奏水先生のDIY講座
(本番5秒前~! 4、3、2…………)
パンッ!
はいっ、始まりました奏水先生のDIY講座~っ!!
この番組は私一条奏水が異世界転移ライフのお役立ちDIYを実践でお伝えするとっても素敵なサバイバルプログラムっ! 最後までぜひ見て行ってくださいねっ!
というわけで改めまして、MCは私一条奏水15歳、バリバリの現役高校生ですっ! まあ今は異世界転移しちゃって学校には行ってないんですけどね! あはは~!
あっ、そういえば今は元の世界ってどうなってるんだろう……私ってもしかして行方不明とかで警察沙汰になっちゃってるのかな? でも心配してくれる友達はいませんし、親だって私のことをいないもののように扱ってましたから問題ないですねっ! ノープロブレム!
うわ、自分で言ってて悲しくなってきた。いや、別にいいんですよ。だからこそこっちの世界に来ても気兼ねなく巫女を目指して好きほ……じゃないや、自由に邁進できますからね! それに今は私のことを保護してくれる頼れる女の子もいますからね。うん、これは全世界の友情ストーリー熱望勢が感動しちゃうっ、我ながらびっくりの出会いです!
さて、それでは前置きはここまで。
今日のDIYはなんと! PC! パーソナルコンピュータ! パソコンを造っちゃいますっ!
えっ、あのパソコンを? 電子機器をこんな明治時代みたいな異世界で造っちゃうんですかぁ? こいつぁニュートンもびっくりだぜ! あれ、ニュートンって何の人だっけ? 万有引力で合ってる? だとしたらそれ機械と関係ないじゃんあはは~!
というわけで本日ご用意したガラクタたちをご紹介ですっ!
まずは今回の要であるタイプライターさん! なんと海外から数台だけ渡ってきていたのを巫女候補の権力でゲットしちゃいましたっ! いやあ、琥珀さんがお金たくさん持っててよかった!
元の世界でも使ったことないですし、テレビで見たことあるくらい。でも使い方は見りゃわかるというか、鍵盤押したらその文字が刻印される仕組みですね。こいつをパソコンの画面とキーボードの土台にします。
次はなんか双六みたいなやつの駒っ! これはマウスにします。意味わかんないや。なんで駒がマウスになるの? セルフツッコミの海で溺死しちゃった。
続いて太めの糸と水桶っ! これはコンセントと簡易発電機にします。水は水力発電とかもありますしイメージは近いかも? これで電気が供給できちゃうんですね。え、肝心の電気はって? そりゃあ後でばっちり解説しちゃいますよ。
そして最後は自前で用意した……余ってるスマホ!!
私ガジェット集めるの好きなのでスマホは5台、タブレットも4台くらい持ってるんですよ。で、転移した時に制服のポケットにスマホ全部入れてたんですよね。だからそのうちの玩具用の一台を解体してCPUにします。こればっかりはDIYもクソもないですからねえ。
さらにおまけの簪! これは街に出て気に入ったのを自分で買ってきました。二個セットで可愛い桜色に薄緑が入った春を感じさせるデザイン、最高です!
では早速DIYを始めましょうっ!
まずタイプライターちゃんですね。これに私の神力を注いで、頭の中でパソコンの画面とキーボードを想像して…………うーん、うーん。あんな感じで、そんな感じで、画面サイズは、傾斜は、解像度は、コアは、プロセッサは、キーボードの配列は、叩き心地は…………おお、こうだねえ…………うんうん、いいよいいよ、すごくいい、このまま神力をぎゅっと凝縮して光で包み込む感じで変身させてあげるイメージっ、うんっ、来た来たぁっ! これでっ、もうすぐっ、理想のPCちゃんが…………
ぼふん!!
……おおっ! 出来たっ、出来ましたぁっ!!
うひょー、家で使ってたのに可能な限り寄せたデスクトップPCさんの誕生だぁっ!! 可愛いっ、愛しいっ、麗しいっ、きゃあああ素敵ぃぃっっ!!
よーし、この調子で次もいくぞっ!
続けて双六の駒を5個ほど寄せ集めてぎゅっと凝縮して、操作するイメージっ! なだからな曲線、私の手にぴったり合うサイズ、ホイールは硬め、サイドのボタンは無しでシンプルな構造、Bluetoothもどきの通信機構を埋め込んで、色はPCに合わせて黒のマッドな色遣い…………うおおおぉぉぉ! いけっ、これでいけっ、マウスちゃんいっけぇぇぇーーっ!!
