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雑文SF「ツインズ・ブラッティの大冒険」  作者: ぽっち先生/監修俺
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みいくんは私たちの頼れるパートナーよっ!

んーっ、なんだろう?何か誰かが昔話を長々と語っていた気がする・・。あらやだっ!もしかして空耳?えーっ、私まだそんな歳じゃないんだけどっ!


「エル・・、何ぼーっとしているの?やらなきゃならない事は山ほどあるんだからきりきり働いてよねっ!」

私が私たちの愛機『ラブリー・ペガサス』の操縦席で不思議な誰かの怪電波を受信していると隣の席にいる相棒から叱責の声が飛んできた。いや、リリィよ。別に私はサボっていた訳じゃないのよ?ただこの世界の状況をまだ知らないお子ちゃまたちへ向けて薀蓄を垂れていた怪しい電波を解析していたの。これって大切な事でしょう?私たちはこの宇宙の秩序と平和を守るwwwsわーるどわいわいうえーぶセキュリティの危機解決担当員なんだから怪しい事象には常に気を配るのは組織内の危機解決担当員心得にもちゃんと記載されているわ。・・いたわよね?あれ?なかったっけ?


「あーっ、ごめん。なんか変な声が頭の中に響いてきたから気になっちゃってさ。これって働き過ぎによる幻聴かしら?」

「エルぅ~、その言い訳はちょっと無理があるわよ。」

私の弁明に対してリリィは実に冷たい判決を返してきた。ちっ、こいつ機嫌が悪いな。もしかして生理中か?


「ううっ、本当なのに・・。くぅ~っ、聞いて頂戴みいくん。リリィが私に冷たいわぁ。」

「みぎゃ~。」

私はリリィの無慈悲な攻撃に反撃すべく後ろを振り向き、そこにいるもうひとり?の仲間へ援護を求めた。だがその援軍は私の問いかけなどまるで興味がなさそうに適当な相槌で返事をしてきた。


「エル、みいくんを味方にしようとしても無駄よ。みいくんには私が出発前に念入りにブラッシングしてあげたから私には逆らえないの。」

「みぎゃ~。」

リリィの説明にみいくんは、そうゆう訳なんで今回は勘弁して下さいと言わんばかりに返事をしてきた。ちっ、こいつ既にリリィに懐柔されていたのか・・。というか、お前は猫みたいな姿をしているのに犬みたいにブラッシングで喜ぶんじゃないっ!


そう、今私たちの後ろで寛いでいるみいくんとは実は人間ではない。では何だと問われれば姿かたちに関しては地球に生息している黒豹に似ている。でも何故か尻尾は2本あるのよね。でもそれ以外は本当によく似ている。

但し体の大きさは地球の黒豹の倍以上大きい。多分同じく地球に生息しているシベリアタイガーの成獣よりもふた回りは大きいはずだ。まっ、私はそっちのやつは実物を見た事がないんで推測だけどね。

さて、そんな見た事もない猛獣の事は置いておこう。そもそも多分みんなは動物園とかで実際の黒豹を見た事があるはずだからイメージは伝わったはずだしね。しかし、何だ黒豹かよと言うなかれ。みいくんはあくまで姿が黒豹に似ているだけで全く別の生物なのだ。それも飛び切り特別な。


実はみいくんはとある恒星系の近郊で発見された地球外生命体なのである。まぁ、これだけならそれ程珍しい話ではない。

大昔のまだ恒星間移動が夢物語だった頃にはこの宇宙で生命を育んでいるのは地球だけかもしれないなどというなんとも後ろ向きな考えもあったが、いざふたを開けてみたら宇宙は生命に溢れていたのである。そりゃもう、なんでこんなところで生きられるんだよっ!てなところにも生命体は存在していたのだ。

但しその殆どは私たち人間から見たら『動物』や『植物』であった。中にはかなり知能の高い生物もいたがそれでも文明と言えるものを構築していた生物はいなかった。もっともこれには『今現在のところは』という注意書きが付く。

そう、今は滅んでしまったが昔は文明を育んでいたのであろうという痕跡や遺跡などはあちこちの惑星で結構見つかったのだ。いやはや悠久を誇る宇宙の歴史においては高等生物が栄華を極めた文明と言えども泡沫なのかもしれない。なのである学者の推測では恒星間移動を可能とした程高度に発展した文明同士が同じ時代に遭遇する確立はほぼゼロに近いらしい。


そんな状況の中でみいくんは発見された。実はみいくんは自然に生まれた生物ではない。なんと古代の文明がその技術の粋を集めて生み出した超生物だったのだっ!

