を絞って、指先くらいの大きさの炎を出せるようにし、力加減を覚えた。
それにしても、風魔法の威力がずいぶん強い気がしたが、風魔法の適性も高いのだろうか?声を出して水魔法を発動したのは、ずいぶん前だが、今の水魔法だと、風魔法と同じくらいの威力があるのだろうか?初級水魔法の威力も確認しておくか。
30メートルほど向こうの木の根元を狙う。
「ウォーターショット」声を出して魔法を発動した。直径2メートルほどの水球が、現れたと思ったら、次の瞬間には目標地点に着弾していた。
「ドゴンッ」大きな音とともに大地が震える。土砂が20メートルもの高さまで吹き飛ばされ、地面が大きくえぐり取られて、2-3メートルの深さの穴が開いた。
空高く舞い上がり、落ちてくる土砂を、呆然と眺めていた。こんなに力が強くなっていたのか。あ、今の、町からでも見えたのではなかろうか?
びっくりした顔の、レスリーとローズに声をかける。(ローズの顔はびっくりと言うより、うっとりにも見えたが)
「帰るぞ。今のを見て、町で騒ぎが起こっていても困る。遠回りだが念のため、東門に行こう。」
北門の方から見えないように、大きく回って東門に向かった。
「レディク様。もしかして今のすごいのも、初級魔法でしょうか?」レスリーがおそるおそる聞いてくる。
「水の初級魔法、ウォーターショットだ。他の系統の魔法と、威力を比べたかったのだが、あんなに派手に土砂が飛ぶとは思わなかった。」
「レディク様。初級魔法だけで、ほとんど無敵。」ローズがうれしそうだ。確かにあんな魔法食らって生き残れるやつは、ほとんど居ないだろうな。
何食わぬ顔で東門から町に入り、家に帰った。北門の方で何か騒ぎが起こっているようにも見えたが、気にしないことにする。
家で昼食を食べた後、全員で出かけた。冒険者ギルド前で分かれる。私は、ローズとレスリーを伴ってギルドに入った。アベリアは学校のことなどを調べに行く予定だ。私は資料室で調べ物だ。
****************************************************************************
○土魔法で生成される鉱物
一般的なスクロールで身につけられる、初級土魔法を使用すると、生成される石は石灰岩である。発動の容易さ、生成物の強度・安定性から見ても、土魔法では石灰岩を生成することが有利と考えられている。
土魔法で生成できる鉱物は、いくつかの種類があるものの、かなり限定されている。たとえば、石灰岩よりもありふれた鉱物である花崗岩は、生成不可能である。また、土魔法で金鉱石を生成しようとする研究も、昔から複数行われているが、成功例は皆無である。
石炭は石灰岩よりも少ない魔力消費で生成できる。一部の土魔法術者には、石炭生成を行うものもいる。しかし石炭は、火に弱く、強度も低いため、土魔法の生成対象として有用とみなされてはいない。
非常に魔力消費が大きいため、大きな魔力を持つ術者でないと実用は困難だが、土魔法で鉄を生成することは可能である。過去の記録から、これまでに少なくとも3人の大魔術師が、土魔法で鉄を生成したことがわかっている。・・・・・・・・・・
○魔力の回復と蓄積
魔法で消費した魔力は、時間経過とともにゆっくり回復する。魔力枯渇状態の場合、完全回復には約10時間かかる。この所要時間に、個人差はなく、魔力が多い者も少ない者も同じである。ただし、ダンジョンでは、回復速度が若干速くなることが、知られている。
魔力の回復を早める手段は、マナポーションの服用だけである。マナポーションで回復出来る魔力の量はそれほど多くなく、価格が高いこともあって、マナポーションは緊急時の備えとしてしか、利用されていない。
魔力の不足を補う手段としては、マナポーションよりも、魔力を蓄積する素材を利用する方が一般的である。魔力を蓄積する素材も高価ではあるが、繰り返し使うことができ、蓄積出来る魔力の量も多いため、マナポーションよりコストパフォーマンスはよい。上級の魔法使いのほとんどは、身につける装備品の一部に、魔力を蓄積させている。・・・・・・・・・・・・・・・
****************************************************************************
資料室で本を読み続け、1時間半ほど過ごした頃に、レスリーとローズがやってきた。薬草採取場所を調べ終わったという話かと思ったが、違うようだ。
「だいたいは調べ終わっているのですー。もう少し現地の様子が知りたいな、と思って、何人かの人にお話を聞いていましたらー、私たちと合同パーティーを組みたいという人たちが、レディク様にお会いしたいと言うので、ご報告に来ましたー。」とレスリーが言う。
「ふーん。7級冒険者と組みたいとは、物好きだな。会ってみようか。」まさか、レスリーとローズがかわいいから誘ったんじゃないだろうな。




