散々引っ張っておいて未だ進まず
基本的によくある能力チートでサクサク進むことはあんまりないです。
説明していなかったが、ここは森の中である。つまり、ウチダ達はまだ街に出てない。なんだったら、どこにどう向かえば街に出るのか、よく分かっていなかった。
「はあ〜。冒険に出る前から迷いの森とかマジついてねえわ〜。誰か移動系の魔法なりどこで○ドアなり出してパパッと街に出してくれや」
「じゃあトンにそれっぽいもの作らせたらいいんじゃないですか?材料さえ揃えば何でも作れましたよね?」
「あ、それ言うと面倒くさいのにカプ…!」
「ほんまやん。」
つい関西弁になってしまったが仕方ない。だって完全に忘れて…いや、ここはあえて乗っかろう。
「べ、別にアンタの為にチュートリアル説明してるわけじゃないんだからね!」
「さっき『ほんまやん』って思いっきり言ってましたよね。」
「どう思ったらそんなごまかしで乗り切れるとか思ったカプ?」
ひでぶー。いいじゃん。誰かがツンデレの役割を担った方が、どこかに需要があるかもしれないし。
「もう!いいから早くなんか作ってよー!車とか飛行機とか何でもいいからさ!」
「逆にその二つ作っても絶対持て余す予感しかないカプ…。駐めるところがなければ、まともな道もそんなにないカプよ…。」
全くノリの悪い帽子だ。ジョークじゃないか。イッツ・アースジョーク。
「まあ、確かに長旅になるなら、移動手段となり得るものは何かしら必要になるから、作った方がいいカプね。じゃあ手持ちで何かいいのあるカプか?」
「愛と勇気と野望と絶望と幸せな人間を妬む心なら持っています。」
「出来れば物資的なものが欲しいカプ…。何だったら後半あんまり聞きたくなかったカプ…。エミ、そんな闇抱えていたカプか。」
「あと、体の中から何か不思議な感覚が湧き上がってきます。」
え!?まじか!もしかして、何か病気…?それとも毒?はたまた神から凄い加護を得た!?どちらにしろ明らかに怪しい。早くなんとかしないと…!すると、エミはふふっと微笑みながら、自身のお腹に手を添えた。
「まるで体が何かを訴えているような、早くここから出たいと言っているような…新しい空気と共に早くこの世界を駆け巡りたいと体の中心部から何らかの波動を感じます。」
………
「うん、オナラだね。さっきまで大好きなオイーモ食べてたもんね。我慢は体に毒だよ。美少女はオナラしちゃいけないっていう昔のアイドルじゃないんだから、さっさと出しな?」
というか、なんか意味ありげに笑っておいて何故にオナラの存在を遠回しに伝えた?厨二病か?
「例え世界が1000年に1度の美少女である私の腸内から生まれた悪しき空気を許そうとも、私は自分からこの空気を人の世に出すことを許しません!こっそり人がいないところで出します!」
「もうこの会話のせいで普通にオナラするより恥ずかしい状況を作り出してるよ…。やめてー、なんかこっちがこの状況を強いてるみたいになっちゃう。『くっ、殺せっ!』みたいな雰囲気だよ…。」
「分かったから落ち着けカプ…。じゃあそれも処理を含めてこっちで組み込んでおくカプ…。」
「何そっちの性癖に持ち込もうとしてんの!移動する度に匂いをくんかくんかしながら『美少女の屁から作ったんだ…ぐへへ』みたいな状況にこっちも巻き込まないでくれる!?」
「そんな特殊性癖持ってないし、ちゃんと匂いも出さないよう配慮するカプ!ただの成分として分解するから安心しろカプ!」
ウチダ一行(仮)、未だに森から進まず。
次回、とりあえず移動手段となる物を作ります…!多分!