初めてというのは肝心ですが
微妙に内容忘れていますが、なんとかして見せます!
後ろにウチダ(withトン)、前にエミが乗り、ようやくその場から移動した一行。しばらく自転車を走らせるとようやく道らしきものが見えた。
「よっしゃ!とりあえず道に出るぞ!道があればとりあえず街へは向かえるぞ!」
そう掛け声をあげ、まだまだ水平線上にしか見えない道らしきところへひたすらに向かう。やっと道に辿り着き、とりあえずどの方向に進むか迷っていると遠くから人の叫び声が聞こえた。それも複数の。
「!!あそこです!後ろの方向に馬車があります!襲っているのはコボルトでしょうか。」
確かに犬の頭に人型で、ナイフや斧などを持って複数のコボルトが馬車を襲撃している。
「まずいカプ!馬車の中から子供も引きずり出されているカプ!しかも担ぎ込んだままどこかに連れ去ろうとしているカプ!急がないとヤバイカプ!」
「わかってる!でも…」
そう、ここからだとこの自転車を使っても先に逃げられてしまう可能性がある。それぐらい遠いし、なんだったらこの自転車は通常の自転車と違って2人分乗せれるが、走るスピードも2人で2倍かといえばそうでもない。むしろ普通の自転車より少し遅いのだ。
「ウチダ!加速ボタンを押してください!どれくらいスピードがでるか分かりませんが、ただ漕ぐより圧倒的にマシになるはずです!」
そうだ!それがあった。目の前にあるのになぜ気づかなかったんだ。(今は緊急事態の為省略するが、後にエミは「ボケてたんじゃないですかね。」と語る。)
気づいたとほぼ同時にウチダは拳を振り上げ、加速ボタンを力強く押した。もうボタン潰す気かってぐらいに。
「あ、もうちょいソフトに押した方が…というか押したというより押しつぶしたというかカプ…」
トンが言った時には既に遅く、自転車付近にある小石が道の外に少し飛ばされた後、自転車は縮地でもしたんかと言わんばかりにぐんぐんと距離を縮めていく。
(すごい…!ジェットコースターよりも早い…!)
あまりの速さにウチダもエミも言葉を発せずにいた。そのまま馬車へ一直線に進んでいく。そこへ全員に一抹の不安がよぎる。
(というかこれ…どうやって止まるの?)
そう考えたときにはもう目の前に馬車があった。
ドーーーン!!!
爆煙をあげながら暴走自転車と馬車は衝突し、ウチダ一行はそのまま吹き飛ばされた。いや、これは爆煙ではない。爆煙にしては妙に臭いが…
「くさっ!これって…オナラ!?そういえばエミのオナラが材料に入ってたけど…、まさかトン。あんたやっぱり特殊性癖持ちだったのね。」
「違うカプ!確かに分解したカプ!多分、爆破したことによって分解した成分が再び混ざりあったんだカプ…。しかも、勢いのまま馬車に突っ込んだから多分馬車の中に溜まっていた他の人のオナラも一緒に混ざったんじゃないカプか?」
「こんな状況でそこまでオナラについて冷静に解説できるなんて…やはりカプはオナラ学博士号を持っているのでは?」
「持ってないカプ!というか、エミが自分のオナラを材料にするからこんなことになったんだカプ!」
「いや、私はしてくれなんて一言も言ってませんけど???勝手に抜き取ったのはカプじゃないですか。」
ウチダとエミがカプに冷めた目線を送る。
「本当に違うカプ!それよりも、早くコボルト退治しないといけないカプ!」
はっ!そうだった!でも、煙で近くのもの以外何も見えない…。じり、じりと近くを慎重に探る。すると何か柔らかいものを踏んづけてしまった。恐る恐る下を見ると…
子供が白目を向きながら倒れていた。
「あれ!?ここはオナラの匂いで気絶したコボルトを踏んづけてしまう場面じゃないの!?」
煙も大分薄れてきた。ようやく視界が開けた所で辺りを見回すとそこにはコボルトはどこにもいなかった。
「んー?どこに消えたの?」
「おかしいですね。コボルトが持っていた武器は地面にあるのに、コボルト自体はいないなんて。」
「コボルトが奪おうとしていた食糧もその辺に放り出されているし。ぶつかった衝撃でかなりぐちゃぐちゃになっているけど。」
「…これってもしかしなくても、僕たちがぶつかる前にコボルト達逃げたんじゃないカプか…?」
「「えっ?」」
「よくよく思い出すカプ。僕たちがぶつかる前に、コボルトの姿って見たカプか?」
そういえば見てないな…。あんまり覚えてないけど。確かに馬車に辿り着くことを目先の目標にしていたから、馬車に注目していた節はあるけど。でもまさか、ねえ…。それじゃあ私達勢いのまま馬車を大破させて、オナラを放出しただけになっちゃうじゃんねえ…?
「まあ、あれぐらいスピード出さないと手遅れになってたかもしれないし、追い払えただけでもよしとしましょう。それに、全員気絶しているので実際に何があったか覚えてないかもしれないので、そこに賭けましょう。」
ウチダ一行、初の魔物討伐イベント、成功。(しかし、スマートさがないので減点)
次回、ようやく人と会話します。