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エピローグ

【声劇用台本】

【上演時間 各話 約15~20分】

『里中ハルの不思議なジョウキョウ日記』エピローグ

作:伴野久兵衛


■登場人物

 里中ハル(サトナカ ハル):田舎から上京してきた純朴な女の子

 アズリエル:天界からやってきた天使。チャラい、軽い、そしてウザい

 ミカエル:アズリエルの上司に当たる天使。仕事の出来る中間管理職



■パート1

アズ「あー…あれ?俺、生きてんの?

   てか、ここドコ?

   薄汚いアスファルトの路地、コテコテの大阪弁、両側に広がる串揚げ屋、そして目の前の通天閣…

   そうか!俺は…新世界の神になるのかっ!?」

【スッパーン!!】

アズ「いってぇ!!」

ミカ「目覚めて早々にボケかますとは、やっぱりお前は消えておくべき存在だったな…」

アズ「うっわ、ミカエル!なにそのハリセン?」

ミカ「知らん!

   そこで老婦人に呼び止められて、これからボケ野郎を引っ叩きに行くと言ったら、これを頂いた」

アズ「あー…さすが大阪のオバチャン」


アズ「でさ、何で俺、生きてんの?」

ミカ「はっ?お前がやったんだろうが!」

アズ「やったって何を?」

ミカ「お前が、あの里中ハルって娘にさせたんだろう!?」

アズ「ハルちゃん…に、何をさせたって?」

ミカ「契りだよ、契り!!」

アズ「はぁっ!?契りって契りって契りって…」

ミカ「接吻だ」

アズ「うん、チューね。って、それは分かってるわ!!」

ミカ「じゃあ、何が分からんのだ!

   里中ハルは純血の乙女だった。お前はその娘と契りを結んでいた。

   その契約が発動され、お前は消えなかった。

   それ以外にあるか?」

アズ「えーっと、純血の契りって純血の契りだよな?」

ミカ「純血の乙女が、初めてする契りの相手が天使だったとき、乙女の願いは必ず叶えられる。

   その願いは、天界を含め世界の全ての契約と法則を上回る…」

アズ「あぁ、俺が知ってるのと同じだ。でも1つ分からない!」

ミカ「何が分からんのだ、どアホ野郎」

アズ「えーっと、いつ俺が、ハルちゃんとチューした?」

ミカ「そんなこと知るかっ!」

アズ「だって、ぜんっぜん覚えてない!っつーかした覚えが無い!!」

ミカ「した覚えが無い?」

アズ「無い!実際にしてたら、記憶喪失になったって忘れるわけが無い!」

ミカ「まぁ、お前なら、そうだろうな…

   まぁ俺が、あの娘達を寝かしつけた時。その時、既に契りは結ばれていたようだがな」

アズ「全然ヒントになってねーよ!」

ミカ「じゃあ、契約の条文を読み上げるか?」

アズ「条文?」

ミカ「娘が契りを結ぶ際に願った内容だよ。何かヒントがあるかもしれんぞ」

アズ「そんなのあるのか!よし読んでくれ!」

ミカ「では…

(『 』の中は、ハルの声で)

   『アズにゃんさん、好きです。好きです。好きです。本当に大好きです。

   だからいなくならないで下さい。帰らないで下さい。

   これからも3人で、皆でこの部屋で、今まで通りに暮らせたら良いな。

   あ、でもアズにゃんさんは、ちょっとウザいから、しばらくどっか行っててくれても良いかな。

   出来れば少し苦労して、大人しくなって帰ってきてくれたら嬉しいな。

   それから、最初の好きは、ラブじゃなくて、ライクなんだからね///』

   …以上だ。何か分かったか?」

アズ「何も分からないっ!!けど、もうそのタイミングの話は良いや」

ミカ「良いのか?」

アズ「良い!ってかさ、ミカエル…」

ミカ「なんだ?」

アズ「なんでハルちゃんボイス出来るの?」

ミカ「管理職になるための必修スキルだ」

アズ「何に必要なわけ?」

ミカ「今、その恩恵を受けただろうが!」

アズ「あぁ、なるほどね。じゃあさ…」

ミカ「なんだ?」

アズ「前半だけ、もう1回読んでくれない?」

ミカ「却下だっ!!」


ミカ「と言う訳で、俺は天界に帰る。お前も頑張って赤羽まで帰るんだな」

アズ「帰るって…まぁ、飛んで帰れば良いか」

ミカ「あ、伝え忘れていたが、もうお前は飛べんぞ」

アズ「はっ?なんで?天使なのに?

   もしや消されない代わりに、見習いまで降格になったの?」

ミカ「と言うより、お前は天使を罷免された。分かりやすく言えば、クビって事だ」

アズ「はぁぁぁぁぁ!?なななななななんでぇ?」

ミカ「当たり前だろう?

