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2話 前編

【声劇用台本】

【上演時間 各話約15分~20分】

『里中ハルの不思議なジョウキョウ日記』第2話前編

作:伴野久兵衛


■登場人物

里中ハル(サトナカ ハル):田舎から上京してきた純朴な女の子

高津リョウ(タカツ リョウ):何かの理由で、女性の体に入ってしまった引きこもり青年

アズリエル:天界からやってきた天使。チャラい、軽い、そしてウザい



■パート0


ナレ 「初めに、声劇をお聞きになるリスナーの皆様に、お願いがございます。

    本作には『固有名詞っぽいモノ』が度々出て参りますが、

    それらは全て、現在・過去を問わず、実在の人物・企業・団体・その他の存在とは一切関係が御座いません。

    仮に何か思い当たる節を感じても、それは皆様の『思い違い』で御座います。

    本作とは一切の関係は御座いませんので、作者・他の読者様・演者・放送主へ、

    お確かめになる行為は慎まれるよう、強くお願い申し上げます。」


ナレ 「ここまでのあらすじ。

    東京の大学に合格し、上京してきた里中ハル。

    隣の部屋へ挨拶に行ったハルは、そこに住む豊島ナナミから、

    自分は高津リョウと言う男であり、目が覚めたら女になっていたと言う告白を受ける。

    元に戻る方法の糸口が見えないリョウはナナミとして生活することを考え出し、

    ハルはその手助けを始める。

    そこへ謎の宅急便屋が、ナナミの部屋に現れた」


ハル 「4月3日続き。

    それにしても、この宅急便屋さんのテンションは何だろう。

    いつも大きな声で喋り、笑っている。

    面白い事が次々出てくる頭の中は、どうなってるんだろう?

    やっぱり私達とは、根本的に何かが違う気がする」



■パート1


アズ 「なーんだ!やっぱりいるじゃん!って、まぁ知ってたけどなぁ!

    はい、豊島ナナミ…てか、高津リョウ、ゲットだぜっ!」

リョウ「えっ…?」

ハル 「ちょっと!何してるんですか!?リョウさんを離しなさいっ!!」

リョウ「そ、そうですよ!離して下さいって!!」

アズ 「あっ!いてっ!話します!話すから蹴らないでっ!

    痛いっ!弁慶は…弁慶だけはやめて!!」

ハル 「早く離しなさーい!!」

アズ 「話すから!話すから蹴らないでっ!」

ハル 「離すのが先です!」

アズ 「いや、だから蹴られたら話せ…うぐっ!マジで痛いって!!」

ハル 「えーっと…男の人に襲われたら、確かココを蹴るって…」

リョウ「ハル…ちゃん?」

ハル 「えぇーいっ!!」

【キーン☆】

アズ 「んごふっ!!」

リョウ「あ、離れた…って言うか、崩れ落ちた?」

ハル 「やったー!大成功ですね!」

リョウ「えーっと、どちら様か知りませんが…ご愁傷様です」


アズ 「…んんっ?あれ?どーなってんの?」

リョウ「あっ、起きたかな?」

ハル 「目が覚めましたか、変態さん?」

アズ 「あぁ、どーも変態です☆って、ちげーしっ!!ってか、何で俺が縛られてんの!?」

ハル 「そりゃ、危険人物ですから」

リョウ「あのぉ…一応、俺は止めたんですよ?警察呼んだ方が…って」

ハル 「でも、この人、絶対何か知ってますよ!

    リョウさんがココに居るって知って、訪ねて来たっぽいし!」

リョウ「けど、さぁ…」

ハル 「さぁ、変態さん!知ってることを全部吐いてもらいますよ!