さて、何をもって超生物と言うかは定義によって色々あるだろうけど、みいくんはその全てにおいてスーパーな存在だった。まず多分みいくんには寿命というものがない・・らしい。つまりこいつは死なないのだっ!

いやこの言い方はちょっと語弊があるか。えーと、みいくんを構成している肉体はちゃんと死にます。でもなんとみいくんはそこいらにある材料を使って新たに肉体を再構築してその新品の体に潜り込む事が出来るのだっ!・・と、みいくんを研究していた人から説明されました。うんっ、学会には発表していないそうです。そらそうだ。こんな突飛な論文なんか発表したら馬鹿にされるのがオチだもんね。でも私は信じるわっ!

つまり今私たちの後ろで寛いでいる黒豹に似たみいくんの体は単なる入れ物で、みいくんの本体は精神生命体なんだそうです。はははっ、もう話しについてこれないでしょう?まっ、私はその辺に関しては気にならないから別にいいんだけどね。

まぁこれだけなら私たちの世界にも実証こそされていないがその存在が信じられている事例はいくつかある。ほら、転生とか転移とか昔結構流行ったらしいじゃない。

でもみいくんがスーパーなのはそれだけじゃなかった。いやそれだけでも十分スーパーな存在なんだけど、みいくんは群を抜いてチートなのよ。そのチート振り足るや生物界のチートデパートやぁ~と誰かが言いそうなくらいである。

取り合えず私が覚えているだけでも羅列してみると、まずみいくんは宇宙にそのまま放り出されても死にません。これは先に挙げた肉体は死ぬけど精神生命体は死なないなどというめんどくさい意味ではなく、本当に肉体自体が生命活動を維持し続けるのだっ!・・こいつもしかして息をしなくてもいいんかいな?でも寝息はたてているぞ?あくびもするし。

もっとも長期になるとさすがにやばいのか肉体活動を不活性化させるらしいのだけど、1年くらいは平気で宇宙空間にいられるらしい。もっともさすがのみいくんでも足がかりのない宇宙空間では長距離の移動はできないらしいので、どこかの惑星にたどり着くまではお休みするしかないらしい。でも短距離なら移動可能なんだって。う~ん、根性あるねぇ、みいくん。

そしてそんな休眠状態でみいくんは探検隊の宇宙船に発見されたのだった。当然場所は50億キロ以内に星の欠片すらないうら寂しい宇宙空間だ。うんっ、可愛そうなみいくん。多分みいくんは元の飼い主に捨てられたんだね。でもみいくん安心してっ!私は絶対そんな事しないからっ!というかこんなに可愛いみいくんを捨てるとは元の飼い主は許せんな。生きていたなら私がけちょんけちょんにしてやるんだけど、悲しいかなそいつは多分10万年以上前に死んでます。いや~、みいくんて本当に長生きだねぇ~。

まっ、長生きだけならみいくんに匹敵する生き物は結構いる・・らしい。でもその殆どは鉱物系だったり体をゆっくり再生して生き続ける系で、みいくんみたいに活発に動き回るやつは珍しいそうだ。ましてや人類と意思の疎通が出来るほど高度なコミュニケーション能力を持ったものは今のところ皆無との事です。いや~、よくもまぁそんな事を調べるもんだねぇ。学者ってやつは本当に好奇心の塊なのね。


後、なんと言ってもみいくんをチート足らしめているのはその戦闘能力だろう。えーと、戦闘能力といっても別にみいくんはミサイルなんかを発射したりしないし、ビームも放ちません。いや、それに近いのはだすけどビームではない。

