魔道具作成
魔道具を作ります。
主人公が1人で居た時に比べて、考えることが多くなって、混乱中です
翌日はいつもより遅めの時間まで目覚めなかった。完全に朝になり、室内に日の光が差し込んでいる。気がつくとローズが腕に抱きつくようにして寝ていた、かわいくてつい抱きしめたくなったが、自重する。気をつけないと、一日やりまくりの爛れた生活に突入しそうで怖い。
起き上がると3人も目を覚ましたので、声をかける。
「おはよう。朝ご飯にしよう。準備を頼む。それから、ローズは朝食の後に、魔道具作成の練習をしてもらうから、すぐに始められるように準備をしておいてくれ。」
指示を出した後、今後の予定について考える。やりたいことがいろいろあるので計画的に進めていかないと。予定表みたいな物でも作ろうか。
朝食を食べながら、今日の予定について話す。
「まずローズに魔道具作成の練習をしてもらう。最初はマジックライトかな。その次には、ポーションワンドにも挑戦してもらおう。」
「はい。がんばります。」ローズはちょっと、緊張した面持ちだ。
「ダメで元々と思って、気楽にやっていいぞ。力が入りすぎると、かえって失敗するかも知れないし。うまくポーションワンドが作れたら、ポーションを作ってもらうから、レスリーも準備だけはしておいてくれ。」
「わかりましたー。」レスリーが答える。
「ところで、薬草はどのくらいあるんだ?」
「ポーション十数個分だと思いますー。」
「それじゃあ、すぐに無くなるな。採集もしておいた方がいいか。しばらく練習に使えるだけの量の薬草を集めるのに、どのくらいかかるだろう?」
「あのー。私、魔力が少ないので、ポーション3-4個作ると魔力が切れちゃいます。だから、今ある薬草だけでも3日くらいは持つんですー。」
「ふーん。そうなのか。でも若いんだから、魔力は増えると思うぞ。2日目には10個くらい作れるようになるかも知れないし、念のため100個分くらい集めておきたいな。」
「100個ですかー。えーっと、5本で100グラムくらいとしてー。・・・薬草の草むら一つ探すのに、20分くらいかなー・・・。5時間くらいかかりそうな、気がしますー。」しばらく考えた後で、レスリーが答えた。
「5時間か。けっこうかかるな。空き時間に、ちょっと取りに行くというわけにはいかないか。中途半端なことはやめて丸1日掛けるつもりで行った方がいいな。レスリーは、アスター周辺の薬草採取場所を一通り知っているのか?」
「知っているのは一部だけです。主に近場ですー。」
「他にどんな採取場所があるかとか、採取場所ごとの薬草の採りやすさ、安全さとか、冒険者ギルドで調べられないか?」
「調べられると思いますー。」
「じゃあ調べておいてくれ。あと、ついでに、同じ場所でこなせそうな、常時依頼も調べておいてくれ。んー、1人じゃあ大変か。ローズも手伝ってくれるか。午後に冒険者ギルドに行くつもりだから、一緒に行こう。」
「はい。」レスリーとローズがうなずく。
「私は、ローズとレスリーの製作練習を見た後は、町の外の人気のない場所まで行って、少し新しい魔法の練習をしようと思ってる。」
「あの。私も行って良いですか。」ローズが言う。
「ん?練習を見たいのか?」
「はい」
「あ、私も見たいですー」レスリーも言い出した。
「別にかまわんが、危ないから、少し離れて見ていろよ。」
「はーい」
「練習の後は、昼食を食べて、冒険者ギルドの資料室だな。レスリーとローズが、薬草採取場所を調べた後で、明日の予定を相談しよう。安全で、良さそうな場所があったら、子供達も連れて丸一日外で過ごすかも知れない。あ、そうすると今日中に食べ物の準備が必要だな。アベリアも冒険者ギルドに来てくれるないか。予定を相談した後で、食材を買っていこう。」
「はい」とアベリア。
「予定の話じゃないが、アベリアには、別に頼みたいこともあるな。」
「何でしょうか?」
「しばらくの間、どういう物を買うのに、どのくらいお金を使ったか、記録を付けておいて欲しい。今後の生活のために、どの程度の収入が必要か、知りたいし、物の値段がよくわからないから、把握しておきたいということもある。これについてはまた後で、もう少し詳しく話そう。」
「はい、わかりました。」
「さらに、全く別の話だが。アベリア。少し気になっていたんだが。メリーくらいの子供は学校に行かなくていいのか?」
「私たちは今までずっと行商の暮らしでしたので、学校に行かせたことはないです。町に住んでいる方は、子供を学校に行かせることが多いとは聞いています。私たちも店を買って、一つの町に住み着くことになったら、学校に行かせようかという話は、したことがありました。町によっては、読み書きと計算を、無料で教えてくれる学校があるそうです。」アベリアは少し驚いた顔で説明した。
「今まで、読み書きや計算の勉強をさせていたのか?」
「はい、少しだけですが。忙しさにかまけて、十分できていなかったです。」
「この町の学校について、入学に何か条件があるかとか、調べてみろ。あと、我々はこの町に、2ヶ月前後しか滞在しない予定だから、問題ないかどうかも確認しておいた方が良いかな。それとは別に、子供向けの絵本のような物も、探しておくか。」
「そんな高価な物を、買っていただくわけには・・」
「子供の教育にかける費用は、けちらない方がいい。」
「私の子供のことまで、考えていただいて、申し訳ありません。」
「おまえはもう、私の愛人だ。その子供も家族だからな。」
「・・はい。」
朝食が終わった後。ローズと一緒に、作業用の部屋に移動した。すでに作業台の上に、卓上用のマジックライトの材料と、魔術構築式、使用するワンドなどが並べられている。ローズは作業台の前の椅子に座ると、材料の一つを目の前に置き、右手にワンドを持って、左手を魔術構築式に置いた。
ローズが許可を求めるように、私の顔を見るので、「何時でも始めていいぞ。」と言ってうなずいた。
「クリエイトアイテム」ローズの声とともに、材料に魔力が展開した。魔法はうまく発動したようだが、魔力の展開が荒いか?