    吐かなきゃ、ココから帰しませんからね!」

アズ 「いや、まぁ…話すために来たんだけどね」

リョウ「えっ?」

アズ 「うん、色々と手続きあって遅くなったけど。君らも知りたいでしょ?」

リョウ「そりゃ、もちろん知りたいですよ!」

アズ 「でしょー?だからちゃんと話すからさ。取り合えず、これほどいてくれない?」

ハル 「ダメです!そう言ってほどかせて、逃げるんじゃないんですか?」

アズ 「逃げません!えぇ、逃げませんとも!」

ハル 「信じられません…」

アズ 「ほどいてくれないなら、俺なにも喋んないけど!それでも良い?」

ハル 「うっ…」

リョウ「ハルちゃん、ほどいてあげてよ」

ハル 「じゃあ、ほどきますけど。絶対に逃げないで下さいよ?」


アズ 「おっしゃ!ほどけたー!」

ハル 「さぁ、喋ってください!」

アズ 「その前にトイレ貸してくれる?おしっこ漏れちゃーう!」

リョウ「…そこの左です」

アズ 「センキュー!マーキングしてくるぜ!」



■パート2


アズ 「はいはい、お待たせしましたー!ほら、拍手!拍手!」

リョウ「はあっ?」

アズ 「良いから良いから!」

【2人のパラパラした拍手】

アズ 「どーもー!アズにゃんですっ☆」

ハル 「え…?」

アズ 「一発芸しまーす!『怒ってるアフロディーテの物真似~!』」

リョウ「はいっ?」

アズ 「ゴホン。

    『ちょっとー!あんた達、何やってるのよー?何度言ったら分かるわけー?

     この書類は、私のサイン必要って言ったじゃないのー!

     もー!ホントにドイツもコイツもドイツもコイツもドイツもコイツも…やっほーい!!』」

リョウ「……」

ハル 「……」

アズ 「あれ…?受け…ない?何で?これ、鉄板なのに?」

ハル 「あのぉ…アフロディーテさん?って誰…ですか?」

アズ 「ああああああ!!やってもーたあああ!!

    そうだ!ココ、天界じゃなかったあああ!!

    しまった!俺としたことが!!天界1のコメディアン、アズリエル様ともあろう者が…」

リョウ「あの…そろそろ、本題の方を…お願いしても良いですか?」

アズ 「あぁ、そうね。うん、今日ちょっと調子悪いみたいだし。そうしよっか…」


アズ 「えーっと。じゃあ、まず自己紹介からさせてもらうわ」

ハル 「あっ、はい。どうぞ…」

アズ 「我が名はアズリエル。天界に住みし、神に使役する者。

    そなたら人間の死に果てた肉体より魂を回収し、天界の入り口『裁きの門』の裁定に掛けるもの…」

リョウ「あの、真面目にお願いします」

アズ 「えっ?これ、大真面目なんだけどな…」

ハル 「なんか天使さん…みたいですね?」

アズ 「おぉ!さすがハルちゃん!そう、つまりは天使のアズにゃんですよ☆ってこと」

ハル 「アズにゃん…さん?」

リョウ「えっと、そのネーミングは『放課後のお茶が好きな人達』のファンから怒られそうな気が…」


ハル 「って言うか、ホントに天使さんなんですか?」

リョウ「そんな訳ねーだろ!で、ホントは何者なんですか?」

アズ 「何者って言っても、天界使役人。略して…天☆使」

リョウ「真面目にやってもらえません?」

アズ 「いや、だから最初から大真面目なんですけどね…」

リョウ「だって天使なんか存在するわけ無いでしょ?」

アズ 「ノンノンノン!見えないだけで、存在はしてるんすよ」(ワザとっぽいDQN風で)

ハル 「でも天使って言うと、ほら、羽根が生えて頭に輪っかついてて…」

アズ 「あぁ!それは、ヴィンチ村のレオとか、チビ樽サンドロとか、フランダース地方の大型犬の影響っすね」

ハル 「どうゆうことっすか?」(アズにゃんの喋り方に釣られてDQN風)

