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買い物

買い物に行きます。ベッドと風呂は重要です。

 翌朝、朝食を食べながら話した。

 「今日はベッドと風呂桶を買いに行こうと思う。あと厨房に置く用具棚も必要だな。他に欲しいものはあるか?」

 「掃除用具が欲しいですー。あと、庭の手入れ用に草刈り鎌も。あ、でも納屋の中はまだよく見ていません。何かあるかもー。」レスリーが言う。

 「そういえば、そうか。まだよく調べていないところがあるな。地下室とかも。後で調べよう。とりあえず、今は思いつく範囲で必要な物を言ってくれないか。」

 「調理器具と食器はもっと欲しいです。お茶用のポットにカップとか。あと、これから寒くなりますので、もう少し厚手の寝具もあった方が良いと思います。」とアベリア。

 「おお、そうか。今まで気にしていなかったが、今は何月なんだ?」

 「10月3日。ニケーヤ歴3254年です。」ローズが答える。

 「ニケーヤ歴?」

 「ニケーヤというのは古代の学者の名前。現在の暦法の基礎を作った人。ニケーヤ元年は神魔戦争が終了し、神と魔神が地上から去った年とされています。」

 「はー。神と魔神かー。そんな話もあるのか。まあ今は、昔の話はいいか。寒くなるなら、厚手の服も居るな。服屋にも行こう。家でくつろぐ時の服も欲しいし。必要な物はこれくらいかな?あとは、レスリー。ポーションを作ったことはあるのか?」

 「少しだけ作らせてもらったことがありますー。」

 「ポーションを作るために必要な物は?」

 「薬草と水、ナイフ、すり鉢にすりこ木、ポーションワンド、ポーション用の容器。あとは、うまく出来たかどうか調べるための、ポーション用鑑定ワンドも必要だと思いますー。」レスリーが指を折り、考えながら答えた。

 「ポーションワンドと鑑定ワンドか。そんな物もあるのかー。」

 「達人になると、ワンドなしでも作れるらしいですが、ほとんどの人はワンドを使いますー。」

 「あの。汎用の鑑定ワンドならもっています。ポーションの鑑定、出来ると思います。」ローズが言った。

 「汎用の鑑定ワンドは高いのに、すごいですー。じゃあ、あと、足りないのは、ポーションワンドとポーション用の容器ですー。」

 「なるほど、わかった。ではそれも買っておこう。ローズは、魔道具を作ったことがあると言っていたな。」

 「はい。簡単な物だけ。マジックライトとマジックボトルです。」

 「マジックライト?あれか。」天井に付いている照明用魔道具を指さす。

 「はい。」

 「照明のない部屋もあるし、ちょうどいいから、練習もかねて作ってくれ。作るのに必要な物は?」

 「クリエイトアイテムのワンド。魔術構築式。この二つは持ってます。あとは、構築式を書き込む本体が必要。天井用とか、卓上用とか、携帯用とか、いろいろある。普通に店で売っている物じゃない。金属、ガラス、木工の工房に注文して、作ってもらいます。使う時には魔石も必要。全部の部屋で魔石を使うのは、もったいないです。」

 「ふーん。魔石は消耗品だよな?照明用だとどのくらい保つのかな?」

 「2-3ヶ月で交換します。」

 「そのくらいなら、問題ないかな。・・魔石って、どうやって作るんだ?中に魔力が溜まっているんだよね?」

 「魔石は作れない。ダンジョンの壁に生えたり、ダンジョンの魔物の体内にあったりするのを、取って来る。どうしてダンジョンに魔石が出来るのかはよくわかっていないです。」

 「おー、ダンジョンか。行ってみたいな。ダンジョンで取れるなら、お金もかからないし。まあ、とりあえず、すぐに使う魔石は買わないといえないけどね。えーと、そうすると、鍛冶屋かどこか、マジックライトの本体を作ってくれるところを、探さないといけないな。それと、マジックライトより少し難易度の高い魔道具にも挑戦するべきだろう。次に作れそうな物は?」

