崩壊の始まり
一方、その頃地球では何の変哲もない日常が続いていた。
青い空、白い雲、眩しく輝く太陽。さえずる小鳥。
そして、全く別の星に旅をしに行く魔法使い。
「ねぇねぇ、あれ聞いた? エンヴォルズ星に行かない方がいいってニュース」
「あぁ、聞いたよ。今大変なんだってね。俺達には関係ないけどさ。」
東京の渋谷の街を歩き、世間話をしている男女の魔法使いもいる。
「おかえりー! 2年ぶりの帰還じゃない?」
「そうかも! 久しぶり!」
駅にて、久々の再会を果たす魔法使いも中にはいた。
2年ぶりに帰還した魔法使いは一瞬、目が死んだ魚のように虚ろに見えた。ほんの一瞬。
そして妙に手が冷たく、冷えきっていた。
再会の握手をしたのはいいものの、その指先はわずかに震えていた。
( どうしてこんなに寂しそうに見えるんだろ、気のせいかな)
久々に再開した魔法使いの友人は、見て見ぬふりをした。
笑顔を貼り付けて「久しぶり! 元気だった?」と声をかけながら、そっと手を離した。
フューっ……と、風が木を不自然に揺らした。まるで息を潜めるように。
「さて、暴れるとするか」
感情がこもってなく、酷く冷たい男の声が街を包み込んだ。
長身の青い髪の男。黒いコートを羽織っているディスペアだった。――かつての希望、風間風太。
足元に大きな法術陣が浮かび上がり、半径20kmまで広がる。
「なにこれ、法術陣?」
「でも、こんな大きな法術陣を発動させれるやつはいないだろ。」
街は騒然として、スマホを構える若者達が凍りつき悲鳴が遅れて響き始めた。
「破壊」
すると当然、街が白く染まる。
バコーンッ……!!!
大きな爆発音が轟き、街を支配する。
たった一瞬で、街は瓦礫の山となり崩れ落ちる。
悲鳴が途切れ、代わりに炎の海が広がり始めた。
「お見事です、ディスペア様」
長身の金髪の女性。黒色のコートで身を包んでいるスーリヤがパチパチと手を叩き拍手をしていた。ゆっくりと、まるでコンサートの終演を称えるように。