   あれだけの1級犯罪を重ねて、おまけに消滅処分も出来ないんだ…

   残る処分は懲戒免職くらいだろうが」

アズ「あー…すっかり忘れてた」

ミカ「さっさと、天使だったことも忘れちまえ!

   その方が生きていくのに、不便を感じなかろう」

アズ「確かにそうかもね。

   でも人間になったは良いけどさ、俺、ここからどうやって帰りゃ良いのさ?

小銭も無ぇよ…」

ミカ「さぁな。歩いて帰るか、バイトでもして旅費を稼いで帰るか…」

アズ「いやいやいや、いきなりハードル高くねーか!?」

ミカ「少し苦労して大人しくなるには、ちょうど良いだろうよ」

アズ「どんな無理ゲーだよ、これは…」


ミカ「じゃあ、俺は良い加減戻る。アフロディーテの婆さんがウルサイんでな」

アズ「あの婆さんは、いつだってウルサイだろ?」

ミカ「今回は管理責任問われて、禁欲1ヶ月だ」

アズ「あの婆さんが禁欲1ヶ月!?1週間で発狂だろ?」

ミカ「今日で6日目なんだよ…そろそろ身の危険を感じるぜ」

アズ「中間管理職、ご苦労さんだな」

ミカ「お前に労われる(ねぎらわれる)日が来るとはねぇ」

アズ「悪いもんじゃないだろ?」

ミカ「そうやって労って(ねぎらって)くれるなら、時々は様子見に来てやるよ。

じゃあ、達者でな!」

アズ「おうよ!」

ミカ「人間は簡単に死ぬからな、くれぐれも無茶はするなよ」

アズ「無理だって!知ってるくせに!」



■パート2

ハル「7月28日。

   1ヶ月以上、日記を放置してしまった。

   こんなに書かなかったのは、多分初めてだと思う。

   あの日、起きたらアズにゃんさんが居なくて、リョウさんも居なくて、

   きっと2人にはもう二度と会う事は出来ないんだろうな…って思った。

   アズにゃんさんは、あんな風に言ったけど、そう簡単にはいかないんだ…って分かってた。

   何日経ってもどっちからも連絡が無くて、それでも当たり前に日常は過ぎてって、悔しいけどそれに流されて…

   正直、もう忘れようと思ってた。

   忘れようとしてた。なのに、なのにさ…

   今日大学から帰ったら、アズにゃんさんがいた。

   玄関の前の廊下に小さくなって体育座りしてた。

   私に気付いて上げた顔は、1ヶ月前より少し痩せて疲れて見えた」


アズ「やぁ、久し振りやね…」

ハル「アズにゃんさん…?」

アズ「待たせてゴメンなぁ」

ハル「……」

アズ「リョウくんの事、2人で迎えに行こうや」

ハル「…バカっ!」

アズ「え?」

ハル「遅いよ!遅すぎるよ!どれだけ待たせるんですかっ!」

アズ「ちょっ!ハルちゃん?」

ハル「私が…一体どんな気持ちで待ってたと思ってるんですか!?」

アズ「ゴメン!それはゴメンて…」

ハル「ゴメンで済むかぁ!バカっ!

   で、何!?その胡散臭い関西弁は!?」

アズ「あの、関西弁はその…ね」

ハル「【ゼーハーゼーハー→深呼吸】おかえりなさいっ!」

アズ「…んっ。ただいまっ!」



ハル「あれから、私達3人の不思議なジョウキョウ生活は再スタートした。

   一軒屋を3人で借りて、シェアハウスすることにしたのだ。

   実家を出たリョウさんは、赤羽のライブハウスでアルバイトを始めた。

   最初は怖いオーナーに怒られてたけど、最近はずいぶん仕事が楽しくなってきたみたいだ。

   アズにゃんさんはお笑い芸人を目指すらしい。

   2年以内に新宿ル●ネの舞台に立つ!と宣言した。

   漫才がやりたいみたいだけど、相方が見付からないのが悩みらしい。

   私は、毎日大学とバイトで忙しい日々だ。

   それなりに大変でキツイこともあるけど、家に帰れば2人がいて、

   一緒にご飯を食べて、一緒に話をして、一緒に笑って、一緒に泣いて…

   それさえあれば、大抵の事は何とかなる。

   きっとそれは2人も同じだと思う。

   いつまで続くか、先の事は分からない。

   けど私は、この不思議なジョウキョウが大好きです!」



『里中ハルの不思議なジョウキョウ日記』 了


『里中ハルの不思議なジョウキョウ日記』、これにて完結です。

最後まで読んで下さった方、大変ありがとうございました。

稚拙な文章、見にくいレイアウトなど、あったかと思います。

次回作では改善していきたいと思いますので、

今後とも宜しくお願いいたします。

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