これからもずっと
一方その頃、魔夜と遥斗は戦闘を繰り広げていた。
(クソッ……!!)
繰り出される魔夜の拳が、風を切り裂き遥斗の腹部へ真っ直ぐ突き刺さる。
ズドン……!!!
遥斗の腹部に、重く鋭い痛みが走る。
骨がミシリっと悲鳴を上げた。
「がはっ……!?」
口が大きく開いて、血が口から吹き出した。
魔夜の蹴りに耐えきれず、
遥斗の体が宙を舞い、
40メートル先のビル壁に
ドガァンツ!!と激突した。
背中が焼けるように熱く。血が滲んでいる。
「……なんて強さだ、前までとはちげぇ……」
狂ったように笑いながら、
魔夜が一瞬で選の眼前に現れる。
「遥斗さん? もっと壊してあげちゃいましょうか?」
遥斗の頭に、魔夜の足が振り下ろされる。
ガキィッン……!!!
寸前、遥斗が槍で蹴りを防いでいた。
ぶつかり合う金属の音が廃墟の中で轟く。
「そこだっ……!!」
すると、地面から大きな法術陣が展開され、
草の形をした鎖が、うねるように魔夜の四股に絡みついた。
「っ……、なんですかこれは」
魔夜が痛みに顔を歪め、
その隙を遥斗は見逃さず、槍を大きく振りかぶる。
バキィンッ……!!!
槍の切っ先が魔夜の胸に突き刺さるかに見えた。
だが、次の瞬間、金属が軋む音とともに切っ先に無数のヒビが走る。
遥斗の腕に、強烈な反動が跳ね返ってきた。
「ふふっ、無駄ですよ遥斗さん!!」
両手両足を絡め取る草の形をした鎖を渾身の力で魔夜は破壊し、
遥斗の隙をつく。
次の瞬間、魔夜の拳が残像を残して、
選斗の腹に3連撃を叩き込む。
ドスッドスッ!
ドスドスッ!!
遥斗の体が再び吹き飛び、地面を抉りながら転がった。
ぜぇせぇと遥斗は息を荒くする。
そして、遥斗の口から赤黒い血が溢れ出してくる。
「ははっ、まさか"あの手"を使う事になるなんてな……」
魔夜はそんな事は気にせず、ゆっくりとした足取りで遥斗との距離を縮める。
「私は、遥斗さんに受け入れてもらいたいだけなんですよ?」
魔夜は拳を振り上げ、遥斗の胸を貫こうとした途端。
ザシュッ……!!!
魔夜のサイボーグの腕が、宙に舞う。
「え……?」
魔夜が間の抜けた声を出すと、遥斗はその隙をついた。
「ごめんな、魔夜」
遥斗は魔力を全開に解放。
全身に力がみなぎり、廃墟のビルがミシミシと小刻みに揺れる。
「一閃......!!!!」
雄叫びが廃墟に響き渡る。
槍が魔夜の胸を、真っ直ぐに振り下るした。
バコンッ.....!!!
槍が胸を貫通し、大きな空洞が開く。
黒い血が噴き出し、魔夜の体がガクリと前のめりに倒れた。
「魔夜……助けられらなくて、本当にごめん……」
遥斗の目から、滝のように涙が溢れ出した。
魔夜は残った片方の腕を、ゆっくり伸ばす。
選斗の頬に、冷たくなり始めた指先が触れる。
「遥斗さんには、涙は似合いません......。笑っていてください。これからもずっと」
その言葉を最後に、魔夜の腕がガクリと落ち、瞳が静かに閉じられた。
「魔夜……!!!」
遥斗は魔夜を抱き抱え、声を殺して泣き続けた。
冷えていく体を抱きしめながら、ただ、ただ涙を流していた。