 「う・・、ヒートロッドとポーションワンド。でも自信ないです。」ローズが言いにくそうに言う。

 「おお、ポーションワンドか、失敗しても問題ないし、ダメで元々と思って作ってみろ。本体は木工の工房で作ってもらえばいいんだよね?」

 「はい。そうです。」


 食後に物置や地下室、納屋の中などを調べる。鎌はあったがもう少し数が欲しい。ハサミ、のこぎり、金槌、斧、スコップなど、いろいろな道具がある。ぼろぼろの作業手袋を見つけて、作業用の手袋も必要だと気がつく。変わったところでは練習用の木剣と盾が見つかった。

 「剣の練習もしておいた方がいいのかな。」木剣を振り回してみる。

 「レディク様の魔法の技量があれば、全く必要ないかと。」ローズが言う。

 「でも、日頃から訓練していれば、不意打ちを受けた時とか、咄嗟の時に体が動くらしいじゃないか。」

 「私に剣を教えてくれた人も、そんな感じのことを言ってましたー。」レスリーから意外な発言が。

 「レスリー。剣の使い方を習ったことがあるのか?」

 「まだ子供の頃ですよー。少し型を習っただけですし。お父さんの友達の冒険者の人に『素質はある』って言われて、うかれて。14歳くらいまで、けっこう練習したりしてました。私も冒険者になれるかなーって。」言いながら笑っている。そう言われてみれば、レスリーはけっこう引き締まった体つきをしている。背丈も女3人の中では一番高く、私に近い。のんびりした言動に騙されていたが、実はけっこう強いのか?

 「レスリーは一般クラスの冒険者の試験、受けていないのか?」6級以上の冒険者には、それなりの実力が求められるので、ギルドで試験が行われる。ただし、6級の一般クラスの冒険者証ならば、最低限の戦闘技能で取得出来るらしい。

 「剣も持っていませんしー。」

 「今度受けてみろ。私も受けるから。6級になれば依頼を自注出来るし、仕事の幅が広がるぞ。」

 「えー。」レスリーは困惑した顔をしているが、たぶん何とかなるだろう。


 買い物リストを修正した後、買い物に出かけた。

 まずは家具屋だ。ベッドは、同じくらいのサイズの物を複数、適当に買おうとしたら、アベリアにダメ出しされた。

 「ご主人のベッドは立派な物でなくてはなりません。4-5人寝られるくらいのサイズにするべきです。」

 「そこまで大きくなくても。運動するわけでもあるまいし。」

 「大きくないとダメです。」アベリアの迫力に負けて、大きいベッドを買った。

 「運動するかも。」ローズが小声で変なことを言っている。子供みたいにベッドの上でピョンピョン跳ねて遊びたいのか?


 風呂桶は、小さい物しか売っておらず、今度は私が納得出来るサイズが無かった。多量のお湯を作るのが、大変だからだろうが、私ならいくらでもお湯を作れるから大きい方がいい。特注で作ってもらうか。タイル張りや金属製だと、時間がかかって大変だろうから木製でいいだろう。

 「それでしたら桶職人の工房が良いかも知れません。」家具屋の店員が、場所も教えてくれた。それにしても、さっきから女3人の顔が赤いような気がする。後ろでひそひそ何か話し合っていたようだが。大きい風呂桶は非常識な注文なのだろうか。


 寝具も購入してから、桶屋に行った。中に入ると、直径2メートル以上の大きな桶もある。染め物などに利用するらしい。工房の親方に、直径1.5メートル、深さ60センチくらいの桶が欲しいと言うと、直径1.7メートル、深さ55センチの桶があるが、買わないかと聞かれた。注文主が行方不明になり、引き取り手が無くなったらしい。見せてもらったところ、厚い木を使っていて頑丈そうだし、仕上げも丁寧で良さそうだ。大きい風呂桶が欲しかったと説明すると、親方が私の顔と後ろにいた女達の顔を見比べてニヤリと笑い、今日から使えるように送ると言ってくれた。女達がすぐに風呂を使えるように配慮してくれたようだ。


 その後は鎌と作業手袋、服、食材などを買い、一度家に戻って昼食にした。

 昼食後には、少し庭の草刈りをしておく。今のところは、門から玄関までと周辺部分だけだ。馬車での出入りの時に、雑草が引っかかって鬱陶しいし、午後には風呂桶などの荷物が届くことになっているので、その部分だけ先にきれいにしておいた。

