表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】ゴミ以下だと追放された使用人、実は前世賢者です~史上最強の賢者、世界最高峰の学園に通う~  作者: 夜分長文
4.闘技大会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/46

42.二年生との戦闘

 闘技場の中央で待っていると、遅れて例の二年生が歩いてきた。相変わらずせせら笑いながら、こちらを睨め付けてきている。


「よぉ。生意気な後輩ちゃんを痛ぶりに来たぜ!」


 その背後には審判の姿もある。

 ……知らない顔だ。多分、学園長側の人間だろう。


「ああ、怖いですね」

「ふははは! そうだろうそうだろう! なぜなら俺は特待生だからなぁ!」


 黄色の制服をこれでもかと見せびらかしてくる。

 審判が俺たちの間に立ち、ひとまず場を制す。


「今回の闘技大会は観戦の許可も下りている。そのため、学園長も観戦に参加するため気を引き締めるように」


 淡々と説明をし、審判が手を挙げると、


「おお。こんな魔法は過去にはなかったな」


 待機室の壁が透き通り、ユリたちの姿が見えた。


「頑張ってください!」

「頑張れー!」

「頑張ってねぇ」


 彼女たちの声も聞こえる。

 ほう。最近の魔法もたまには便利なものもあるんだな。


 しかし、飛び交っているのは黄色い声援だけではない。


「あんな最下生なんて潰してしまえ!」

「雑魚が! なんで闘技大会になんて出てんだよ!」


 おいおい。これって交流会じゃなかったのか?

 明らかに罵倒大会になっているのだが。


 ふと背後を振り返ってみると、件の学園長がいた。

 なにも言わず、ただ俺のことを凝視している。


「さーて。俺、本気出しちゃおっかなー!」

「やってやれ!」

「最下生を分からせてやれ!」


 そう言いながら、男は〈点火〉魔法で己の魔力をアピールしてくる。少し青い程度か。それに火力も低い。


「それでは始めるぞ」

「分かりました」

「へーい!」


 審判が手を挙げると、その場がしんと静まる。

 少しの静寂とともに手が振り下ろされた途端、


「なっ!?」


 突然体の動きが鈍くなった。

 ちらりと審判の方を見てみると、微かに魔力を感じた。


 くそ。拘束魔法を発動しているな。

 やっぱり学園長側だったか。


「〈水流波〉!」


 相手がこちらに手のひらを向けて、水流を放ってくる。

 しかしだ。


 これしきの拘束魔法で俺が止められるわけがないだろう。こっちは前世賢者なんだ。


 嘗められては困る。


「甘いですね」


 適当に腕を振るい、相手の攻撃を霧散させる。


「なっ!? どうして動けるんだよ!」

「やっぱり組んでたんですね」


 審判も明らかに動揺しているようだ。

 今の俺の動きで完全に拘束魔法が解かれた。


「先輩、パンチとキック。どっちがいいですか」

「な……! 俺に魔法なんて使う必要がないっていいたいのかよ!」


 別にそういう意味で言ったわけじゃないのだが。

 まあいい。魔力の消費は少ない方が助かる。


「あれ……もしかして押されてるのか?」

「ちょっと待て……あいつ何者なんだ!?」


 二年生から、そのような声が上がる。

 これは少し目立ちすぎたか?


 だが、地位向上を目指すならこれが正解だよな。


「パンチとキック、どっちがいいですか」


 再度、彼に聞く。

 

「お、俺を馬鹿にするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 かなり動揺しているのだろう。

 遂にはなんの変哲もない、魔法弾を放ち出した。


 もちろん、その程度の魔法弾ならもろに喰らっても問題はない。


 これも適当に受け流しながら、前進していく。


「返事がないんで、とりあえずパンチでいいですね」


 魔力を手に流していき、威力を上げる。

 すっと腕を引き、彼の眼前にまで行き、


「ありがとうございました」

「なっ――」


 思い切り攻撃を放った。

 俺の拳はもろに相手の腹に命中し、二年生たちが観戦している方へと吹き飛んでいく。


 一瞬焦ったのだが、どうやら壁を透明にしているだけで壁自体は存在したらしい。


 壁はひび割れ、二年生たちは震え上がっていた。

 ちょっと力を込めすぎたか。


 まあ、死にはしない。

 今の一瞬で回復魔法も付与しておいた。


「審判。これは俺の勝ちですよね?」

「……ガルドの勝利」


「「「やったぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 その言葉と同時に、一年生組から歓声が上がる。

 ふう。ひとまず勝てたな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

↑の「☆☆☆☆☆」評価欄をポチッと押して



「★★★★★」にしていただけると作者への応援になります!



作者に直接応援できる機能ですので、お気軽にお願いいたします!

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