ばふん!!
よっしゃぁっ!! マウスも出来たっ、DIY最高! 神力最高!
流石女神の力の一端! 世界を創造しただけあってPC周辺機器なんか余裕だぁっ!
よしよし、これならコンセントと発電機も簡単!
糸と水桶で力が伝わるという条件が既にあるからイメージの拡張も楽なんですよね。はい、ちょちょいのちょいっ! よしっ、発電機できたぁ! 後はここに私の雷属性の神力を注ぎ込んだら電気は無尽蔵! 電気料金ゼロ円! 無料で使い放題やっほぉーー!!
ではスマホもこのままPCのモニターの背後にぎゅっと埋め込んじゃいましょうっ!
デスクトップPCなのに本体がモニターの薄い板の中に埋め込まれるとか最高! 誰もが欲しいスタイリッシュさ! それなのに馬力は落ちない! だって神力でできてるから!
最後はこの簪二個セットを櫛で繋げて……頭に装着して耳に押し当てるような形状にしちゃう! そう、もうわかりますね? これでヘッドホンにしちゃいます! いえぇーーい! 私が愛用しているJ○Cケン○ッドのモニターヘッドホン再現じゃあぁぁ!!
…………ん、そこの視聴者さん、今なんか変な顔をしていますね?
「これ、お前の神力があるからDIYできてるだけじゃね?」とか思ってますね?
…………
そうだよっ!! それ以外ねえよ!!
一般JKにDIY求めんなっ!! 工業科に行け工業科に!!
でもいいもんね。
どうせこの番組が役に立つ視聴者なんていないもんね、ふんっ!
ふぅ……さて、それではこれで本日のDIY講座は終了っ!
みなさん、また次回お会いしましょうっ! 次回あるかどうか知らないけどねー!
せーのっ、ばいばーい!!
―――
よし、無事にDTMを使うためのPC周りが完成した!
これであとはソフトさえ調整すれば楽しい制作がはじm「奏水さん」ひゃぁぁっ!!??
あ、え……琥珀さんが、襖開けて、入ってきて、あ、ちょ、ま…………
「奏水さん、なんの演説ごっこをしていたのか知りませんがうるさかったです」
ひぃいいっ!? 全部聞かれてたぁぁっ!?
そんなっ、この襖っ、防音加工したはずなのにっ!?
「しかもすごくつまらなかったです。笑いを取ろうとしていたのかなんなのか知りませんが全く笑えませんでした。寒かったです。もう二度としないでください」
あ、まって、そん、な、ああぁっぁああぁ…………
す、すぅっ…………
「しゅいませんでしたぁっ…………」
だめ、もう死にそう。恥ずかしい。死んじゃう。一人でパソコン造るのがつまんないから番組ごっこしようなんて思ったのが間違いだった……穴があったら入って冬眠したい……
「はあ、まあいいです。奏水さんも何か発散する機会が必要なのでしょう。知らない世界に来て気苦労も多いでしょうし、今回は見逃してあげます」
「あ、ありがとうございますっ……琥珀様っ……!」
「様付けは不要です」
「はい」
そうやって結局は配慮して優しくしてくれるのが彼女のいいところだった。
お茶も淹れてくれて、お菓子と一緒に午後のおやつに誘おうと呼んでくれたらしい。
二人で居間に戻ってねりきりを摘まみながらゆっくり過ごす。
やっぱり甘いものっていいよね。琥珀さんもほっぺた落ちそうで可愛い。
「あっ、そういえば奏水さんに言われたこと、ちゃんとやってますよ。ぼいすとれーにんぐ、でしたっけ?」
そう、私がPC造りで奔走してる間に琥珀さんにはボイストレーニングをお願いしていた。
初心者でも一人でできる簡単な発声練習を中心に、今後歌ってもらうための基礎になるトレーニングをしてもらっている。歌手になってもらうと言ったのは嘘でも何でもない。本気の話だ。
「不思議な練習ですね。でも、なんだか声を出してすっきりする感じがあります」
「ほんとですか? それはよかった。歌うのって実は健康にも良くて、ストレス発散にも良いんですよね」
「……? すとれす?」
「重圧とか心を縛ってくる辛いもののことです、声を出してそういうのを発散することもできるんです」
「へえ、じゃあ今度陰口叩かれたら大きな声でぼいすとれーにんぐしてみますね」
「そうです。その意気です」
うん。私の計画、今のところ順調だ。