 アベリアに留守番を頼んで、次は、午前中の買い物の最中に見かけた、鍛冶屋に行ってみた。鍛冶屋で、マジックライトなどの、魔道具の材料を作れるかたずねると、その店では作っていなかったが、作っている工房を教えてもらえた。

 教えてもらったのは、町の中心から北東側にやや離れた場所にある、『バンザ金属工房』と言う名前の店だ。展示品をみたところ、鉄以外に、青銅、真鍮などの素材も使い、金属製の小物を作っている様子だった。店に入ると、奥からひげ面でがっしりした体つきの中年の男が現れた。

 「いらっしゃい。何が入り用かな?うちは主に注文生産をやってるが、そこに置いてあるような出来合いの小物も売っているぜ。」

 「ここで、マジックライトのような、魔道具の材料を作っていると、聞いてきたんだが。」

 「おお、もしかしてあんたら、魔道具職人か?初めて見る顔だな。マジックライトの材料ならあるぞ、マジックボトルとヒートロッドの材料もある。今買ってくれるなら、安くしておくぞ。」

 「注文生産なのかと思っていたが、在庫があるのか?」

 「あー、普通は注文生産だ。実は最近、この町で仕事をしていた魔道具職人が1人死んじまってな。作った物の売り先がなくなっちまってな。」

 「今朝も似たような話を聞いたぞ。最近は死んだり、行方不明になったりするやつが多いのか?」

 「エドリンに行く街道に盗賊が出没しているからな。街道で殺されたやつが多いぞ、それに最近はニーサの方にも物騒な奴らが出没しているらしい。おかげで町の外との取引にも支障があるんだ。」髭の男は顔をしかめた。

 「あれ?エドリンに行く街道の盗賊は討伐されたはずだが。」

 「ああ。そういう風に発表されているが、前にも同じような発表があって、その後も盗賊の被害は無くならなかったからな。町の人間はまだ信用してない。あんたらも、うかつに旅に出たりしない方がいいぞ。」

 「そうなのか。実はこの子の家族も盗賊に殺されているんだ。」

 「そうか。・・・それは、気の毒になあ。」

 「それで、身寄りが亡くなってしまってね。この子、ローズという名前だが。幼い頃に両親と死に別れて、家族がおじいさん1人だったのだが、そのおじいさんが殺されたんだ。そんなわけで、頼れる者がなくなったローズが、1人でも暮らしていけるように、何か仕事をおぼえさせた方が良いと思ってね。考えていたら、まだ練習だけだが、ローズは魔道具を作った経験があるそうだ。それで、もう少し経験を積ませれば、魔道具作りを仕事にできるかも知れないと、練習用の材料を買いに来たんだ。」

 「そうかあ。・・・そんな話を聞いちゃあ、金なんか取れないなあ。在庫を全部やろう。それと、うまく魔道具が出来たら、知り合いの魔道具店を紹介しておくから、そこで買ってもらうといい。」髭の男がちょっと涙ぐんでいる。おっさんいいやつだなー。

 「ありがとう。しかし、そこまでご厚意に甘えるわけにはいかない。少し安い値段で融通していただく程度で十分だ。この先も魔道具用の材料売ってもらう必要があるし。先々のことを考えれば、経験の浅いローズのために、魔道具の材料について相談に乗ってもらえれば、そのほうが、ローズのためになるだろうと思うが、どうだろうか。」

 「わかった。確かにそうかも知れない。それじゃあ、今回の魔道具材料の値段は、・・ちょっと待ってくれ。」男が一度奥に行って、紙を持って戻ってきた。

 「普通は銀貨17枚と少しで売っている物だな。銀貨10枚にしよう。」

 「ありがとう。」

 「おれはここの店主のバンザだ。魔道具材料について、わからないことがあったら、いつでも聞きに来てくれ。金属以外の魔道具材料についても、少しは知っているし、他の工房の知り合いも居るからな。」

 「ポーションワンドの材料も欲しいが、どこで手に入るか教えてもらえるか?」

 「おう、知り合いの木工工房への紹介状を書いてやろう。」


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