「出来たと思います。」ローズが、自信なげに言う。ワンドを別の物に交換し、今度は、「鑑定」と言う。これが、鑑定魔法か。しかし、やはり魔力の展開が荒く見える。ローズは難しい顔をした後、「低品質のマジックライトができました。」と報告した。
鑑定魔法に興味を感じたので、鑑定ワンドを借りて使ってみた。ワンドと鑑定対象に魔力を満たして発動する感じか。
「鑑定」と声に出して魔法を発動させると、頭の中に『マジックライト。品質:低』という情報が浮かび上がる。魔術の仕組みは単純だが、構築式は恐ろしく複雑な感じだ。この複雑な部分はもしかして、データベースじゃないのか?試しに室内にある別の物に意識を向け、声を出さずに鑑定魔法が発動することを確認し、さらに、建物の外、道を歩いていることを感知した人間にも、鑑定魔法を発動させてみる。『人間。装備品;木綿の服。品質:中 木綿のズボン。品質:中 ・・・・』着ている服や、所持品の情報まで表示された。
「これは便利な物だな。ローズは鑑定ワンドを作れないのか?」
「魔術構築式が複雑すぎて無理。」
「ローズの腕が上がったら、身につけられる魔道具を作ってくれないか。私の能力と組み合わせると、便利そうだ。」
「がんばる。」
「それじゃあ、練習をがんばって続けようか。ローズは魔力の展開にまだ慣れていないようだ。魔力の展開の練習をする必要がある。魔法を発動した時に、材料の中に自分の魔力が流れ込むのはわかるな?」
「はい。」
「魔法を発動する前に、材料に魔力を満たしておくんだ。試してみろ。魔法を発動した時に材料に魔力が流れ込んだ感覚を思い出して。自分の中からゆっくりと魔力を流し込むイメージで。最初はゆっくりの方がいい。材料全体に魔力を満たすんだ。そうそう、そんな感じ。もう少し。おっと、魔力が材料からあふれ出して居るぞ。いったん自分の中に戻して。さあ、もう一度。」口で説明するだけではもどかしいな、と思っていると、無意識のうちに私の魔力がローズの魔力の周りに展開し始めた。
「ひゃうっ。これは、レディク様の魔力?」
「そうだ、私の魔力でサポートしてやる。さあ、もう一度だ。材料を魔力で感じられるだろう。魔力がちゃんと満たされていないぞ。ここがはみ出している。そうだ、だいぶいい感じになった。そのまましばらく静止。よし、魔法を発動させてみろ。」
「クリエイトアイテム」
魔法を発動させた瞬間に、少し魔力が不安定になったが、さっきよりだいぶ良い。調べてみると、中品質のマジックライトが出来ていた。
レスリーがポーション作成の道具を持ってきたので、まだワンドが出来ていないことを告げる。レスリーは「アベリアを手伝って、掃除をしていますー。」と言って出て行った。
その後、もう一度、今度は携帯用マジックライトで練習させる。やはり中品質のマジックライトが出来た。上達しているようだ。
「それではポーションワンドに挑戦してみよう。」
「はい。」
ローズが用意した、ポーションワンドの魔術構築式を見ると、マジックライトより遙かに複雑だ。なるほど、簡単では無さそうだ。さっきと同じ要領で、材料に魔力を満たさせ、魔法を発動させてみる。魔法の完了までに、少し長くかかった。成功したか?
鑑定してみると、低品質だがポーションワンドが出来ていた。
「出来たじゃないか。」
「はい。ダメかも知れないって、思ってました。でも、レスリーに渡すワンド、出来れば、中品質にしたい。」
「やる気があるのはいいことだ。もう少し魔力の制御の練習をすれば、作れるだろう。」
さらに、魔力制御の練習を続けた。難易度を上げるために、魔力を満たしていく途中で材料を動かしたり。複数の材料に同時に魔力を満たす練習もする。しばらく練習を続けると、さらに正確で安定した制御が出来るようになった。もう一度ポーションワンドを作らせてみると、まだ低品質だった。しかし、確実に腕は上がっている。
「失敗です。無理なのでしょうか。」ローズが肩を落としている。
「いや。私の見たところでは、あと一息だ。もう一度、もっと集中して、やってみろ。」
「はい。」
もう一度魔法を発動させる。一段と制御の完成度が高くなったようだ。これならばたぶん成功では?できあがったワンドを鑑定してみる。
「よくやった、ローズ。中級が出来たぞ。」
ローズがうれしそうに抱きついてきた。かわいい。押し倒したい。だが、夜まで我慢だ。
魔力も残り少なく、ローズもさすがに疲れたようなので、レスリーを呼んできて、ローズはしばらく休むように言う。今度はレスリーのポーション作成の練習だ。