アズ 「だってヤツらも見たことねーっすもん。

    君らが考えてる天使の姿は、全部過去の人間による想像なんすよ?」

ハル 「え…そうなんすか?」

アズ 「まぁ、この姿は擬態!つまり人間の形を真似て作った姿なんすけどね」

リョウ「いやいや!何かもっともっぽく話してるけど、天使とかありえないから!」

ハル 「あ。まぁ、確かにそうっすよね」

アズ 「待て待て!リョウくん。

    そもそも、いま君に起きてること。それ自体が、ありえないことだろ?」

リョウ「それと何の関係が?」

アズ 「いま、君に起きてることは夢かい?」

リョウ「夢だったら良いですけどっ!」

アズ 「残念だけど実際に起こってること…だよね?」

リョウ「えぇ、まぁ…」

アズ 「つまりだ。君ら人間にとって、ありえないことが実際に起こってるわけさ。

    だとしたら、ありえないもんだって存在しててもおかしくない…って思わない?」

リョウ「うっ…」

アズ 「そこまで考えたら…さ。

    ありえない存在の天使が、君のありえない状況の理由を知ってるって想像も出来るんじゃないの?」

リョウ「いや、まぁ、それは…」

ハル 「確かに!ちょっと辻褄あいますよね」

アズ 「でしょー?ハルちゃんは賢いなぁ!」


リョウ「じゃあ、貴方が、仮に天使だとして、俺がこうなってる理由ってのを話してもらえますか?」

アズ 「仮に天使だとして…とか偉そうにぃ。

    自分は、信じられないかもしれないけど、とか言いながら、ハルちゃんに一方的に喋ってたくせにな」

ハル 「ホントですねぇー」

リョウ「とっとと話して下さい!」

アズ 「はーいはい」


■パート3


アズ 「あれは3月27日のこと。

    あの日、俺は仕事で上司のミカエルにエライ怒られて…

    そのストレスを発散させるべく、アフター5にスタジアムへ向かったわけさ」

ハル 「スタジアムですか?」

アズ 「うん、天界総合公園球場で、俺のやってる草野球の試合があったのよ。

    今はネーミングライツで『焼肉酒家やきにくざかや●びすスタジアム』って名前だけど」

リョウ「そのネーミングライツはセーフなんですか?」

アズ 「今の所、おなか壊す人出てないから、まぁセーフでしょ?」

ハル 「それで、草野球って?」

アズ 「おぉ!あの日は13対1で勝ってなぁ!俺も絶好調だったよ。

    5打数4安打。最後の打席で第38号、特大の場外ホームランまで打って…」

リョウ「バカ試合じゃないですか…」

アズ 「そりゃそうよ!天界エンジェルスは、リーグ戦9連覇中の史上最強チームだぜ?」

リョウ「はぁ…」

アズ 「もうね、毎試合5万5千人収容のスタジアムが満員御礼。

    街中歩けばサインねだられるし、おちおちデートも出来ないんだよねぇ」

ハル 「すっごーい!」

リョウ「草野球…なんですよね?」

アズ 「草野球って言ってもさ、メンバーは超一流!

    監督は『親分』。気の抜けたプレーには、すぐ喝!が飛ぶし。

    ヘッドコーチは『グラサンのマジシャン』。

    投手コーチは『ニューヨークのヒキガエル』で、打撃コーチは『なにわの道産子』、

    守備走塁コーチが『キムタク』。どうよ~?」

リョウ「そのまま、ウチの地元の球団を任せたいです…」

アズ 「あぁ、あの絶好調だけが取り得の、モガベーきゅうだ…」

ハル 「で、それとリョウさんと、どう関係があるんですか?」

アズ 「そうそう。リョウくん、話が脱線しすぎだから!」

リョウ「そっちが得意気に話してたくせに…」


アズ 「まぁ、それで俺は、メッチャ良い気分で家に帰ったわけさ。

    帰り道にF・J・Yの『We will Thriller night』を鼻歌で流しちゃったりして?」

ハル 「F・J・Yって?」

アズ 「そーか!君らはF・J・Y知らないんだー!

    もったいないなー!フレディ・ジャクソン・豊ってグループ」

リョウ「あー…それはひょっとして、胸毛の人と、改造人間と、バイク泥棒の3人組ですか?」

アズ 「おぉぉぉ!リョウくん、流石ぁ!見直した!」

リョウ「なんて言うか、色々と無敵っぽいメンバーですよね…」

アズ 「だろー!

