そのなな。どう見ても追加戦士ですが!?
『イエローさ。偶然なんか信じねえ。どうせヒロインクラブのパイセンがやっかましいことやってる。そうに決まってる。だいたいおいらが同じ高校に通ってることがパイセンの仕業だろう。魔法少女の三人が全員同じ高校に通うなんて、めっちゃ無理した設定だろう?
町の魔法少女がまた増えたら、きっと同じ高校で会える。って行っても、まあ、増えるわけねえか。』
なんかしらん?!魔法少女!!
そのなな。どう見ても追加戦士ですが!?
「突然ですが、今日から教室に新しい友達が加わることになりました。どうぞ、入ってください。」
廊下から聞こえてくる気高い足音。教室に入ってくる美しい少女からみな目をそらせなかった。クラスメートたちがみなざわざわしてるうち、レッドだけ『信じられない!』と、口をぱくぱくしていた。
「それでは転校生を紹介します。さあ、緑川さん。自己紹介してもらえるかしら。」
「緑川和香葉です。どうぞよろしくお願いします。」
挨拶に軽く揺れる緑の髪は、アジア人とは信じられない。まあ、もちろんブルーの青い髪も現実には存在しないから。話はやめておく。
「やばっ、マジかよ…!」
緑の瞳が瞼の瞬きに消えてまた現れるたび、レッドは非現実的な見た目に慌てて、あきれ果てる。
『みんな、大変!クラスに新キャラ登場よ!』
『新キャラ…?』
『また変なこと言うか、キモオタ。』
『頼むから聞いてよ!』
レッドは興味のない話にテレパシーを切ろうとするイエローを止めた。
『緑の髪に緑の目。エキストラだとは信じられない美しさ。あれ、どう見てもグリーンじゃん!』
『は…?』
『あの、レッドさん。どう見ても、いや、どう聞いても普通の子みたいです。』
『噓だろ!?生徒に許されてないロングヘア。目立てる髪型。校則違反である制服。緑のソックスやリボン。なにより美少女の転校生キャラは絶対主役だからな!』
『おい。』
レッドの話を聞いていたイエローは興味が完全に冷えた瞳で返事した。
『おめえさ、アニメやめれば?』
『はあ!?何言ってる!アニメはね、人生なんだ!人の話を見て、感動して、まだ人生は終わってないと感じ、人生をやり直せる!ってもしもし?聞いてるのか!?』
ためいきをついたイエローは情けない視線で窓の向こうをむいた。だがレッドは諦めない。緑川がグリーンである理由を話し続ける。そして5分たったごろは、プル―さえレッドのテレパシーを切った。
レッドの叫びは無駄ではなかったか。転校生は本当に新たな魔法少女であった。
そしてあの日から3日。魔法少女である四人は、とにかくすぐ仲良くなった。まあ、仲良くなるしかない。パワーアップした敵を浄化できるのは、グリーンの魔法アイテム、ネーチャーワンドだけだったから。
まあ、細かいことは気にしない。新キャラの登場はいつものことだから。
「なにイライラしている。」
「だって、10分後にテストだもん!」
同じクラスであるグリーンは運命的にレッドの隣の席に座ることになった。もちろん、ヒロインクラブの先輩の仕業だった。
「どうしよう、私全然勉強してないし~!」
「あ、そう。」
「昨日は早く寝て、今朝遅く起きてね~!」
「そうなんだ。」
「ねえ…。なんだか魂が抜けているみたいだけど。」
「やはりそうか。」
「ってこいつ聞いてないし!?」
ライバルのクラスメートたちに『私勉強なんかしてません!』とアピールしていたレッドはまったく返事がないグリーンを見て諦めた。
「なあ、あんたは勉強した?」
「教科書は読んだわ。」
「へえ、そうなんだ。」
ちらちらしていたレッドは反応のないグリーンを見て、他の友達に泣き言を言い始めた。
もちろんすべては嘘。レッドは鼻血を流しながら勉強しておる。だってみな同じ。みな『勉強してない』とはよく言え、『夜中3時まで勉強した』とは言えない。それはまるで、言わない約束のよう。
「え。」
だが、結果は予想外だった。
「ええええ!?」
今回の学年トップは転校生であるグリーンだった。
「天才キャラだったか!?」
人は見た目で決めない。そう決めたレッドであった。