だからみいくんの攻撃方法は普通に地球の猛獣と同じく噛んだり引っかいたりです。でもそのパワーは計り知れない。

だってみいくんが怒ると2メートルもの厚さがあるコンクリート壁が前足の一撃で粉砕しちゃうんだよ?あの120ミリ対戦車用の鉄鋼貫通弾すら弾き飛ばす連邦宇宙軍の主力戦車の前面装甲ですらみいくんの爪にかかったら爪とぎ用のダンボールみたいにぐすぐすにされちゃうのだ。これは私も直に見たから本当です。あの時の戦車部隊の指揮官はまさに開いた口が塞がらなかったみたいだわ。

と言う訳だからみいくんを監禁できる檻は多分この宇宙には存在しない。だから前の飼い主はみいくんを距離という空間の檻である何もない宇宙空間へ捨てたのだろう。

そんなみいくんは防御能力もチートです。まずこいつは多分宇宙空間から惑星へ落下しても死にません。とは言っても別にみいくんは空を飛べる訳ではない。普通に落っこちます。そして落下地点に直径100メートルくらいのクレーターを作る。でもそこからもぞもぞと這い出てきて多分埃がついたヒゲを前足できれいにしながら「みぎゃ~」と一言鳴くはずだ。はははっ、すごいぞっ、みいくんっ!でも私はそんなバンジーには付き合わないからねっ!

そんな強靭な肉体を持つみいくんだから既存の兵器による攻撃なんて屁のかっぱだ。多分こいつは巡洋艦の重粒子プラズマ砲の直撃を受けたって平気だろう。下手したら燃えたぎる恒星に落としても大丈夫かもしれない。でもさすがにブラックホールは無理かな?あーっ、でもしばらくしてホワイトホールから放り出されたらやっぱり「みぎゃ~」と鳴いていそう・・。


そう、みいくんとは超生命体であり且つ無敵のチート野郎なのである。でも悲しいかな人工的に作られた生命体だから同種の仲間が存在しないのだ。う~んっ、可愛そうなみいくん。君は本当のぽっちなのね。

でも安心してっ!今は私たちがあなたの仲間だからっ!私たちがあなたの傍に居てあげるっ!おらおらおらっ、ここか?ここがいいのか?はははっ、リリィのブラッシングなんかより私のお腹撫で撫での方が気持ち良かろうっ!にゃはははは、こらこら尻尾で私にお返しするんじゃない。くすぐったいぞ、みいくん。


さて、そんな特別人工記念物級の超生命体がなんで私たちの後ろで寛いでいるかと言えば、簡単に言うと私たちがみいくんに気に入られたからだ。

みいくんは発見から10年ほどは連邦の研究所で大人しく弄られていたのだけど、ある時政府の高官が点数稼ぎとしてみいくんを見世物にしようとしたのだ。そのデモンストレーションが先に説明したアキツシマ連邦軍の戦車隊による軍事演習だった。

私たちはその演習の後にみいくんを別の惑星へ輸送する仕事を請け負っていたのでその場に居たのである。そして多分その日のみいくんは機嫌が悪かったのだろう。もしかしたら政府の高官の上からの態度が癪に障ったのかも知れない。なのでみいくんは暴走した。いや、みいくんにしたら単にちょっとじゃれただけだったのかも知れないが演習場は修羅場と化したのだ。

そんな関係者が逃げ惑う中、みいくんは次の獲物として私たちを見つけた。うんっ、私たちに目を付けるなんてみいくんたら女性を見る目があるわね。

いや、その時のみいくんは結構興奮していたから私たちも結構危なかったかも知れない。もしかして貞操の危機だった?くーっ、美女ふたりを相手にしようだなんてみいくんたらとんだドンファンねっ!

そんな感じで戦車部隊を紙くずみたいに粉砕したみいくんは次の獲物として私たちに向かって襲いかかって来た。うんっ、あの時のみいくんの目はまさに猛獣だったわ。今思い出してもちょっと怖い。なのでここからはその時の状況を記録映像で見てみましょうっ!実況は最近ろくに仕事をしていない俺さんですっ!

あーっ、ごめんなさい。次こそはラノベらしい会話オンリーの展開でお送りします。えっ、もう飽きた?あらら、最近のお子ちゃまは我慢ができないんだねぇ。そんなんじゃ社会に出た時、異世界へ逃げ出したくなっちゃうぞ?

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