秘密事
外の雨と雷が酷くなってくる 雷雨のせいで更に空気が重くなる 吾郎は瑠美の顔を真剣に見つめながら話す
「俺達は今重大な局面にいる 薄々感じていたが お前は俺達に秘密をしていることがあるだろ?」
彼の威圧的な声に一瞬怯む瑠美 続けて話す
「何のこと?秘密事なんてないけど 考えすぎじゃないの」
「嘘だ。……お前、今日1時間遅れてきたよな?。俺がお前に電話する前に、魔法犯罪人撲滅委員会に連絡したんだ。
ゴーナウト、引き渡されてないらしいな。……しかも、いつもと違う服、違う匂い……お前、何かに関わってるだろ」
雷の閃光が病室を照らし、一瞬だけ瑠美の顔に影が差す。
「……脅すつもりはない。ただ、秘密を抱えたままでいてほしくないんだ。俺たちはチームだろ? 支え合いたい」
その言葉に、瑠美の胸が痛んだ。怒り?それとも、違う何か?
けれど感情の波を押し殺し、瑠美は絞り出すように言う。
人物が引き渡されていなかった事 瑠美が急に普段の服とは違う服を着て来た事 吾郎の心は疑いの心しかなく
秘密事を暴くため真剣に向き合っている 「別に脅しとかしたい訳じゃない、ただ俺は秘密事はしないでほしいだけだ チームで乗り越えたいだけだ 寄り添いたいだけだ」
吾郎の真剣な声にドキッとする この感情が怒りなのか悲しみなのかは分からない でもドキッとはした
「だから何もしてないって してる訳ないじゃん 疑わないでよ」
瑠美も真剣な声でそう言うと 椅子に座っていた吾郎が立ち上がり 瑠美の目の前に行く そして吾郎は瑠美を見下ろす
「この目 この表情 明らかに嘘をついている 秘密事は絶対にあるな 教えてくれ 大丈夫 寄り添うからな」
優しい真剣さの混じった声に 少しほっとした瑠美 しかしそれにイラッときたのか 情けをかけられてることに
イライラしている
「だから秘密事はしてないって…!いちいち言わないで…!」
瑠美は叫ぶ 吾郎の心臓が跳ね上がる ビックリしてしまったようだ 彼女の叫びが病室に響き、二人の間の温度がまた少しだけ下がった。
重苦しい空気を振り払うように、吾郎は病室のドアを開けた。
「……外で話そう」
二人は静かに廊下を歩き、出口を抜けて、冷たい雨の中に出た。
稲妻が夜空を裂く。
「雨が酷いな まあ良い 秘密事はしているんだろう?教えてくれ」
「強要しないでよ お願い 言いたくないんだよ吾郎」
「そうかもしれない 俺も瑠美の気持ちは尊重している でも 出来れば秘密事はしないでほしい すべて吐き出していいぞ」
瑠美の目尻には涙が少し浮かぶ それをすぐに隠し普段の死んだ顔に戻る そして話す
「はぁ、分かったよ でも他の皆には秘密にしてほしい これは守って」
「あぁ分かった 絶対守る 安心してくれ」