    でもさぁ、来週にはジョン・スカイラークの新曲『イマジン川の流れのように』がリリースだからなぁ…

    天界チャート1位はそっちだろうなぁ」

リョウ「あぁ、そっちも強そうな…」

アズ 「だろ~?」

ハル 「また脱線してますよー!」

アズ 「おっと、危ない!リョウくんってば、聞き上手っ☆」

リョウ「やっぱり俺のせいなんですね…」


アズ 「で、翌朝、まだ4時半くらいだったんだけど、俺は早出で仕事に行った訳よ。

    昨日の試合のおかげで、まだ良い気分でな?

    で、よし、今日もやったるか!…って仕事場着いたら、なんかガンガン俺のi-Phoneが鳴るのさ!」

ハル 「え?アズにゃんさんって、i-Phone使ってるんですか!?」

アズ 「そーよー。i-Padも持ってるよ」

ハル 「えぇー!良いなぁ!!」

アズ 「なに?ハルちゃん、まだガラケー使ってんのー?」

ハル 「そうなんですよー!それ5ですか?」

アズ 「んーん!これは天界先行販売のヘブンS!」

ハル 「7S!?すごーい!」

アズ 「違う違う!ヘブンよ!ヘブン!」

リョウ「はっ!?ヘブン!?」

ハル 「セブン・・・じゃないんですか?」

アズ 「だーかーらー!ヘ・ヴ・ン」(発音良く)

リョウ「まさか天界だけに・・・とか?」

アズ 「何・・・?悪い?」

リョウ「あ・・・やっぱり、そうなんだ・・・」

ハル 「あの…天界先行販売って、そんなのあるんですか?」

アズ 「そりゃ、あるよ。だって、こないだ来たっしょ、ジョブズ」

リョウ「あ…」

ハル 「なるほど…」

アズ 「そのおかげで、こっちで先行販売が可能になったってわけよ」

リョウ「はぁ・・・ なんて言うか…すげー納得してしまった」

アズ 「これであと、ゲイツと駿とルーカスが来てくれたら、言うこと無いんだけどなぁ」

ハル 「そ、それは、言っちゃダメですっ!」


アズ 「さて、話を戻すそうか?」

リョウ「あ、自力で話を戻せる能力も持ってたんですね…」

アズ 「で、仕方ないから電話に出たわけさ」

リョウ「うっわー!無視された、俺?」

ハル 「話が進まないから、リョウさんは黙っててください」

アズ 「リョウくんは、まだまだツッコミが甘いなぁ」

リョウ「え…何、この扱い…」

アズ 「で、電話掛けてきたのは同僚でね。なんか声がメッチャ焦ってんの!」

ハル 「何かあったんですね?」

アズ 「イエーッス!」

ハル 「一体、何が起こったんですか?」

アズ 「それは… 後編へのお楽しみー」

ハル 「え?」

リョウ「何それ?」


■パート4


アズ 「いやぁ、しゃべりすぎて喉カラッカラ!ちょっと休憩しなーい?」

ハル 「何か飲みますか?」

アズ 「リョウくん、ビールない?発泡酒じゃなくてビール!」

リョウ「ありませんっ!」

アズ 「なんだシケてんなぁ。じゃあ、コーヒーちょうだい?薄めアリアリをタップリで」

リョウ「まぁ、そのくらいなら、良いか…」

アズ 「よっと。あれ?タバコ、無いな… あ、コレでいっか。たぶんナナミちゃんのだけど」

ハル 「アズにゃんさんって、タバコ吸うんですか?」

アズ 「おぉよ! 飲む・打つ・買うは良い男の最低条件だからね。

    あ、ハルちゃん、火ぃつけてくれない?」

ハル 「良いですよー」

【ハルに火をつけてもらい、アズにゃん一服する】

ハル 「そう言えば、飲む・打つ・買うって? 飲むはお酒?打つは…?」

アズ 「飲むは酒とタバコ。打つは博打。買うはおん…」

リョウ「はい、コーヒーおまちどうっ!!」

アズ 「うわっ!あちっ!ちょ、こぼれたし!あっついなぁ!」

リョウ「余計なこと、教えなくて良いですからっ!あと、タバコはベランダ!」

アズ 「はいはい… 分かりました、分かりましたよーっと」


ナレ 「ようやく本題に差し掛かった、リョウに起こった出来事の秘密。その真相は後編で。」



2話前編 了


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