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恋愛トレード  作者: yuri
4/14

Trade.4

「話はわかった。協力するよ」


ふたりに紹介して、部活のことも説明して。

ミナトくんは笑顔で了解してくれた。

きゃー、王子様が笑ったあ、とミユは騒いでいる。

リントとミナトくんはもともとお互いの名前は知っていたらしい。

さっそくうちとけて、談笑している。


「ミナトくんは、他の部活からもお誘いあるんじゃないの?」

「んー、あるというか、ありすぎるというか……」


そう、文武両道なミナトくん。

いろんな部活からスカウトを受けているらしい。

サッカー部、野球部、陸上部、バスケ部、剣道部、弓道部。

美術部に演劇部に数学部まで。

何でもできるって逆につらいね。


「ひとつに決められないから、俺も迷ってたんだよね。

兼部もできるし、途中から入ってもいいんだけど、とりあえず明日までに入部届けは出さないとだし。だから、ちょうど良かった」


そんなこんなで、部員は四人確保した。


「あとは、顧問の先生だね」

「あ、それも俺に任せてよ」


ミナトくんは微笑みを浮かべた。


「アテがあるんだ」


その日の放課後、私たち四人は図書室を訪ねた。

高校の図書室はすごく広い。

メインカウンターの奥に、その先生は座っていた。


「マキ先生、ちょっといいですか」


ミナトくんが声をかけると、先生は顔をあげた。


私が何か言う前に、ミユが小さく声を漏らした。


「ほ、ホストだあっ!」


……うん、私もそう思った。


細身の黒いスーツに、金の時計。

ホストにしては(?)控えめに盛った茶髪。

甘くて中性的な顔立ちは、外国の俳優さんのナントカに似てる。

なんだっけ。えーと。


「新任教師の牧です。

図書室の管理してるよ。

まあ、国語も教えてるけどね。

百合のように清楚な君は1年B組の椎本さん。そしてコスモスのように可愛らしい君は同じく1Bの須藤さんだね?」


すっごいセクシーな声で囁かれた!

なぜか、男子は無視されている、というかむしろ、視界に入ってない……?


びっくりしていると、横からぐいっと引き寄せられた。

見上げると、何故か満面の笑みを浮かべたミナトくん。


「ミ、ミナトく」

「牧先生。俺は貴方に貸しがありますよね」

「チッ。高柳か。

入学そうそう脅しやがって、全くイイ根性してやがる」

「先生にちょっとオネガイしたいんですよ。きいてくれますよね?」


うわあー。なんかミナトくん機嫌悪いよ。

私にはわかる。

笑顔が、黒い……。


「あのね、マキ先生!

一生のお願いなの。

あたしたちの部活の顧問になってほしいの」


うるうる。

カウンターに乗り出して、ミユがちょこんと首を傾げた。

かなり可愛い。確信犯?

私も慌てて笑顔を作る。ミユほど可愛くはできないけど、いつもの仏頂面よりマシでしょ。


「先生、お願いします」


ニコッ。

せいいっぱい笑ってみた。


「………。」

「………。」

「………。」

「………。」

「………。」


あれ。

なんか変な空気……?

ミユはいつもより目を三倍くらいキラキラさせて。

リントはぽかんと口をあけて。

ミナトくんにいたっては、怒ったような、照れたような、複雑な表情で。

マキ先生は何故か鼻を押さえている。


みんな、私の顔を見つめている。

え、今の表情そんなにヘンだった?


「ユイちゃんの頼みなら何でもするよ……!」


マキ先生は無駄なフェロモンを撒き散らしながら、力強く頷いた。


「じゃあこの書類にサインを」


すかさずミナトくんが差し出した紙に、マキ先生は名前を記入した。


「マキ♡ツバサ(^ω^)」


すごいギャル文字だった。

そんなサインでいいのか。

てか、ほんとに教師?

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