表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の谷のクラフトマスター ~癒しの転生スローライフ~  作者: 霧崎薫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/93

第二十二章 月夜の別れ

 庭に立つエマの前で、ルナが大きく羽を広げた。その純白の羽は、月光を受けて神秘的な輝きを放っている。


「もう、飛べるのね」


 エマの声が、夜風に溶けていく。胸の中に、温かな寂しさが広がっていた。


 ルナは静かに舞い上がり、工房の屋根に降り立った。そして、月に向かって凛とした声で鳴いた。その声は、まるで感謝の歌のようだった。


「エマ! 大変なの!」


 その時、リーゼが息を切らして駆けてきた。


「夜市で、お客様が倒れてしまって……。でも、誰も介抱する布を持っていなくて」


 エマは、ハッとした。自分の織りかけていたショールが、まさにそのための品だったのだと気付く。


「ルナ、ありがとう」


 エマは月を見上げた。


「あなたは、私に大切なことを教えてくれた。誰かのために何かをすること。それが、私の本当に作りたかったものだったのね」


 満月が、ゆっくりと雲間から姿を現す。その光を浴びて、ルナの羽が一層明るく輝いた。


「さようなら……」


 エマがそっと呟いた時、ルナは一枚の羽根を残して飛び立った。風に乗って舞い落ちる白い羽根を、エマは両手で受け止めた。


「これは……」


「エマ、見て!」


 リーゼが声を上げた。羽根から放たれた光が、工房の中で織りかけていたショールに吸い込まれていくのが見えたのだ。布地全体が月明かりのように輝き、これまでにない温かな波動を放ち始めた。


「これが、本当の意味での『祝福の雫』なのね」


 マリーお婆さんが、いつの間にか傍らに立っていた。


「ルナとの絆が、あなたの作品に新しい命を吹き込んだのよ」


 エマは、完成したショールを手に取った。その布地からは、月の光のような癒しの力が溢れ出ている。それは、ルナとの日々で学んだ思いやりの心が、形となって表れたものだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